2003年の第10回大会、京都市体育館での

優勝戦開催(優勝=垣原賢人)以来、

11年ぶりに後楽園ホールを離れ

国立競技場代々木第二体育館で

優勝戦が行なわれた『BEST OF THE SUPER Jr.ⅩⅩⅠ』。


そういえば、昨年の同大会を前にサムライTVの新日本特番に

一緒に出演したKUSHIDAは、こう言っていた。


「今はスーパージュニアの優勝戦といえば後楽園ホールが当たり前ですけど、

昔のトップ・オブ・ザ・ス―パ―ジュニアの時代から90年代というのは、

両国や日本武道館、大阪府立でやっていたじゃないですか?

僕はジュニアをそういう時代に戻したいし、

そのためにも優勝して、それを声を大にして言いたいんです!」


ところが、またしてもKUSHIDAの夢…

スーパージュニア制覇はかなわなかった。

その一方で、青年の主張はしっかりと会社を動かした。


なんと、11年ぶりに後楽園ホールを離れ、

代々木第二体育館がファイナルの会場に用意されたのだ。

ちなみに3年連続で、今年も私の推すⅤ本命はKUSHIDA。


「またダメだった、届かなかった。何が足りないんだ?

リコシェよりも、このリーグ戦に参加する誰よりも、

俺は『スーパージュニア』に身も心もつぎ込んだ。

参加者だけじゃない、

新日本で育ったジュニアの選手たちよりも(その思いは)

強いと思っている。

時間は長さじゃないんだから、濃さなんだから。

チクショー、上等だ。

スーパージュニア、来年待ってろ!」


これは念願のファイナルのリングに立ちながら、

準優勝に終わったKUSHIDAの言葉。


何が足りないかって?

それは…時の運としか言いようがない。

リコシェとKUSHIDA。

どちらが勝者でも文句のつけようのない闘い、

今年のジュニアの頂点を決めるに相応しい試合だったと思う。


それでは、6・8代々木大会を最悪の体調を押して取材したという

金沢氏と気楽なGK氏に総括してもらおう。

ちなみに、大会終了後、金沢氏は熱も平熱に戻り、

元気に帰宅の途についたとさ!(※めでたし)。



GK  10日間のシリーズで開催された今年の『スーパージュニア』だけど、

    開幕戦の後楽園ホール、4戦目の後楽園ホールを取材して、

    2戦目(5・31静岡)、3戦目(6・1明石)は、サムライTVの

    『速報!バトル☆メン』に出演したときにダイジェストで観たそうだね。

金沢 うん。コズロフがいきなり左肩脱臼で欠場したのは残念だったけど、

    全体的に外国人勢がのびのびと闘っていたような気がする。

    ケニー・オメガ、ロッキー・ロメロ、アレックス・シェリー、リコシェ、

    マスカラ・ドラダ、ヤングバックスとみんな元気だったね。

GK  シェリーがごく普通に試合中、シェルショックを使っていたよね?

金沢 あれには驚いた。

    モーターシティ・マシンガンズを結成してから、

    シェリーはシェルショックを使わなくなっていたから。

    そういえば最近復帰してきた元パートナーのクリス・セイビンも

    マシンガンズのときはクレイドルショックをあんまり使わなかったなあ。

GK  こだわりを持ってやっていたんだろうね。

    だけど、せっかくのシェルショックはやっぱりフィニッシュにしてほしいなあ。

    ウチら、シェリーの初来日から知っている人間からしたらねえ。

金沢 シェリーといえば、シェルショックとチェーンレスリングが代名詞だったからね。

    あと、後楽園ホールでの2大会、最終戦の代々木を観てビックリしたのが、

    リコシェの異常人気。参加選手中、イチバン人気と言ってもいいほど。

    たしかに2連連続エントリーになるんだけど、去年はそこまでじゃなかったよね。

GK  いや、去年も沸いていたよ。でも今年はもっとリコシェ・コールが凄かった。

    一昨年参加のPACも初参戦なのに人気は凄かったよ、そう言えば。

金沢 ちょっと俺、そこがイチバン分からないところなんだよ。

    つまり、そんなにリコシェはプロレス界で知名度のある選手なのか?

    はたまた、ドラゴンゲートのファンが多数駆け付けてきたのか?

    または、新日ファンとドラゲ―ファンは被っているのか?

