1月27&28日に北海道立総合体育センター(北海きたえーる)で開催された

新日本プロレスにとってひさびさの~雪の札幌2連戦~。

 

「雪の札幌ではなにかが起こる!」を地でいくかのように、

大波乱、サプライズ、ハプニングのてんこ盛り興行と化した。

 

初日のメインイベントは、IWGPインターコンチネンタル選手権。

棚橋弘至vs鈴木みのる6度目のシングル対決となったのだが、

前回の対戦が2012年10・8両国大会(IWGPヘビー級選手権)だから、

あれから5年4ヵ月ぶりの一騎打ち。

 

2012年といえば、オカダ・カズチカが凱旋して”レインメーカー・ショック”を巻き起こした

新日本プロレス大躍進の年でもある。

 

その真っ只中、その年1勝1敗で迎えた決着戦となったのが、

10・8両国のIWGPヘビー級戦だった。

 

憶えているかたも多数いるだろう。

その直前に新日本OBの某氏がこんなツイートを残した。

 

「強さを追求しないプロレスイベントなんて、

単に身体の大きなやつらの仮面ライダーごっこ以下だよ。

ごっこだよ」

 

そのほか、別のOBからも新日本批判が公にされている。

鈴木みのるは激高した。

 

「棚橋、俺より弱いオマエがチャンピオンだから、そう言われるんだ!」

 

ただし、鈴木の真意はべつのところにあった。

身体を張って新日本躍進の礎を作ってきた棚橋を認めていた。

自分自身も今に生きている。

今のプロレスを舐められてたまるか!

 

中邑真輔も、それに同調した。

 

「彼の言葉は、棚橋を含めてレスラーみんなの気持ちを代弁している。

鈴木みのるは、自分のプロレスに自信とプライドを持っている」

 

プロレスの過去と闘い、今を見せつけ、未来を暗示させた大死闘。

10・8両国の棚橋vs鈴木は、歴史に残る名勝負となった。

29分22秒で決着。

相手をカバーしたのは、棚橋がフィニッシュのハイフライフローを放ったときだけ。

 

昔から大好きだった昔話の『泣いた赤鬼』を思い出しました。

赤鬼のために悪役を買ってでる青鬼が大好きだったんですけど、

鈴木みのるが青鬼に見えてしまって。

試合前に、もう憎しみは消えていました…」

 

棚橋もまた、素晴らしいオチをつけてくれた。

この一戦を振り返らずしては語れない棚橋vs鈴木。

2人が初めて互いを理解し、骨身を削り合った闘いであったからだ。

 

 

ところが、5年4ヵ月たった両雄のコンディションには明らかな差があった。

右膝骨挫傷に苦しむ棚橋。

一方、49歳、キャリア30年にしてつねに万全のコンディション。

それどころか、ますます強くなっていく鈴木。

 

鈴木の右膝攻撃によって、タナの膝と棚橋ファンが悲鳴をあげる。

膝十字固め、ヒールホールド、足4の字固め。

ゴッチ式パイルドライバーを完璧に決めてもカバーにはいかない。

 

ヒールホールドから膝十字固めで、

最後はレフェリーストップ。

 

 

担架で退場した棚橋は、右膝変形性関節症により以降の試合を欠場。

勝ち誇る鈴木は、「このベルトは(IWGPヘビーへの)通行手形だ」と断言した。

 

1・4東京ドームのNEVER無差別級戦で後藤に敗れたうえ髪切りの屈辱に塗れた鈴木が、

わずか3週間余でインターコンチを手中に収めた。

 

プロレス界の絶滅危惧種、海賊王は、

決して主役の座を譲らないのだ。

 

翌28日のメインカードは、IWGP USヘビー級選手権。

ケニー・オメガvsジェイ・ホワイト。

 

1・4東京ドームの棚橋戦でなんのインパクトも残せなかったジェイ。

WWEの現役スーパースター、クリス・ジェリコを破り、

あらためて、「ベスト・イン・ザ・ワールド」と「ベストバウト・マシン」であることを証明したケニー。

 

