井上亘の引退表明になんとも言えない寂しさを覚えていたのだが、

続けて衝撃の発表が飛び込んできた。


佐々木健介が2・11中嶋勝彦戦(後楽園ホール)を最後に

電撃引退を決め、13日に正式発表したのである。


この件に関しては、また後日触れたいと思う。

とにかく業界同期の健介がリングを去ってしまうのだ。

いや、引退試合もセレモニーの類いもやらないようだから、

もうリングを去ってしまったということ。


じつは先週の4日昼ごろ、健介から突然の着信があった。

最近はあまり仕事場で一緒になる機会もないので、

とんと御無沙汰している。

本当に久しぶりの電話。


電話の向こうの健介はいつもの健介だった。

優しさと懐かしさのこもった明るい声。

途中、肝心の仕事の話になると、

すぐそばにいたらしい北斗晶に代わった。

この連係プレイも(笑)昔からちっとも変わっていない。


本題となる仕事の話では北斗に代わり、

仕事の話が終わると、また健介に戻って

他愛のない雑談が始まる。


引退のことなど、おくびにもに出さなかったし、いつもの2人だった。

ただ、いま思えば、「ああ、そうなのかなあ…」という思える節もある。

健介は「この件は金沢さんに頼みたいんだよ!」と熱心に言ってくれるし、

北斗は北斗で「11日の後楽園、できれば来てくれないかな?」と言う。


残念ながら、11日は新日本プロレス大阪大会への出張が

早くから決まっていた。

だから、申し訳ないが会場には行けない旨を告げると、

それならしょうがないね、だけど仕事のほうはよろしくね。

そういう話で終わった。


べつに勿体ぶっているわけではないが、

その仕事の内容もまた後日。

ただ、健介は何も言わなかったが、

北斗が「後楽園に来てほしいんだあ」と誘ってくれたのは、

北斗の中でも”予感”があったからだと思うのだ。


もう、これぐらいにしておこう。

佐々木健介の引退をついでのように書くことなどできない。

健介と私は1986年デビューの同期生。

レスラーと記者ではまったく職種が違うとはいえ、

スタート地点ではともに業界内の新弟子であることに変わりはない。


一緒に笑った、一緒に泣いた、一緒に怒った…

そういう関係だからこそ、またべつの機会に書いてみたい。


ただし、一つだけ書いておきたい。

健介は引退発表記者会見で、

「自分は海外から帰ってきたとき、太く短くと言ったから」

と語っている。


その言葉は鮮烈に覚えている。

健介の凱旋は武藤敬司と同時だった。

武藤は、グレート・ムタとして米国NWA(WCW)のトップ

を極めてからの文字通りのスター凱旋。

その裏で、SWSにスカウトされかけていたのも、

今では有名な話である。


一方の健介は、まだ未知数もいいところ。

ただし、遠征先のカナダでブチあげたセリフはインパクト満点。

「橋本が破壊王なんて笑わせる!

俺と対戦してからそう言ってみろ」

当時の『週刊ゴング』に掲載された帰国前の

インタビュー記事が大きな波紋を呼んでいた。


帰国挨拶のため、一緒に後楽園ホールのリングに上がった2人。

もちろん、注目は武藤に集中していた。

そこで、健介がマイクを持って言い放ったセリフがこれ。


                   


「太く短く生きます!

それだけです」


それが1990年3月23日、後楽園ホールでの出来事。

あれから24年、期待度も知名度も低かった健介が

ここまでのスター選手になった。

そして、まだバリバリのままでリングを去る。


だからこそ、友人として一つ言葉を送っておこう。

「太く短く」なんかじゃない、

健介は「太く長く」生き抜いたじゃないか!

俺の想像をはるかに超えるほど太かったし、

信じられないほど一線級の強さを長く保持してきた。


すべては練習と努力の賜物。

だから「お疲れさま」なんて言わない。

だって、きっとこれからも健介は、

フンフン言いながらバーベルを挙げたり、

ワイヤーを引っ張ったりしていると思う。


ああ、突然べつの名セリフが頭に浮かんできた。

健介の宿命のライバルであった破壊王こと、

故・橋本真也さんの名言だ。


「健介は絶対にあきらめない。

なんど叩きのめしても、そのたびに立ちあがってくる。

俺は最近、健介を見ていてよく思うんだよ。

健介には、あきらめないという才能があるんだってね」


                  


この名言が頭をよぎったとき、

今度は井上の顔が浮かんできた。

健介のようなトップ選手に上り詰めたわけではないが、

井上からもまた”あきらめない才能”を私は感じていた。


不器用だから、真っ直ぐ突破しかできない性格だから、

井上亘は井上亘のままで引退していく。


奇しくも、彼もまた引退試合を行なわない。

試合ができるぐらいなら復帰しています――

まったくもって、おっしゃる通り!