    いやぁ、マジで会場の空気を分析できない新日本の大会というのは、

    俺にとって初めてかもしれない…これは悩むところだよ!

    オイラもついに時代に取り残されたのかなって…。

GK  そんなに悩まなくても…(笑)。

    いま言った二番目と三番目じゃないかな?

    まず、ジュニア中心のシリーズということで、客層がまたちょっと違ったよね。

    つまり、ジュニアファン、ドラゲ―ファン、リコシェファンが集まっていた。

    それとアンケートをとったわけじゃないけど、最近の新日本ファンの

    若返り現象というか、若い女性ファン急増という面も含めて、

    ドラゲ―ファンと被っている層もあると思うよ。

    それに加えて、リコシェが見違えるほど強くなってきたこと。

金沢 なるほどね。5月まで第18代『オープン・ザ・ドリームゲート』王者、

    ドラゲ―の頂点にいたわけだもんね。

    しかも外国人選手初の快挙だったわけだから。

    ドラゲ―は中量級中心で試合が軽く見られがちだけど、

    レベルは高いし、トップ争い、世代闘争などサバイバル戦争は半端じゃない。

GK  いま世代交代が進んできてトップ争いをしているのは、

    リコシェ、そのリコシェを破ったYAMATO、B×Bハルクといったところらしいよ。

金沢 みんな、スーパージュニア経験者だし、スーパージュニアに出たあと、

    一皮剥けた感があるよね。

    PACもスーパージュニアに出た直後にドラゲ―を卒業して、

    WWEと契約し、 傘下団体のNXTでデビューしているから。

GK  あのー、ドラゲ―ガイドはそのぐらいにして、代々木大会の話をしよう!

金沢 了解ゼァビックリマーク

GK  永田裕志の返信メールかい(笑)。

金沢 よろしくねドキドキ

GK  それは天山の返信メールだってば!

    やたらとハートマークが付きまくる(笑)。

    だからもう逸れるなって…本題です!

    まず、ジュニア以外で目に付いた試合は?

    結局、この日のヘビー級戦線はすべて6・21大阪『DOMINION』へ

    つながる結果となったわけだけどね。

金沢 第3試合のタッグマッチがかなりおもしろかった。

    永田&キャプテン・ニュージャパンvs後藤洋央紀&柴田勝頼だけど、

    これが殺伐とした新日本らしい空気を醸し出していたよ。

GK つまり、永田と柴田が気持ちを入れてぶつかり合えば

    こうなるってことだよね?

    あと、キャプテンがよかったね。

    キャプテン史上ベストバウトじゃないの?

金沢 そうそう、大会終了後、駐車場の前で永田とバッタリ会ったんだけど、

    「今日はキャプテンよかったねえ!」って他人事のように言っていた(笑)。

GK  序盤の柴田とキャプテンのレスリングの攻防には唸った。

    キャプテンだって、名門・専修大学レスリング部出身の実力者だからね。

    そのくせ、タックルに膝蹴りを見事に合わせられて悶絶したり、

    終盤、柴田をぶっこ抜いてジャーマン・ス―プレックスで投げたりと、

    キャプテンのいいところと、不甲斐ないところが存分に出て、

    やっぱりキャプテン史上ベストバウトだよ!

金沢 永田と柴田に関しては、柴田が新日本に参戦してきた

    当初もタッグで当たっているけど、テーマは永田vs桜庭だったから、

    そんなに気持ちは入れ込んでいなかった。

    だけど、後藤&柴田になると、視線は柴田に行くよね。

    かつて、第三世代vs新闘魂三銃士で世代闘争を展開していた過去もあるし、

    そういうことを抜きにしても、永田裕志という存在は、つねに棚橋、中邑、柴田の

    前に立ちはだかっていた歴史があるから。

GK  そこで最初に仕掛けて行ったのが柴田だった。

    なにかね、この数カ月、柴田は後藤とのタッグ戦線に回っていて、

    テーマがないというか、本人からも生き生きした表情が消えかかっていた。

    ニュージャパンカップの2回戦敗退あたりから、

    柴田の流れがストップして停滞しているように感じたんだけど。

    棚橋と柴田だって、いくら舌戦をしたところで、

    シングルでやらなきゃ炎上しないからね。

金沢 いいこと言うね。

    で、柴田が仕掛けたシーンは…キャプテンにPKを見舞うと見せかけて、

    コーナーの控えにいる永田をフロントハイキックで場外へ蹴り落としたところ。

    完全に不意を衝かれた永田は吹っ飛んだんだけど、

    あそこでスイッチが入ったよね。

GK  エルボー合戦、キック合戦、膝蹴りと…よかったねえ。

    相手のセオリーの動きをブチ壊して入れていったでしょう?

