「今年が最後のG1」
そう宣言して『G1 CLIMAX27』にエントリーした永田裕志。
・第1戦 〇YOSHI‐HASHIvs永田裕志●
・第2戦 〇後藤洋央紀vs永田裕志●
・第3戦 〇棚橋弘至vs永田裕志●
・第4戦 〇内藤哲也vs永田裕志●
開幕から4連敗。
ただし、内容が素晴らしい。
ここ数年のG1における永田の闘いのなかでも、
今回は際立っている。
永田裕志、強し!
それをファン、関係者に強烈に知らしめたのは、
19年前に初出場した1999年の第9回大会(※中西学が優勝)だったと思う。
全盛期の武藤敬司をギリギリまで追い込んだ、
あの大阪での公式戦が忘れられない。
初優勝を達成した2001年のG1より、
私にとっては強く印象に残っているのだ。
そのときと、何ら変わることのない永田がいる。
自分の土俵に相手を引き込んでいく永田がいる。
いや、あのころよりさらに熟練した永田が毎回観られるのだ。
決して、いま現在のトレンドに迎合しない永田によって、
永田自身も対戦相手も光ってみえる。
アントニオ猪木、長州力から、プロレスとはなんたるか?を学び、
馳浩コーチから、新日本の闘いを肌で教えられ、
キャリアを積んできた永田。
同期の中西、大谷晋二郎、ケンドー・カシンらと切磋琢磨し、
第三世代の天山広吉、小島聡とシノギを削り合い、
ついに闘魂三銃士(武藤、蝶野、橋本)と同じ土俵に立つまでに成長した。
2000年代中盤からは、二大エースとなった棚橋弘至、中邑真輔の
分厚い壁でありつづけた。
自分の信じたストロングスタイル、新日本スタイルを貫いてきたのだ。
7・23町田大会で永田を破った棚橋はこう言った。
「ずっと永田裕志が上位で、俺がチャレンジャーだった。
そんな現状を今日ひっくり返すチャンスかと思ったけど……このままでいいや。
永田裕志は、ずっと元気なままの永田裕志でいてください」
タナの言葉がすべてだろう。
タナの思いは、かつて闘魂三銃士が天龍源一郎に抱いた感情に似ている。
「気がついたらみんな自分より下の世代になっている。
だからこそ、天龍さんがドンと第一線でいてくれることがうれしい」
そんなことを武藤敬司が言っていたことを思い出す。
新日本ストロングスタイルの絶滅危惧種こと永田には、
ぜひとも新日本の世界文化遺産となってほしい(笑)!
進化するストロングスタイルを標榜するのが現・新日本プロレスなら、
永田の見せる闘いは、原点回帰のストロングスタイル。
明日の7・29名古屋大会では、真壁刀義との公式戦。
明日も、それ以降も、最後まで永田の闘いを目に焼きつけてほしい。