ノアvs鈴木軍最終決戦となった12・2後楽園ホール大会で

対抗戦6連敗を喫した鈴木軍。

さらに、メインイベントのGHCヘビー級選手権で

中嶋勝彦に敗れた鈴木みのるを杉浦貴が急襲。

 

皮肉なことに、みのるが再三口にしてきた時限爆弾は、

杉浦による鈴木軍裏切りというカタチで表に噴出してしまった格好だった。

 

この結末によって、翌3日、ディファ有明大会で予定されていた

丸藤正道&中嶋勝彦vs鈴木みのる&杉浦貴のタッグマッチは消滅。

代わって、当日のメインで鈴木vs杉浦の完全決着戦がマッチメイクされた。

 

この日も鈴木軍は負け続ける。

セミファイナルのGHCタッグ選手権でKES(スミス&ランス)が

潮崎豪&マイバッハ谷口に敗れ王座陥落。

これで4連敗。

前日から通算すると10連敗。

 

もう、すでに数字上の結論は出ている状況。

ただし、数字とか結果というのは帳尻合わせとしか感じない場合だってある。

やはり、プロレスの興行はインパクト。

たとえ、1勝10敗であろうとも、その1勝がすべてを食ってしまう場合もある。

 

いずれにしろ、私が観に行ったものは鈴木軍のラスト闘争。

ボスの鈴木みのるvs鈴木軍最強の客分・杉浦の果たし合いである。

 

 

 

前日同様に、なんの飾り気もパフォーマンスもなく、

静かに戦場へ足を踏み入れたみのる。

あと入場の杉浦も花道でパイプ椅子を投げ捨て、

臨戦態勢でリングインすると即この状態。

 

レフェリー3人が総出で2人を分ける。

決闘がスタート。

 

 

エルボーの打ち合い、

ナックルの応酬が延々とつづく。

 

「打ってみろよ!

効かねぇんだよー!!」

 

みのるの挑発、

しかもノーガード。

 

いまさら言うのもなんだが、

みのるは48歳、杉浦は46歳。

 

そう言われて初めて、「ああ、そうだったなあ」と思う程度。

ハナから年齢という概念が存在しないところで、2人は生きている。

 

 

またも、30分を超えたせめぎ合い、しのぎ合い。

33分30秒、2発目のオリンピック予選スラムを食ってみのるが沈んだ。

 

戦闘は終わった。

誰も2人に手を差し伸べるものはいない。

みのるも1人で起き上がると、フラフラしながらも自力で会場の扉を開けた。

終始薄ら笑いを浮かべて控室を目指す。

 

 

おそらく、追ってきた観客のだれかと思われるが、

「もう、ノアには上がらないんですか!?」と声をかけると、

薄ら笑いから、「アーハッハッハ!」と高笑いへと変わった。

ただし、言葉(コメント)を発することはなかった。

 

 

そのころ、リング上の杉浦へ丸藤が歩み寄った。

「俺たちでまたノアの闘いを取り戻そう!」

 

握手すると見せかけて拒否する杉浦。

「俺はノアで闘っていく。ずぅーと。

ただ、ノアの連中まとめて相手してやるよ!」

 

 

バックステージでも杉浦の険しい表情は崩れることがなかった。

 

「もういいだろ、もう去れ!鈴木軍」と釘をさした杉浦だが、

新生ノアの現状を訊かれると、「危機感だらけだよ。危機感だらけ」と語る。

 

これが、もっとも”苛烈に”ノアを愛する男と言われる杉浦の本音なのだろう。

 

約2年間の抗争に終止符。

 

鈴木軍の参入によりノアが得たもの、失ったもの。

ノアが失ったファン、ノアが獲得したファン。

ノアが失った信用、取り戻した信頼。

ノアを去った選手、急上昇してきた選手。

 

終わりの始まり。

これからが、本当のノアを問われるとき。

 

そして約束通り、最終決戦に敗れノアを去った鈴木軍。

そこで見た事実、そこでたたきつけられたインパクト。

 

2日=37分1秒、GHCヘビー級戦史上最長タイムの闘い。

3日=33分30秒の決闘。

 

このメイン2試合がすべてと言っていい。

2日で70分以上を闘いぬいた鈴木みのるは、

高笑いとともにノアを去った。

 

いまさら、私があらたまってみのるに訊いても仕方がない。

だいたい、訊いたところで返ってくる答えは予想できるからだ。

 

「2日で70分? 屁でもねえな!

だって、俺はプロレス王だからな!!」

 

 

さて、鈴木みのると鈴木軍の次なる戦場、

次のターゲットはどこになるのだろうか!?