    ああいうところに、永田の言う「本来の新日本」というのを感じるんだよね。

金沢 あとね、これは俺だけなのかな?

    柴田を観ていて不思議な錯覚にとらわれたんだよね。

    柴田の動きに、KENTAが被って見えたの。

    初めてなんだよね、こんなこと。

    「なぜだろう?」と考えてみたら、2月のディファ有明で永田vsKENTAの

    GHCヘビー級選手権を生で取材しているから、

    その残像が残っていたんじゃないかなあと。

    あとは、柴田の中に盟友KENTAを継いでいく気持ちがあって、

    それが動きに出ていたのかもしれない。

GK  なるほどね。アンタはそんなにKENTAの試合を観ているわけじゃない。

    それなのにそう見えたってことは、ちゃんと理由があると思うよ。



金沢 試合後の永田がひさしぶりに煮えたぎった表情を見せていたね。

    コメントも冴えていた。

GK  「新日本ってなんだ?  感情、怒り、悔しさ、妬み、

    そういうものをごちゃ混ぜにしてぶつけるような試合が新日本だろう。

    あいつらだけか、新日本でそれが感じられるのは? 

    そういうものをさらけ出して、ぶつけ合うのが新日本の闘いだろう。  

    新生・新日本、まさかそういうものを捨て去ったわけじゃねえよな?

     もしそういうものがないなら、また持ち込めばいいだけだから。

    俺はまだまだやるぜ!」

    永田らしい言葉のオンパレードだね。

金沢 中邑真輔がよく言うじゃない。

    自分と永田、鈴木みのるが絡むときに、3人を称して”絶滅危惧種”って。

    柴田勝頼も間違いなく絶滅危惧種の1人なんだよね。

GK  これを受けて、大阪では永田&本間vs後藤&柴田のタッグマッチが決定と。

    10年越しにまた火が点いた永田vs柴田だから、大炎上してもらいたいな。



GK  スーパージュニアの準決勝は、KUSHIDA、リコシェが

    勝ち上がったけど、田口隆祐の敗退は波瀾になるのかな?

金沢 最近、ますます阿部寛に似てきた(笑)。

GK  それ、関係ないから。

金沢 だから会場の声援も含めて、リコシェに風が吹いていた感じ。

    田口から絶対に勝つというオ―ラがあまり感じられなかったね。

    阿部寛に似ていたけど…。

GK  もうそれはいいって。

    休憩明けの遺恨カード、鈴木軍(鈴木&飯塚)vsCHAOS(矢野&邪道)は、

    まさかの幕切れから新展開となったねえ。

    袋叩きに遭う矢野を救出したのが桜庭和志とは…。

金沢 どこまでカオスなんだって!

    だけど、4・6両国で初遭遇した鈴木と桜庭の因縁がその場限りではなく、

    ここで生きてきたのは嬉しいねえ。

    両国では軽く肌を合わせただけだったのに、

    やっぱり何とも言えない緊張感と郷愁のような感覚を味わうことができたから。

GK  みんなの心の中に”UWFのテーマ”が鳴り響いていたからね。

金沢 大阪では、矢野&桜庭vs鈴木&飯塚という顔合わせになるけど、

    妄想しちゃうんだよね(笑)。

    桜庭はレガ―スを装着、矢野はレスリングの吊りパンで、

    飯塚も鈴木に合わせて黒のショートタイツで現れる。

    4人がガチガチのストロングスタイルの勝負を見せて、

    飯塚のサンボ殺法が炸裂すると…。

GK  あり得ないね(笑)、炸裂するのはアイアンフィンガーだよ。

    だけど、鈴木vs桜庭の攻防はなるべく長く観ていたいね。



GK  他の試合では何か発見はあった?

金沢 セミの8人タッグ、中邑&オカダ&石井&YOSHI-HASHI

    vsファレ&アンダーソン&裕二郎&ヤングバックスの試合かな?

    大阪でのインターコンチネンタル選手権(中邑vsファレ)と、

    因縁が生まれた石井と裕二郎の前哨戦になったわけだけど、

    オカダが見事に存在感を消していた(笑)。

GK  それって、いいことじゃないじゃない!?

