すべての道は10・13両国へとつづき、

さらには、1・4東京ドームへとつながる。


そういった趣きで開催された新日本プロレス

9月シリーズの天王山2連戦。


9・21神戸ワールド記念ホール大会(8000人=超満員)、

9・23コンベックス岡山大会(3600人=超満員札止め)の

2大ビッグイベントに関して、ひさびさに登場するあの2人に

存分に語ってもらいまひょ!!


GK  神戸、岡山とじつに中身の濃い大会だったねえ。

    お客さんもよく入っていたし…。

金沢 神戸大会の5日前かな? プロモーターの星野さん(新日企画)と

    たまたま電話で話す機会があったんだけど、そのときは集客を

    ちょっと心配していたんだよ。

GK  ああ、アレでしょ?  

    直前になって、岡山のカードが充実してきたから食い合っちゃうという。

金沢 そうそう、なんせ神戸と岡山は新幹線なら30分ちょっとの距離だからね。

    ところがフタを開けてみたらよく入ったよねえ。

    アリーナのイス席も昨年より増設したっていうからさあ。



GK  じぁあ、早速、神戸大会の総評からいってみようか?

金沢 まずね、神戸ではここ最近の新日本とは違う空気を感じたんだよね。

    第1試合から6人タッグ、6人タッグ、8人タッグと続いたでしょ?

    だから、客席の雰囲気が少し散漫というか、ザワついていた感じがした。

GK  あ、それ分かる。

    つまり、2年ぐらい前までの新日本の空気感だったと。

金沢 そう、だからこっちが本来の新日本の会場の空気なのかなって、

    逆に少しばかり懐かしい感じがしたんだよ。

    だって、この数年は後楽園ホールを筆頭に、ビッグマッチではどこの会場でも

    試合開始前から勝手にお客さんが出来上がっているじゃない?

    むしろ、こっちうのほうが健全な世界なのではないだろうかと(笑)。

GK  どっちにしろ選手層が厚すぎるがゆえの贅沢な悩み(?)だろうね。

    第4試合のタッグマッチで鈴木みのると桜庭和志が

    激しくやり合い始めたあたりから火が点いたよね。

金沢 この2人は岡山でもガッツリやり合ったじゃない?

    互いに相手の足を壊しにいくっていう戦法で。

    関節技で壊しにいくっていうところにUWFを感じるし、

    そこにまた緊張感が生まれていいんだけど、

    両国でもタッグ対決(桜庭&矢野vs鈴木&飯塚)になるんだよね。 

GK  ということは、言わずもがな!

    鈴木みのるvs桜庭和志の初一騎打ち、

    1・4東京ドームで決定じゃあー!!

金沢 その大仁田厚みたいなアピールはなんなんだよ(笑)。

    それにもし誤報になったらどうするの?

    その予想が外れたらキミは坊主じゃなく、パンチパーマにしたまえ!

GK  中堅時代の長州力みたいに?

金沢 いま、俺の前でその名前は出さないでよ(笑)。

    また、めんどうくさいことになるから。

    だけど、鈴木に喧嘩を売られてから、桜庭の目の色が変わってきた。

    ようやく桜庭に火が点いた感じだし、2人の腕の取り合いが俺は大好きなんだよね。

GK  よーし、東京ドームで決定じゃあー!!

金沢 しつこいよ(笑)。それより次のIWGPジュニア選手権で大波乱。

    KUSHIDAが田口のアンクルホールドにクッシ―だ!

GK  ”屈した”にクッシ―だ!を掛けたわけかい…アンタもいい加減にせーよ(笑)。

金沢 すまん。だけど、田口の場合、なんと7年ぶりの王座返り咲きだからね。

    そこに歴史を感じずにはいられない。

    田口ほどの選手でも、タイミングを逸したら7年もベルトから離れてしまうと。

GK  試合後に、クッシ―への感謝の気持ちも口にしていたよね。

    「チャンピオンが火を点けてくれた」って。

    あれは素直な気持ちじゃないかな?

金沢 田口って、すごく個性的でおもしろい人間なんだよね。

    だけど、それがリング上ではあまり出てこない。

    リング外のほうがファンキーなんだから。

    こうやってベルトを巻いたのを機に、本当に好き勝手にやるというか

    オリジナルの個性をどんどん打ち出してほしいね。

GK  一方のクッシ―にも落ち込んでいる暇はないでしょ?