これほどストレートな言葉も久しぶりに聞いた。


もう、このへんにしておこう。

健介との思い出に浸り始めたら、

それこそ本が1冊できあがってしまうではないか!?


さて、本題は新日本のビッグマッチ2連戦。

2・9広島サンプラザ、2・11大阪府立体育会館と

ともに超満員札止めの大盛況。

新日本の勢い、攻めの新日本の大攻勢は

止まるところを知らないし、さらに加速している。


それでは、ビッグマッチヴァージョン。

プロレスが趣味で少々軽いノリのGK氏と、

大阪大会でようやくヤングバックス(マット&ニック)

兄弟の区別がつくようになったという金沢氏による

対談形式で大会を振り返ってもらう。


GK  広島も大阪もギッシリ埋まって超満員札止め人気。

    内容的にも、ファン、関係者から好意的な声が多いねえ。

金沢 そうだね、俺は広島大会は当初テレビ観戦の予定だったんだけど、

    ちょっと事情があって観られなかったけどね。

    ファン、関係者の声はほぼ一致していた。

GK  つまりアレでしょう?

    あれとあれがよかったっていう…。

金沢 アンタは長州力かい(笑)。

    そう、メインの棚橋弘至vs中邑真輔のインターコンチネンタル選手権と、

    後藤洋央紀&柴田勝頼の同級生タッグ初結成の一番、この2試合が

    異常に盛り上がったということだよね。

GK  マッチメイク、カード編成の妙だよね。

    ファンの志向を分かっているというか、

    その一歩先を行っているかもしれないね。

    後藤vs柴田が1・4ドームでベストマッチを見せ歩み寄ったら、

    もうタッグ結成へと動き、真輔がドームのファイナルで敗れたら、

    これで対戦成績は五分五分になったから即リターンマッチを認可すると。

金沢 これは新しいようで、実は本来の新日本的発想なんだよね。

    いいカード、盛り上がっているのものはガンガンと連戦する。

    鉄は熱いうちに打てじゃないけど、昔は明けても暮れても

    猪木vsシン、猪木vsハンセンで、毎日毎日、長州vs藤波だった。

GK  ああ、それと同じとは言わないけど、つまり温故知新の要素を上手く

    取り入れているってことだよね?

金沢 これだけ選手層が厚ければ、マンネリなんかないでしょう?

    それに同一カードを組んでも、やるたびに内容が進化している。

    広島大会を観戦したファンや関係者に聞くと、

    棚橋vs中邑は1・4ドームの試合より満足度は高かったみたいだね。

GK  1・4の棚橋vs中邑は、意外にあっさり決着がついた

    という声もけっこう聞かれた。

金沢 それに関しては、俺はちょっと違うんだけどね。

    あれは素晴らしい試合だったよ。

    昔の2人と、新しい2人が交錯して、見事に心地よい空間になっていた。

    フィニッシュだって、あれで納得がいくし。

    あれ以上を求める空気っていうのは危険だと思うよね。

    悪い意味じゃなく、それこそ四天王プロレスの世界になってしまう。

GK  そこで今回の試合が文句なく評価されているのは、

    あのドーム大会があったうえで、その続き、その先を見せつける

    ような内容になったからということだね。

    2連戦をやったことに意味があった。

    しかも、棚橋が2連勝、中邑の2連敗という結果が想定外だ。

金沢 試合後の真輔のコメントが興味深いんだよねえ。

    「知らない俺に会いたいねえ。誰も知らない俺に会いたいよお…」って。

    真輔はまた自分探しの旅に出るのかなあって。

    もしかしたら、その先にあるのがIWGPヘビーの方かもしれないし。

GK  中邑と棚橋は、たとえ負けても何かを残す、何かを期待させる、

    そういうレベルの選手になったのかもしれないね。

    ところで、後藤&柴田は合体攻撃も見せたり息ピッタリ。

    ずいぶんとオカダをエキサイトさせたみたいだ。

金沢 だいたいからして、柴田はプロレスセンス抜群なんだから。

    ゴツゴツに見えて器用だからね。

    牛殺しとか昇天とかも上手いじゃない?