金沢 いや、いい意味で。

    主役は真輔なんだから、ここはつなぎに徹すると。

    それでも、魅せるところは見せていたしね。

    なんでもかんでも目立っているより、

    時には存在感を消してファ・ザ・チームというのも必要だなあと。

GK  その試合はそれだけ?

金沢 いや、ホントはヤングバックスに驚いたんだよね。

    スーパージュニアでは、彼らは本領が出なかった。

    やっぱりタッグ屋なんだよね。

    そこでこの顔合わせでいくと、彼らだけがジュニアで

    絶対不利に思えるでしょう?

    でも、ニック・ジャクソン、マット・ジャクソンじゃなくて、

    合体したヤングバックスになると、真輔やオカダとも堂々と

    互角以上に渡り合うんだよね。

GK  たしかに、ヤングバックス連係・合体に真輔とオカダが

    タジタジになるシーンもあった。

金沢 あの俺ね、タッグチームの原則は1+1が3にも4にもなるっていう

    決まり文句をまったく信用していないというか、

    1+1は絶対2だし、強いやつと強いやつが組めば単純に強いんだと。

    そんなのハンセン&ブロディを観たら一目瞭然じゃないかとずっと思ってたんだよ。

GK  アンタがずっとプロレス界の常識と定石を疑っていたとは…

    これは事件だし、聞き捨てならないな! 

金沢 だけど、この日のヤングバックスを観て目から鱗だったよ。

    こいつら、2人そろったらここまで強くなるんだって。

    正直、彼らは立ち居振る舞いが下品だから、

    あんまり好きじゃないんだけど、タッグチームとしては近年の最高傑作だよね。



GK  では、まさかのヤングバックス押しが出たあとで、

    ようやくメインイベントのスーパージュニア優勝決定戦です。 

金沢 苦節5年、KUSHIDAのための晴れ舞台、KUSHIDAのための優勝戦

    だと、入場シーンを観ただけでジーンときていたのは俺だけかい?

GK  いや、そんなことはないんじゃない?

    冒頭でも触れたようにリコシェ人気が凄まじくて、客席からの声援、

    チャントにしても6:4でリコシェ支持のほうが多かったような気がする。

    ただし、リコシェ応援派にしても、本音をいえば、KUSHIDA優勝で

    有終の美を予想していたんじゃないかな。

金沢 ただ、試合が始まるともうそういう邪念(?)が吹き飛ぶほど、

    リング上の攻防に集中できたね。

    空中戦も凄いし的確だし理にかなっているし、

    レスリングもしっかりやっているし、緩急も素晴らしい。

    緩急があるからKUSHIDAがトップスピードで動いたときなんか、

    あまりに速くて館内がどよめいたもんな。

GK  リコシェは1年前とは別人だったね。

    人間はここまで成長するものなんだ!と素直に感心したよ。

    肉体も逞しくなったけど、試合運びに余裕と貫禄さえ感じた。

    ダブルローテ―ション・ムーンサルトを封印したけど、

    本当に事もなげに決めるスワンダイブ式シューティングスタープレスとか、

    ちょっと次元が違うなという感じ。

金沢 打撃もうまくなったね。

    べナドリラ―に必殺技としての説得力がでてきた。

    まあ終盤の攻防で、KUSHIDAがミッドナイト・エキスプレスを自爆したけど、

    ホバーボードロックを完璧に決めて、これで勝負ありと思ったし、

    あれで終わっていればまさに有終の美だったんだけど、その先があった…。

GK  強引に担ぎあげて、スピンキックからべナドリラ―。

    でも、3カウント入って、一瞬の間があってから拍手喝采になったよね。

金沢 そこにやっぱり、「まさか!?」があったんだと思う。

    日本の他団体をホームとする外国人選手という括りでいくと、

    史上初の快挙ということになるからね。

GK  優勝したリコシェの口から、ワイルド・ペガサス、ブラック・タイガー2、

    プリンス・デヴィットという名前がつらつら出てきたところが嬉しかったね。

    まさにスーパージュニアの歴史を作ってきた外国人ジュニア戦士3強だから。

金沢 そういうことも含めて、ハッピーエンドかといったらハーフハーフなんだけど…。

GK  こんどは浅田真央か?