    シングルは失ったけど、ジュニアタッグは群雄割拠で、

    いまジュニアタッグを死守することに全力を傾けないといけない。

金沢 そう、これだけジュニアのタッグチームが充実していたら、

    その価値観はシングルに劣らないものがあるからね。



GK  休憩明けの内藤哲也&飯伏幸太vsAJスタイルズ&タマ・トンガ

    注目の顔合わせだったね。内藤&飯伏の同年代コンビは格好いいし、

    飯伏とAJの初対決も新鮮だった。

金沢 飯伏とAJは触れ合った程度だったけど、

    いずれガッチリとシングル対決を見てみたい。

    それに内藤&飯伏のコンビは継続してほしいね。

    ”ハイスピード”ヘビー級コンビとしてIWGPタッグ戦線にも顔を出してほしいし。

    内藤&飯伏vsアンダーソン&ギゃローズのタイトルマッチが実現したら、

    ここ最近にないまったくタイプの違うIWGPタッグ選手権が見られそうだよ。 



GK  IWGPタッグ戦といえば、こちらの試合もよかったねえ。

    YOSHI-HASHI人気がここ神戸でも大爆発した。

    オカダ・カズチカが見事にフォロー役に回ってヨッシ―も全開だった。

金沢 ギゃローズに決めたスワントーンボムで勝負あり!と思ったけどね。

    あの瞬間、ワールド記念ホールが大爆発して、

    オレも思わずバンザイしそうになったよ。

GK  ところがどっこい高橋裕二郎が介入してきた。

    あれは汚いし、許しちゃいけないことだけど、

    あれがバレットクラブのやり口だからなあ…。

金沢 ヨッシ―の初戴冠はならなかったけど、

    この2連戦の主役はある意味、ヨッシ―なんだから

    試合内容で岡山に期待を抱かせてくれたことだけは間違いないね。 



GK  だけど、いつもバレットクラブにボコボコにされている岡本記者(東スポ)が

    2本のベルトを肩に掛けられて嬉しそうだね。

金沢 ハッハハハ…油断していると次はまたボコられるんじゃない(笑)。

GK  因縁の真壁刀義vs後藤洋央紀も気合のこもった好勝負になった。

金沢 真壁がようやく本来の調子を取り戻してきたよね。

    G1のときは正直シンドかったと思うんだよ。

    あと、真壁との抗争で後藤が変わってきたね。

GK  たしかに、漂うムードが違ってきた。

    いままでの後藤は試合前でもポーカーフェイスだったのに、

    試合が近づくと徐々に入り込んでくるのがわかる。

    ちょっと話し掛けづらいような空気感を出すようになった。

    試合もますますデンジャラスになってきたし…。

金沢 ちょっと破壊王になってきたよ、最近の後藤は!

    あのリバースの牛殺しで、真壁は鼻に裂傷を負うわ、

    鼻血をだすわ、前歯までぐらついたって言ってたよ。

GK  「色男が台なしだろ!」って怒鳴っていたけど、

    内心、真壁はしてやったり!じゃないかな?

    敵対しつつも後藤の覚醒を願っているような感じにも見えたから。

金沢 それが岡山につながったんだろうね。

    岡山でのタッグマッチのあと、後藤が険しい顔で訴えていたでしょ?

    あとで真壁に聞いたら、「本隊同士でいがみ合っている場合じゃない、

    バレットクラブからベルトを取り戻さないと」とか言っていたらしい。

    それで真壁も握手に応えたわけだからね。



GK  そして、思わぬ結末が待っていた問題の一騎打ち。

    柴田勝頼が新日本マットにカムバックして以来、1勝1敗で迎えた

    棚橋弘至vs柴田の新闘魂三銃士対決・決着戦じゃあー!!

金沢 どうも君はエキサイトすると、大仁田調になるんだね(笑)。

GK  そりゃそうだよ!

    あの田園コロシアム、ラッシャー木村の「こんばんは」事件以来の

    歴史に残る名セリフが飛びだしたんだから。

金沢 歴史に残るのはわかるけど、ちょっと種類は違うような気がするけど(笑)。

    ともかく、試合内容もよかったねえ!

    過去2戦と比較しても、今回がイチバンよかったんじゃないか?