    ドロップキックやオーバーヘッドキックも的確に決まるし。

    受身もちゃんとしているし、彼は天性のプロレスラーなんだよ。

GK  その広島から2日後、広島のメインはインターコンチで

    大阪府立体育会館(ボディメーカーコロシアム)のメインは、

    IWGPヘビー級選手権のオカダ・カズチカvs後藤洋央紀。

    昨年末、1・4のファイナルマッチはIWGPかインターコンチかで

    ファン投票を行い侃侃諤諤としたのが、ここにきて生きてきた。

金沢 まあ、何もかも計算通りではないのかもしれないけど…

    やっぱり計算通りなのかな?

    新日本の思惑、戦略に見事に乗せられている(笑)。

    マスコミ、ファン、選手が乗せられて…いや、それがおもしろいから

    みんな乗れるってことだろうなあ。

    大阪は相変わらずカード編成もいいし、実際に第1試合から

    みんなリング上に釘付け状態だもん。

GK  IWGPジュニアタッグⅤ2のヤングバックスはいいねえ?

    あなた、ようやくジャクソン兄弟の見分けがつくようになったとか(笑)。

金沢 任せてよ!

    もみあげの長いほうが兄貴のマット、短いほうがニック。

    このチームはかつてない感じ。

    前半はタイムスプリッターズ(KUSHIDA&シェリー)も互角にやっていたけど、

    もう終盤は兄弟連係のスピード、空中戦にタジタジだった。

    まさに、血は水よりも濃いことを見せつけている。

GK  第1試合から、観客、視聴者を完全に掴まえた感じだね。

    第5試合でテンコジと対戦したビッグダディ・ヤムヤムとマイケル・タ―ヴァ―は?

金沢 ブルース・サ―プ社長を忘れちゃダメでしょ!

    サ―プ社長のヒール人気はスゴイよ、大ブーイングだもん。

    いやあ、いかがわしいねえ。

    そして黒人チームが小島の指摘通り、ホントに胡散臭い。

GK  あの胡散臭さがまた堪らないよね(笑)。

金沢 まったく!

    こんなのが新日本に上がっていいのかっていう胡散臭さがいい。

    だけど、誰とは言わないけど、いくら名前があってもセンスのない外国人より、

    胡散臭くても、インディーの選手でも、キャラのある外国人のほうがいい。

    天山なんか大阪の試合で目の上を20針も縫って顔を腫らして出てきたけど、

    胡散臭いコンビを相手に久々に猛牛殺法が大爆発した。

    これなんか嬉しい誤算だね。

GK  次はジャケット着用の永田&桜庭がダニエル&ホ―レスの

    グレイシーコンビと1・4ドーム以来の再戦。

    いくら道着を使った絞めとはいえ、桜庭がタップするとは…。

金沢 まさかサクちゃんがタップするとはねえ。

    だけど、終盤、グラウンドで取ったり取られたりの攻防があって、

    あれは新鮮でおもしろかった。

    でも、このままじゃ桜庭は収まらないでしょう。

    倍返し、10倍返しでリベンジしないとね。

GK  ところが、試合後に乱入してきたのはまさかのクレイジー一族。

    最初、矢野がグレイシーに共闘を呼び掛けるのかと思ったら、

    対戦要求だった。もちろん、飯塚は場内を徘徊しているだけ。

    グレイシー側も「クレイジー一族の挑戦を受ける」と。

    本当にグレイシーが「クレイジー一族」って言ったのかな?