金沢 じゃなくて(笑)、ハッピーエンド云々抜きに素晴らしい優勝戦だったよ。

    新日本オフィシャルファンクラブの会員である内藤哲也氏とも話したんだけど、

    哲ちゃんの顔が完全にファンに戻っていたもん。

    「ホッントに、いい試合でしたね。感動しますねえ」って。


                 


GK  これにて、大阪では飯伏とのハイフライヤー世界№1決定戦が決まった。

    飯伏は「新日本プロレスの飯伏幸太として絶対に負けない!」と宣言したけど、

    そう言うのは当たり前だし必要なことでもあるんだけど、

    飯伏がそう言えば言うほど、「新日本の飯伏」から遠ざかっていくようにも感じて…。

金沢 そこは飯伏がスーパージュニアに出場していないこともあるからだろうね。

    だけど、飯伏の責任ではないし、そこはまた2団体契約選手というのが

    ネックになったところもあるんじゃないの?

    横浜での石井智宏とのNEVER無差別級選手権では「新日本の飯伏」を

    見せつけてくれたように思うし、その場のシチュエーションで感覚、捉え方も

    微妙に変わってくるでしょ?

    もしKUSHIDAが優勝して上がってきていたら、

    これぞ新日本・現ジュニアの最高峰と謳ってもいい

    IWGPジュニアのマッチアップになったろうと思うしね。

GK  現に、飯伏が優勝した2011年のスーパージュニアでは、

    公式戦でKUSHIDAが飯伏に完勝といっていい内容で勝っているし。

    この2人もどこか運命の糸でつながっているような気がするよね。

金沢 ルックスもファイト内容も派手な飯伏のほうが実績も上げていて、

    泥臭く這い上がってきたKUSHIDAはなかなか結果を出せない。

    なんかウサギとカメというか、昔の藤波と長州っぽさも感じる。

    だから、成長し続けるこの2人の試合はじつに興味深い。

    とはいえ、やっぱり飯伏vsKUSHIDAは今後いつでも実現可能だけど、

    飯伏vsリコシェは今このタイミングしかない!という極上カード。

    「どちらが見たいか?」と選択を迫られたら後者になるよね。

GK  その期待感が今回、リコシェの追い風になったのかもしれない。

    リコシェ自身にとっても、スーパージュニアとIWGPジュニアという

    極上の獲物が目の前にあったら、今しかないと思うよね。

    その一方で、冒頭のコメントにあるクッシ―の気持ちはよーく分かる。

    もう痛いほどよく分かるよね。

金沢 もちろん!

    だから、足りないものなんかないよって言いたい。

    思いだしてよ、3年前の状況を…。

    スマッシュから新日本に移籍してきたクッシ―は、

    早速、新日本仕様のコスチュームを新調したよね、

    タイツに大きなライオンマークが描かれた格好いいやつを。

    だけど、ファンがそこについてこない。

    「昨日今日、新日本に入ってきたようなインディー上がりが

    ライオンマークなんか付けてんじゃねえよ!」という感じの反応が続いたでしょ?

    クッシ―が子どもの頃から新日本ジュニアに憧れ続けてきたこと、

    その夢が実現して新日本の一員になれた喜びとプライドを表現したつもりが、

    ファンには受け入れられなかった。

GK  あそこから考えると苦節3年かあ…準優勝に終わったけど、

    今回のスーパージュニアでKUSHIDAは本当の意味で

    新日本ジュニアのトップに躍り出たと思う。


                 


金沢 大阪ではシェリーとのタイム・スプリッターズで、

    ヤングバックスのIWGPジュニアタッグ王座に挑戦するけど、

    今年2月の大阪大会では完敗しているんだよね?

GK  リベンジなるかどうか…鉄壁のヤングバックスを崩せるかどうか。

    正直、個々の力量でいけばKUSHIDA、シェリーのほうが絶対上だと思うけど、

    なんせタッグになるとヤングバックスは強い。

金沢 真輔&オカダ組より強いかもしれないからな(笑)。

    だけど、今度はKUSHIDAが風を吹かしてほしいね。

    ま・ず・は・IWGPジュニアタッグからだよ。



GK  さて、次は6・21大阪『DOMINION』となるけど、

    当ブログのコメント欄に切実なファンの言葉が随分と並んでいるよね。

    特に、実名で書いてくれたKさんとか。

    一言でいうなら、大阪のカードは弱いということなんだけど。

    アンタは大阪でテレビ生中継の解説につくんだよね。

金沢 うん。あのぅ~関係ないけどね、ビッグマッチのテレビ中継の解説をするときに、

    なにがイチバンの楽しみかと言ったら、大会終了後に、

    テレビスタッフとの打ち上げ&反省会で一杯目に飲む生ビールなんだよ(笑)。

    これが最高に美味い!