    試合を観ていてね、これはもう憎しみとかそういう感情を超えてるなと思った。

GK  最後のシーンは想像を超えていたよ。

    ダウンしている柴田に棚橋が近づいていった。

    2人が向かい合って…ふつうなら柴田が張り手をかますとか、

    棚橋が差し出した手を払うとか、無視して引き揚げるとか、

    そういうシーンしか思い浮かばないのに、握手をして会話を交わして

    笑顔で抱き合ったんだから、もうビックリだった。

金沢 タナの笑顔がよかったよねえ。

    そのあと、涙目になっていたしね。

GK  試合後の棚橋のコメントを一応、再現しておくね。

    「とりあえず、『G1』の雪辱は返した。そういうこと。

    10年間、俺の10年間ばっかり注目されてるけど、柴田の10年間だって、

    もちろんいろいろあったと思うし、俺は受け止められることはしないけど、

    この10年間を感じることはできた。まさかね、柴田があんなことを言うとは…。

    いろいろしゃべったんですけど、『新日本を守ってくれてありがとう』って。

    どの口が言ってんだか知らねぇけどさ、ずるいわ。

    まあ、いろいろ言ってきたけど、闘う相手だけども、俺の存在、俺のコメント、

    口撃がアイツの未来を妨げるんであれば、それは俺の本意じゃないから。

    せっかくプロレスに対して、楽しさを抱いてる、充実感を抱いてるのであれば、

    自由にやってほしい。今まで言ってきたのは、そんなお礼の言葉じゃなくて。 

    プロレスってさ、こうやってわかり合えて。

    もちろんくれぐれも言っとくけど、闘ってる相手には変わりないけど、

    俺から柴田に一言いうとしたら『おかえり』って。 

    まぁ、でもそれは今日限りの気持ち。 

    また両国に向かって、岡山、全力で振り切っていくから。よし!」

金沢 うーん、あのシーンを見ると、柴田が『キリトルTV』(テレビ朝日)の

    レギュラーを狙っているという説もあるんだけど(笑)……

    それは冗談として、ジーンときたよねえ。

GK  アナタはコメント終了後、東スポの岡本記者と一緒に

    棚橋にまた話を聞いたんでしょう?

金沢 うん、タナはいい顔してたよね。

    「どんな会話をしていたんですか?」と聞くと、

    「もうヤングライオン時代の話とか、そんなことまで言うから…ずるいよね」

    って笑っていた。

    それから、「タナは実際にはリングでなんて答えたんですか?」と聞くと、

    「うん、『お帰りなさい』と言いましたよ」とハッキリ教えてくれた。

GK  じゃあ、正確には「新日本を守ってくれてありがとう」と

    「お帰りなさい」なんだね。

    でもやっぱりぜんぶ知りたいから、『キリトルTV』で解読してほしいなあ。 

金沢 オレ、ちょっとジーンときたからね、帰り際の棚橋に向かって、

    「棚橋弘至はやっぱり最高のレスラーだね!」って、

    なんか場違いな言葉を掛けてしまったよ。



GK  では、結果的にこのセミファイナルのドラマに食われてしまった感もある

    IWGPインターコンチネンタル選手権だけど、

    この半年で4度目の同一カードで、しかも関西圏で3度目の一騎打ちとなった。

金沢 オレ個人は、今回の試合がイチバン内容がよかったと思うよ。

    というのも、バッドラック・ファレがさらに成長しているから。

    シングル4度目で、タッグでも何回も当たっているから相手の攻撃が読める。

    ファレはどっしりと落ち着いて、中邑真輔の腰に集中打を浴びせていったけど、

    ああいう大きな外国人選手の一点集中攻撃を食らったら堪ったもんじゃない。

    試合後も、真輔は腰を押さえて本当にしんどそうだったからね。

    コメントブースでも、すぐに言葉が出てこなかったし。



GK  あと、ファレが最近使い始めたアルゼンチン・バックブリ―カ―から

    そのまま前方へ投げ落としてのバックブリ―カ―は

    若手時代の中西学の得意技だったよね。

    それを思い出すと、当時の中西がヤングライオンと呼ぶには

    いかに規格外の男だったかが分かる(笑)。

金沢 まさにファレはトンガ版ゴジラだった。

    ゴジラvsイャオトラセブンというのがピッタリくる試合だったね。

    ゴジラのバズーカ砲に、セブンが機関銃の連射で対抗して、

    最後にようやく怪獣を沈めた感じだね。

GK  あの真輔をして、「願うなら、(ファレには)№1コンテンダ―にはなってほしくない」

    と言わしめた成長ぶりだからなあ。

    だけど、真輔は『ゴング』のアナタのインタビューには、

    「ホントのこと言うと、ベルトをもっと転がしてからのほうがいいと思う」って、

    挑戦にはあまり乗り気じゃないようなコメントをしていなかった?

金沢 あれはしょうがないよ。

    だって、西武ドームでのG1優勝戦の翌日にやったインタビューだから。

    いくら真輔でもG1を走破して優勝戦まで闘っておいて、

    その翌日に「さあ、ベルト挑戦だ!」なんて気持ちにはならないよ(笑)。

    でも、あれから6週間、夏休みもとって気分転換はできたし、

    しっかりと次を見据えて行動を起こすんじゃないの。



GK  「(ベルトを)好きなように使わせてもらう!」と言っていたね。

金沢 10・13両国大会のカードは、中邑&YOSHI-HASHIvs柴田&後藤でしょ?

    ということは、G1公式戦の借りを返すという真輔の希望がそこに入っている。

    当然、オカダ、棚橋、柴田には順番に借りを返さなきゃいけないわけで…

    こうなると、まずは柴田戦になるだろうね。

GK  よーし、1・4東京ドームで中邑vs柴田のインターコンチ戦、決定じゃあー!! 

金沢 また勝手に先走る(笑)…しかもまた大仁田厚になってるって!

    それにドーム、ドームと浮かれているけど、その前に11・8大阪府立体育会館という

    ビッグマッチがあることを忘れているんじゃないの?

GK  し、しまった……。


(※岡山大会総括へとつづく)