    本当に言ったなら、これも事件だ(笑)。

金沢 いずれ世紀のミスマッチが本当に実現するわけだね。

    第7試合のIWGPジュニアヘビー級選手権は予想以上の白熱戦になった。

GK  これは予想が難しかった。

    やっぱり、エル・デスぺラードの力量が見えてこない部分があったから。

    1・5後楽園ホールに初参戦して、それからファンタスティカ・マニアで、

    このタイトルマッチに向けての前哨戦も数試合しかなくて。

金沢 こう底が見えないというか、本来どういうタイプなのかが見えてこなかった。

    ファンタスティカ・マニアではルチャリブレを披露していたけど、

    彼はルチャ一辺倒ではないし、日本スタイルも分かっているようだけど、

    どっちつかずというか、なにをやりたいのかイマイチ伝わってこなかった。

    ただし、オリジナルのフィニッシュホールドは強烈で説得力抜群なんだよ。

GK  ギターラ・デ・アンヘルとギターラ・デ・ムエルタの2種類だね。

金沢 そうそう、ロープ間を抜けるトぺ・コン・ヒ―ロもいいけど、

    インパクトがあるのは前に叩きつけるアンヘルと後方へ落下させるムエルタ。

GK  実際いい試合になったでしょ?

金沢 これは予想以上。

    いま羽生結弦が金メダルを獲ったけど、これは予想通り!

GK  じゃあ、上村愛子の4位には世界中から大ブーイングだよな!

    そうじゃなくて、デスぺラードはよかったっていう話だよ。

金沢 地力のある選手だよ。瞬発力がスゴイから身体は細くても、

    パワー、体幹の強さで飯伏に劣っていない。

    ギターラ・デ・ムエルタがエグイ角度で決まったときは、

    「あわや!」という感じで、飯伏だから返せた感じだね。

    ただ、これは次の試合にもつながっていく話なんだけど、

    俺がもっともインパクトを感じたのは飯伏の雪崩式フランケンシュタイナーだよ。

GK  いつもやってるじゃない?トップロープのエスぺラードに

    エプロンからスワンダイブ式に飛び付いて決めた1発でしょう?

金沢 そう。だけど、その前の攻防を覚えてる?

    最初はコーナーの上で両者が揉み合って、

    飯伏はトップロープからそのまま飛び付いて決めようとしたけど、

    バランスを崩してエプロンに落ちてしまった。

    だけど、次の瞬間、トップロープに飛び乗るスワンダイブ式から

    デスぺラードに雪崩式フランケンを決めている。

GK  あれは場内も沸いたよね。

金沢 飯伏の咄嗟の判断だよ。

    確かにミスをしたわけだけど、そのミスがそれ以上のインパクトを生んだし、

    技のミスが却ってリアルさを増した。

    ああいうところで、センスや経験が問われるんだよね。



GK  それが次の試合にもつながるって言ったのはなぜなの?

金沢 内藤哲也vs石井智宏のNEVER無差別級選手権はものスゴイ試合になったけど、

    中盤、同じようなシーンがあったのを覚えている?

    コーナーの石井に内藤が雪崩式フランケンシュタイナーを狙ったんだけど、

    足を滑らせて転落し、その際、爆弾を持つ右膝にまたダメージを受けた。

    苦悶しながらも、内藤は起き上がってきたけどね。

GK  ああ、内藤は真っ赤な顔をして痛みを堪えているように見えた。

金沢 あれはカバーのしようがなかったろうけど、

    俺は仕方がないと思うんだよ。

    1・4のオカダ戦でもコーナーに左足を引っ掛けて宙吊りになってしまったよね?

    そういうもの含めて、技や受身のミスではあるんだけど、

    あれだけの試合をやっていたらそういうこともあるでしょうと。

    それだけキツイ試合なんだって。

    ミスだって反対に、リアルさを増すんだってこと。

GK  そう言えば試合後、最後に石井は

    「 あー、しょっぺぇ試合だったよ!」

    と吐き捨てたらしいね。 

金沢 俺は放送席にいたからそれを知らないじゃない?

    あとで石井に「いい試合だったよ」と言うと

    「いやあ、内容がよくない」って言うわけ。

    どこに納得がいかないのかは言わない。

    石井はいつもそうなんだけどね、滅多に満足するようなことは言わない。

    「しょっぱいでしょ!?」って言うほうが多い。

    まあ、師匠が天龍と長州だから、面と向かって褒められたことなんか

    ないのかもしれないけどね。

GK  内藤の技のミスが気に入らないのかな?

金沢 それは分からないけど、彼ってああいうゴツゴツの試合をするくせに、

    つねに完璧なものを求めているんだよね。 

    ここ数年、彼がイチバン納得して満足しているのは、

    やっぱり去年の2・3後楽園ホールの田中将斗戦なんじゃないかな?