    そこで、興行が素晴らしい内容で終わったあとは、

    さらに格段にその生ビールが美味いんだな(笑)。

    だから、いつもそういう興行であってほしいと思っているし、

    この2年ほど新日本はほぼ期待に応えてくれているんだよ。

GK  で、生ビールはともかく、どう思っているわけ?

金沢 まず、横浜アリーナ大会終了を踏まえて、最初に発表されたカードが、

    インターコンチ(中邑vsファレ)、IWGPタッグ(アンダーソン&ギャローズvs

    棚橋&真壁)の2試合だけだったよね。

    えっ、石井vs裕二郎のNEVER無差別級はないの?

    これはちょっとなあと正直思った。

GK  その後すぐに、飯伏vsスーパージュニア優勝者のIWGPジュニア、

    NWA世界タッグ(テンコジvsKES)、オカダ&石井vsAJスタイルズ&裕二郎

    が追加発表された。

金沢 天才にして新参者でもある新IWGP王者のAJに挑戦できるとしたら、

    過去の因縁からいって棚橋しかいないんだけど、

    タナはタッグ戦線に行っているから動けない。

    それならAJvs内藤なんか、いいカードだなと思うんだけど、

    内藤にはいまIWGPに名乗りを上げる実績がない。

    それを考えると、石井とAJの絡みが見られるタッグはおもしろいなと。

    フェノメノンvsピットブルは予測不可能な未知との遭遇だけど、

    石井は必ず何か心に引っ掛かるものを残してくれる男だからね。

GK  そして、代々木大会の動きを受けて、桜庭&矢野のまさかの合体、

    桜庭vs鈴木の2度目のマッチアップ、さらに永田vs柴田の絶滅危惧種対決が

    浮上して決定。KUSHIDAがスーパージュニアの優勝を逃したことで、

    ヤングバックスvsタイム・スプリッタ―ズのIWGPジュニアタッグとそろった。

金沢 率直にいって、真輔vsファレのインターコンチ戦には

    新鮮味がないからと、みんな思っているんだろうね。

    3月のNJC決勝戦でシングル対決をしたばかりだし。

    だけど、俺はファレを買っているんだよね。

    今年の1・4東京ドームで真壁とシングルをやって、

    シングルの大一番もこなせることを証明したし、

    それ以降、シリーズ毎どころか日々進化しているよ。

    ファレは自分の巨体とパワーを見せる術を知っているからね。

GK  ああ、どっしりと構えていて、緩急のあるところがいいね。

    1個1個の技を大きく大きく見せようとしているし、

    動くときは突然トップスピードに入る。

金沢 だから、ドク・ギャローズのほうがはるかに大きいのに、

    なぜかファレのほうがデカク見えるんだよね。

    日々進化しているファレとプロレスリング・アーティストの真輔なら、

    NJCとはまったく毛色の違う試合を見せてくれると信じよう。

GK  それじゃあ、結論は?

金沢 今回の大阪大会、決して温存とか先延ばしのカード編成ではないと思うんだ。

    むしろ選手層が厚過ぎて、マッチメイクに苦心した結果タッグマッチが増えて、

    最終的にこの全9戦になったんじゃないかなと。

    というのも、大阪には中西も出ないし、キャプテン、ライガー、タイガー、

    田口、デスぺラード、BUSHIの名前もないわけだからね。

GK  内藤がノンタイトルでもいいからAJと対戦すればおもしろい!

金沢 いや、それも考えてみたし、そうすれば石井vs裕二郎もやれるけど、

    こんどはオカダ・カズチカの出る試合がなくなってしまう。

    それはマズイでしょ!?

GK  ああ、そうか!

金沢 ということで、大阪『DOMINION』は全9試合の興行のパックで

    期待したほうがいいんじゃないかな?

    「いやあ、いい大会だった! それにしてもメインの真輔vsファレは

    予想以上、期待以上にドキドキハラハラしたね」

    そんなふうにファンが語り合える大会になってほしいと願うばかりだよ。

GK  みんなが美味い一杯目の生ビールを飲めるといいね(笑)。