昨日(16日)発売のDVDマガジン「燃えろ!新日本プロレス」vol.60は、

最後の猪木づくしという感もある重厚なラインナップ。


メインタイトルには、

『闘魂vs超獣、伝説の60分フルタイム死闘!!』

と銘打たれており、猪木vsブロディ最後の一騎打ちを

初のノーカット完全収録。


しかも、この一戦には実況&解説が現存していない。

個人的には、実況のない映像というのも私は大好き。

ライブの音声(選手の息づかい、観客の熱狂ぶりなど)

によって現場の臨場感がより生々しく伝わってくるからだ。


他の2試合は、今まで温存していたといってもいい、

猪木vsハンセンのNWFタイトルマッチ2連戦。

2人のライバルストーリーを語るうえで、

絶対に外すことのできない2大マッチである。


全試合ノーカット収録(108分)DVDのメニューは次の通り。



①魂のウエスタン・ラリアットでNWF王座奪取!!

アントニオ猪木vsスタン・ハンセン

198028日、東京体育館〕


②“不沈艦”にリベンジ! 闘魂の覇道極まる!!

スタン・ハンセンvsアントニオ猪木

198043日、蔵前国技館〕


③遺恨深まる“超獣”と最後の決着戦!!

アントニオ猪木vsブルーザー・ブロディ

1986916日、大阪城ホール〕




①3度目の挑戦にしてついにハンセンが猪木を破り、

NWF王座を奪取したメモリアルマッチ。

当時のハンセンには”不沈艦”というより、

”ブレーキの壊れたダンプカー”という表現がピッタリとくる。

突進、突進、また突進!

猪木の必殺卍固めにも耐え抜き、

最後はエプロン上の猪木に左の豪腕一閃。


このウエスタン・ラりアットが凄まじい破壊力。

猪木の顔がもげてしまったのではないか!?

と心配になるほどの一撃である。


このラりアットはぜひ小島聡に観てもらいたい。

小橋建太が引退した今、世界一のラりアッタ―と言われる小島。

しかも、唯一無二、ハンセン直伝のラりアットの使い手である。



(※写真は15日に都内某所で開催されたチームドリフ新年会より)

このぶっとい腕(しかも左腕)なら、

さらに強烈なラりアットの使い手になれるはず。


ところで、リングアウト勝ちながら猪木からベルトを奪取した

ハンセンと外国人サイドの喜びようにも注目。

マサ斎藤をはじめ、バッドニュース・アレン、スティーブ・カーン、

スキップ・ヤングといった面々が狂喜乱舞する。

そして珍しくマイクを持ったハンセンが「ウィ―!」と魂の雄叫び。

この叫び声が本来の言葉である「ユース!」にちゃんと聞こえるのだ。


②ハンセンにベルトを奪われた直後に、

ウィリー・ウイリアムスとの世紀の一戦を迎えた猪木は、

ウィリー戦を最後に異種格闘技路線にピリオドを打った。


4月のリターンマッチも壮絶なド迫力マッチとなる。

なんとハンセンはエプロン上で猪木にブレーンバスターを放つ。

続いて、2月の再現とばかりラりアットを狙って猪木へ突進。

ところが、猪木は見事なタイミングでハンセンにショルダースル―。

ハンセンが場外へ転落すると、すかさずトップロ―プへ。


ここで生涯一度だけの奇策を披露。

場外で立ちあがったハンセンの脳天から後頭部のあたりをめがけ、

ニードロップを叩き込んだのである。

トドメはロープ越しのブレーンバスター。


会心の勝利に喜色満面の猪木は、

奪回したNWFのベルトを掲げて「ダー!」の雄叫び。


猪木vsハンセンの魅力は物語が続いていくこと。

前回の闘いを踏まえて、より進化した攻防が展開される。

その後も2人のシングル連戦はこれでもか!と続くのだが、

猪木と闘うことによってハンセンは

ブレーキの壊れたダンプカーから不沈艦へと進化し、

強さと上手さを兼ね備えたレスラーへと成長していく。


猪木=37歳。

ハンセン=30歳。

バリバリの両選手の闘いはいま観ても納得がいく。

それにしても、WWFを追われたこのデンジャラスな男を

真っ向から受け止めていた猪木はやはり凄いレスラーだなと痛感させられる。


③1985年3月から新日本に戦場を移したブロディは

わずか半年で猪木と6度のシングルマッチを行なっている。

戦績は、猪木の1勝2敗3分だが、勝負がついた試合は

すべて反則決着で、引き分けは両者リングアウト。


そして同年12月にタッグリーグ戦(最終戦)ボイコット事件が勃発。

これによって、ブロディは日本で上がるリングを失うことになる。

新日本サイドとしてもメンツを潰され、ファンの信用を失った経緯もある。

結果的に、双方が歩み寄る格好で再びブロディは新日本マットへ。


86年9月、大阪城ホールで猪木vsブロディ7度目の一騎打ちが組まれた。

この試合には実況がついていない。

だから、よけいに映像に入りこんでしまう。

先に入場してきた猪木には付人の蝶野正洋が寄り添い、

さらに新日本道場に入門してきたばかりの

クリス・べノワが観客をかき分けたりしながら懸命にセコンドを務めている。

こんなシーンを観ているだけでも感慨深い。


一方のブロディはトレードマークのチェーンを振りまわし、

大立ち回りの入場。

60分の激闘は決して長く感じない。

43歳ながら猪木のスタミナは驚異的。

時間切れ寸前に完璧なバックドロップも披露している。

両者の過去のシングル戦と比較すると、

この60分の闘いがベストマッチと言っていいだろう。


試合後、猪木とブロディが歩み寄り、

二言三言、なにか言葉を交わす。

握手はしない。

そこに両雄のプライドを見る思いだ。


2年後、プエルトリコでブル―ザー・ブロディは刺殺され、

波瀾の生涯を終えることになる。

猪木vsブロディの生涯戦績は、

7戦して猪木の1勝2敗4分けに終わった。


さて、冊子のほうにも注目!

「俺の趣味」vol.10には内藤哲也が登場。

赤ヘル軍団を愛してやまない内藤が

広島東洋カープを愛情たっぷりに激語り。


「魂が震えた新日ベストバウト!」第40回には、

大谷晋二郎が登場。

プロレス少年時代、無類の猪木マニアだった大谷が

果たしてどんな試合をベスト3にあげるのかは見てのお楽しみ。


また、「実録!新日本事件簿」第60回では

”幻のヒクソン招聘計画”と題して、

新日本が秘かに狙っていたヒクソン・グレイシー参戦計画に関して、

ワタクシ金沢が隠れた事実関係を記しているのでご一読を。


燃えろ!新日本プロレスvol.60

闘魂vs超獣、伝説の60分フルタイム死闘!!

発行元=集英社

定価=1680円

絶賛発売中!


さあ~て、いよいよ60号までキター!

あと7号…全力で最高のメニューをお届けするべく、

スタッフ一同、いっちゃうぞー!!