    だけど、さっきも言った通りで、技のミスでさえもリアルなんだよね。

GK  やっぱり、スゴイ勝負だったと思うよ。

    「しょっぱい」と吐き捨てる前に、石井自身も振り返っている。

    なんといっても、新日本のベルトは初戴冠となるから。

    「ハッキリ言って長かったよな。新日本にきて8年、

    対新日本を掲げて16年だよ。

    長い!長かった、正直。

    だけどよ、テメ―の信じる道を突き進んだら辿り着いたっていう、

    それだけだよ。なんら驚くことはない」。

    このコメント、長州力にソックリだと思わない?

金沢 まるで長州だね。

    でも最近の石井はますます天龍であり、長州に似てきた。

    それは試合からも仕草からもコメントからも感じる。

    2日の後楽園ホール前哨戦のメインでも「あっ!」と思う

    シーンがあったんだよね。

GK  棚橋&後藤&内藤vsオカダ&中邑&石井の

    6人タッグ、トリプル前哨戦だ。

金沢 石井が内藤と場外で激しくやり合っていたんだけど、

    まず石井は北側の場外フェンスに内藤を叩きつけてから、

    首根っこを捉えて今度は南側のフェンスに叩きつけている。

GK  場内がドッと沸いたよね。

金沢 うん。あれは明らかに長州流なんだよ。

    場外での攻撃もダイナミックにお客に見せている。

    これが天龍源一郎だったら、同じフェンスの同じ場所へ

    二度三度と相手を打ちつけていくよ。

    長州はダイナミックに見せる、天龍は相手をいたぶるというか、

    非情さを観客に伝えていく。

    そういうものを石井は受け継いでいるんだよね。

    単に技じゃなくて、両巨頭の魅せかたの部分だよね。

GK  石井人気の秘密はそこらへんにありそうだね?

金沢 うん、ゴツゴツした突貫ファイタ―のように見えて、

    じつは上手いし、どんなタイプを相手にしても好勝負ができる。

GK  内藤も弾けていたし、ベルトは落としたけど魅力的だったよね。

金沢 そうして、「ニュー・ジャパンカップ」1回戦でいきなり両者の一騎打ち。

    内藤が勝てば、リターンマッチを主張できる。

    負ければ、また出直しを強いられる。

GK  正直いって、この試合をやられたらメインも堪らないと思った。

    観客もお腹いっぱいというか、燃えつきそうになっていたよ。

金沢 で、この試合のハイライトシーンは、内藤のエルボー連打を食いながらも、

    石井が前進していく場面だよね。

GK  やっぱり、プロレス大賞でなにか賞をあげるべきだったんじゃない(笑)。

    じゃあ、メインはどうだった?


                   

金沢 いやあ、よかったよ。

    柴田がセコンドに付いてきただけでジーンときたし、

    この違和感というか、異物感というか、それが

    決戦ムードに拍車をかけた。

GK  結果的には、レインメーカーの完勝というかたちで終わったけど。

金沢 結果的にはね。

    だけど、復帰1ヵ月で後藤がここまで来るとは驚き。

    口を空けられない、モノを自由に食べられないという

    状態が続く中で、後藤も食生活から何からもう一度見直したみたい。

    以前の後藤とはひと味違ったよ。

    メキシコ修行から帰国して、初めて棚橋のIWGPに挑戦した

    2007年11月の試合を思い出した。

    棚橋を失神寸前まで追い込んだでしょ?

GK  ああ、マスキュラ―ボムで頭から叩きつけ、

    棚橋に白目を剥かせた試合だ。


                   


金沢 あのときの攻めダルマと化した後藤の片鱗が見えた。

    試合後のオカダと柴田の睨み合いにはゾクリときたし。

GK  でも、オカダがマイクで言った「ニュー・ジャパン・カップを勝ちあがってこい!」は

    正論だね。NJCの優勝者はIWGPかインターコンチに挑戦できると決まったし。

金沢 もし柴田が優勝したら一度負けているオカダではなく、これまたG1最終戦で敗れている

    かつてのライバル、棚橋を指名したりして(笑)。

GK  俺はとにかく、中邑真輔vs柴田勝頼が見たい!

金沢 そりゃそうだけど、それが簡単に実現するなら、

    誰も苦労はしませんって(笑)。