いやはや、すっかり忘れていたのだけれど、

ワタクシ金沢克彦は今年の5月1日に、

業界歴(記者生活)30周年を迎えたのだ。


晴れの日も雨の日も、

天には黒雲、地には争いが絶えなかろうと、

とにもかくにも30年もこの仕事をやってきた。


エライ!


とくに、誰も褒めてくれないので、

自分で自分を褒めちゃう。


「なんと30周年ですよ。

どうですか? 今の心境は?」


「そうだなあ、たんに通過点という感じですかね」


とくに、誰も質問してくれないので、

勝手に質疑応答もしちゃう(笑)。


さて、ワタシが30周年を迎えた今年、

業界歴20周年を迎えようという人物がいる。

『サムライTV』キャスターの三田佐代子さんだ。

1996年12月より放送が開始された

24時間プロレス・格闘技専門チャンネル『サムライTV』にて、

開局から現在までキャスターとして第一線で活躍している三田さん。


ワタシが番組に呼ばれるようになったのは、

たしか1997年暮れごろからと記憶しているから、

三田さんとは18~19年くらのお付き合いとなる。


1999年1月、ワタシが『週刊ゴング』編集長になってからは、

ほぼ毎週のように何らかの番組に解説で呼ばれるようになった。

そこでの相方となるキャスターも三田さんが圧倒的に多かった。


だから、地上波、BS、CS放送を問わず、テレビ媒体において、

もっとも数多く共演させてもらった人物が三田さんということになる。





メジャー、インディー、女子プロから格闘技まで、

豊富な知識とネタを持つ三田さんには文才もあるだろう。


そう思ったワタシは、編集長時代に三田さんにオファーを出して、

当時の『週刊ゴング』で「サヨコ・アリーナ」という連載コラムをもってもらった。


思ったとおりで、三田さんのコラムは中身が濃かった。

しっかりと取材していて、事実を曲げるようなこともないし、

どの団体、どの選手を対象にした文章であっても、

その根底には選手へのリスペクトとプロレス愛が溢れていたのだ。


あ、ひとつ思い出した。


なにか過去のアルバムと比べてどれだけ風貌が変わり、

いろいろな選手が成長してきたか?

そんな話がコラムのテーマだったときだと思う。


そこで三田さんが凄まじいオチを用意していたのだ。

ええい、もう書いちまえ! という感じ。

あれは、自分で書きながらにして相当な勇気がいったろうなと思う(笑)。


「そんな私ですが、自分の高校生時代の卒業アルバムを見てビックリ。

まあ、木村カエラにそっくり!」


これには業界中が騒然として(笑)、

ワタシや周囲の人たちはしばらく三田さんのことを、

「カエラさん!」と呼んでいたものだ。


でも、今となっては本当に楽しい思い出。

それに三田さん本人に確認してみたところ、

彼女にとって初めて受け持った連載コラムが、

あのときの「サヨコ・アリーナ」だったと言う。


またまた前置きばかりが長くなった。
本題に入ろう。

あの当時から10年以上の歳月を経て、

三田さんがついに単行本を書いた。




プロレスという生き方 平成のリングの主役たち


5月9日発売、つまり絶賛発売中!

発売元=中央公論新社(中公新書ラクレ)

定価=840円(税別)


発売記念イベント=(1)「三田佐代子のここだけの話」

5月14日(土)20時~21時、東京・中井「伊野尾書店」店頭。


(2)男色ディーノさんと三田さんの対談。

「あなたの心に男色ナイトメア!プロレスはまたなぜ面白くなったのか」

5月25日(水)19時~(1845分開場)、紀伊国屋書店新宿本店 

8階イベントスペース 定員50名。


いきなりトークイベント2連発とは、

出版社も書店も気合が入っている証拠。


それにしても本の体裁がいい。

新書なので250ページ以上ありながら軽いし、

文字の大きさもちょうどよくて読みやすい。


それでは、肝心の中身の御紹介。


        ☆     ☆      ☆     ☆


なぜ今また面白くなったのか?

プロレスは幾度かの困難な時期を乗り越えて、
いま新たな黄金時代を迎えている。
馬場・猪木の全盛期から時を経て、
平成のプロレスラーは何を志し、何と戦っているのだろうか。
メジャー、インディー、女子を問わず、
裏方やメディアにも光を当て、その魅力を活写する。
著者はプロレス専門チャンネルに開局から携わるキャスターで、
現在も年間120試合以上の観戦・取材中。

棚橋弘至、中邑真輔、飯伏幸太、里村明衣子、レフェリーの和田京平etc.

目次

はじめに 今ここにあるプロレス

第一部 メジャーの矜恃・インディーの誇り

中邑真輔 美しきアーティストが花開くまで
飯伏幸太 身体一つで駆け上がった星
高木三四郎 「大社長」がすごい理由
登坂栄児 プロレス界で一番の裏方
丸藤正道 運命を受け入れる天才
コラム1 プロレスとメディア

第二部 女子プロレスラーという生き方

里村明衣子 孤高の横綱はなぜ仙台に行ったのか?
さくらえみ 突拍子もない革命家


第三部 プロレスを支える人たち

和田京平 プロレスの本質を体現する番人
橋本和樹に聞く 若手のお仕事
棚橋弘至 プロレスをもっと盛り上げるために
コラム2 寂しがり屋の「破壊王」橋本真也さんの思い出

おわりに 震災とプロレス


        ☆     ☆     ☆      ☆


主役として取り上げられた選手、関係者の人選を見ても、

いかにも三田さんらしいではないか?


メジャー、インディー、女子プロからレフェリー、フロントまで。

だけど、描いているのものは人間である。

もっと言うならプロレスに関わる人間の魅力である。


引用するコメントのひとつをとっても正確だし、

歴史における事実を捻じ曲げたものなどあるわけもない。


ここ最近、プロレス関連の書籍、ムックなどを眺めると、

事実関係がコロコロと変わっていたりする。

しかも、同じ人物が以前と180度違ったことを主張していたりする。


そういう点においても、三田さんは信用のおける人。

キャスターという立場で、広く深く業界を見てきたからだ。


信頼に値する人物による良書。

ぜひ、読んで手もとに置いておいてもらいたい。


            


ええい、もうここまできたらサヨコ特集だ!

これは、××歳の誕生日を迎えた日の番組終了後に、

スタッフから誕生日ケーキをプレゼントされた三田さん。


えーと、いつだったのか、何歳の誕生日だったのかは、

その場にいながらワタシもまったく憶えておりませーん!