 

ジェイが類まれな逸材であることは、彼のヤングライオン時代からわかっていること。

ただし、ケニーから勝利を奪うのは至難の業。

だれもが、そう思っていたことだろう。

 

ところが、ジェイはやってのけた。

後半、ケニーの膝蹴りを食ってサンドバッグ状態になりながらも、

「ニヤリ」と笑って、「もっと来い!」と挑発する。

 

表情がいい、目力がある、色気がある。

日本のファンが求めているものをわかっている。

 

リバースフランケンシュタイナー、Ⅴトリガー、

そして、片翼の天使へ。

 

このケニーの必殺フルコースを凌いで、

完璧なブレードランナー一閃。

大金星の勝利で、USベルトを奪取してみせた。

 

2012年の1・4東京ドームの凱旋マッチでブーイングを浴びながら、

1ヵ月後の2・12大阪でIWGPヘビー奪取。

”レインメーカー・ショック”で時代に風穴を開けてみせたオカダ・カズチカ。

あのとき、24歳、キャリアは7年半だった。

 

一方、1・4で期待に応えられなかったものの、

3週間後の札幌で最強のケニーからUS王座奪取。

この事実は、6年前の快挙に劣ることのない”スイッチブレイド・ショック”と言っていいのではないか。

 

ジェイ・ホワイト。

25歳、キャリア5年である。

 

両選手の出世ロードはどこか似ている。

CHAOS同門でありながら、

オカダにとってもっとも怖い存在となってくるかもしれない。

 

 

私個人はあくまで試合重視のタイプなのだが、

その後に起こった波乱、ハプニングにはインパクトがありすぎた。

 

新王者のジェイに挑戦を迫ったのは、

ハングマン・ペイジ。

 

それをケニーが制止したことから、

ケニーとCodyが一触即発となり、

マーティー・スカル、ヤングバックスもリングインして、

BULLET CLUBの内紛が始まった。

 

 

結局、ケニーとCodyが和解したように見えたが、

これはCodyの仕掛けたトラップだった。

 

ケニーにクロスローズを見舞うと、

イスを持ち出して追撃態勢。

 

ここで、救出に入ってきたのが、飯伏幸太だった。

1・5後楽園ホールのお返しパターン。

飯伏が握手の手を差し伸べると、

涙を流しながらも応じようとしないケニー。

 

しかし、ガッチリと抱き合った。

3年3ヵ月ぶりに、ゴールデン☆ラヴァーズ復活!

 

ケニーがUS王座から転落しただけでもサプライズなのに、

バレットクラブ内紛→ケニー追放(?)→ゴールデン☆ラヴァーズ復活。

 

こんなことを次々と目前で展開されては、

まったく頭が追い付いていかないではないか?

 

あの1・4東京ドーム大会でさえ、遠い昔の出来事のように思わせてしまう、

「なにかが起こり過ぎた!」雪の札幌2連戦。

 

今回も、新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて、

深く掘り下げてレポートしているので、ぜひ、ご覧くださいね。

 

 

『“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』更新!
 今回は「両日とも大波乱! サプライズ続出の“雪の札幌2連戦”を大総括!」
http://www.njpw.co.jp/130060

 

◎追伸

いつ以来のことか、ひさしく記憶にない2泊3日の札幌出張。

おそらく、『週刊ゴング』時代が最後だったろうから、15年ぶりくらいかな?

 

 

やっぱり、ジンギスカンでしょう?
この生ラムがまた柔らかくて絶品。
このとき、4人で生ラムだけでも11人前食ったとか食わないとか…(笑)。
 
 
で、そこで終わらないのが雪の札幌の魔(魅)力。
最終的に、2日連続で足はラーメン横丁へ向かってしまったのだ。
 
この丼を覆いつくすチャーシューを見てよ。
いやあ、田畑さん、マジ美味かったっすよねえ!