ゴング新装刊1号の表紙は先だって公開したとおり、

現IWGPヘビー級王者の棚橋弘至。


これに関して、ファンブログでアクセス数№1を誇る『カクトウログ』さんに、

「棚橋の取材&撮影をを行なったのは、昨年12月28日だろうから、

ベルト姿以外の撮影も行なっているのだろうか?」という疑問というか、

『ゴング』の真意を探るような一文が掲載されていた。


まずもって、私たちが棚橋の撮影&取材を行なったのが、

12月28日と推測したことには、「さすが!」と言うか脱帽だ(笑)。


ドンピシャリである。

私が当日早朝に更新したブログで、

「これから超大物の取材に行ってきます」と書いたこと、

当日夜に棚橋が自身のブログで、

「今年、最後の取材に行ってきました」と書いていたことから、

そういう答えが自然と出てきたのだろう。


そこで、カクトウログさんだけではなく、

ファンのみなさんにも『ゴング』表紙の意図を説明しておきたいと思う。




まず、新装刊第1号(創刊号)の表紙の人物は、

すでに昨年11月の時点で決まっていた。


棚橋弘至。


それも東京スポーツ制定『プロレス大賞』のMVP授賞が決定する以前の話。

1・4東京ドームでのメインイベント、IWGPヘビー級選手権(vsオカダ・カズチカ)

の結果がどう出ようとも、棚橋でいこうと決めていた。


2007年3月に『週刊ゴング』が休刊して以来の7年と9カ月、

やはりプロレス界を牽引してきたのは棚橋である。

そういう単純で明快な理由からだ。

ここで、なにも奇をてらう必要はないと思った。


だから、スタジオ撮影の際も、ベルト云々はひとまず置いて、

棚橋の魅力を最大限に引き出すことを狙った。


いでたちは、試合コスチュームのみ。

上のガウン(ジャケット)は不要だった。

なぜって、タナの魅力は顔(表情)と肉体美にある。

そこに、オプションとなってくれるのが、もちろんIWGPベルト。


実際に撮影では、8割が棚橋の裸バージョンであり、

最後にベルトを巻いた棚橋を2割ほど撮らせてもらった。

もちろん、ベルトを肩に乗せたバージョンなどない。

ベルトを肩に掛けると、棚橋の肉体がそのぶん隠れてしまうから。


「ベルトは肩に掛けるものじゃなくて、

やっぱり腰に巻くものだよね!」


撮影に同席した私たちスタッフ、表紙のデザイナー、

撮影したカメラマンと、みんなの意見が一致した。


だから、グラビアページを見てもらったらわかると思う。

スタジオ撮影の絵だけで6ページ、インタビューで6ページ。

そのグラビアの棚橋はすべて裸のままだ。


かといって、私たちにしても、オカダには申し訳ないが、

できれば棚橋のベルト姿も使いたいわけだから、

1・4ドーム大会では心の中でタナ応援にまわっていたし、

棚橋勝利の瞬間、「よし!」と思ったのも事実。

こればかりは、本音だからしょうがない(笑)。


結果的に、デザイナーさんとカメラマンさんの

ちょっとした思い付きから出たリクエスト…

「力道山ポーズ」でじつにハマった最高の絵があったので、

それを表紙にしたわけである。


ついでに言うなら、インタビューも12月28日時点でのもの。

1・4ドームを終えてからの付け足しなどいっさいない。

私も最初からそのつもりでインタビューしている。


なぜなら、この8年弱の空白を埋めることがひとつの目的であり、

また、1999年10月の棚橋デビュー戦(vs真壁伸也)を『週刊ゴング』で

カラ―グラビア2ページを割いてレポートしたのも私だから。


当時、私は『週刊ゴング』の編集長。

編集長がデビュー戦の試合レポートを書くというのは極めて稀だし、

なぜそういうことになったのか、思い出すことができない。


ただ、自ら「ダイナマイト・キッドのような選手になりたい!」と言った棚橋のデビュー戦を

「合格点デビュー」とかなり絶賛していたことだけは憶えている。


そういった歴史を踏まえて、棚橋弘至というレスラーが出来上がるまでを

時代の節目節目を振り返りつつ検証してみることもインタビューの目的だった。

とにかく、これは読んでいただければわかると思う。




思い出してもらいたいのだが、

復刊0号の中邑真輔の表紙も同じ感覚だった。

撮影したのも、インタビューを行なったのも、

昨年の8月11日…つまりG1優勝戦(西武ドーム)の翌日である。


結果はご存知の通り、オカダの優勝、中邑の準優勝に終わっている。

それでも、1ヵ月以上前から決めていたとおり、真輔表紙になんの変更もなかった。


いま、中邑真輔がもっともセクシーで輝いている!


これがすべてであり、スタッフの意見が一致していたからだ。

週刊誌であれば当然オカダなのだが、月刊だから真輔。

(※あ、ヤバイ!まだ月刊とは正式発表していなかったね…)。

ここがまた、紙媒体のおもしろさなのである。


というわけで、この表紙の選抜、決定ひとつをとっても、

週刊サイクル時代とは違った思考を働かせている。


そこもまた本を作るうえでの楽しみとなってくるのだ。