12月10日に発表された東京スポーツ新聞社制定

『2013年度プロレス大賞』の結果は次の通り。


●最優秀選手賞 オカダ・カズチカ(新日本プロレス)※2年連続受賞
●年間最高試合賞 中邑真輔vs飯伏幸太(新日本8.4大阪 G1クライマックス公式戦)
●最優秀タッグ賞 TMDK マイキー・ニコルス&シェイン・ヘイスト(プロレスリングNOAH)
●殊勲賞 KENTA(プロレスリングNOAH)
●敢闘賞 関本大介(大日本プロレス)
●技能賞 吉野正人(DRAGON GATE)
●新人賞 竹下幸之介(DDT)
●女子プロレス大賞 里村明衣子(仙台女子プロレス)
●特別功労賞 小橋建太


というわけで、なあ~るほどといった感じ。

それでは、ワタクシ金沢克彦が明らかな独断で、

決して偏見を持つことなく、それでも自信と確信をもって勝手に制定する

『ときめきプロレス大賞2013』の結果を発表!!

ジャンジャジャ~ン音譜


◎MVP(最優秀選手賞) 中邑真輔

                    ※次点 オカダ・カズチカ


◎ベストバウト(年間最高試合賞) 田中将斗vs石井智宏

                   (NEVER無差別級選手権/2・3後楽園ホール)

 ※ノミネート試合

 中邑真輔vs桜庭和志(1・4東京ドーム)

 石井智宏vs柴田勝頼((8・4大阪・ボディメーカーコロシアム)

 内藤哲也vs棚橋弘至(8・11両国国技館)

 オカダ・カズチカvs棚橋弘至(10・14両国国技館)


◎最優秀タッグチーム賞 宮本裕向&木高イサミ(ヤンキ―2丁拳銃)


◎殊勲賞 石井智宏


◎敢闘賞 関本大介


◎技能賞 KENTA 棚橋弘至


◎女子プロレス大賞 里村明衣子


◎新人賞 ジェームス・ライディーン


◎ベスト興行 新日本プロレス/1月4日、東京ドーム大会

        ※次点 新日本プロレス/8月4日、大阪ボディメーカーコロシアム


◎あなたに感謝賞 小橋建太


というわけで、例によって受賞者のみなさんには

トロフィーも金一封も用意していないので、悪しからず(笑)。


私的MVPは中邑真輔。

東スポ大賞のオカダでも文句はないのだが、

今年はあらゆる意味で真輔が光った。


二番手どころか、何のために創設したのか疑問視されていた

インターコンチネンタルのベルトを輝かせた功績は大。

試合内容も文句なし。

桜庭戦でプロレスリングプロレスリングを見せつけたかと思えば、

ラ・ソンブラ、シェルトン・Ⅹ・ベンジャミンのポテンシャルを

これでもか!と引き出して彼らと白熱の好勝負を連発している。


その振り幅の広さと姿勢は、

全盛期のアントニオ猪木を彷彿させるものがある。


真輔戦で急成長したソンブラなど、今やメキシコで敵なし状態。

ルチャ&ストロングスタイルを身に付けたファイタ―に化けている。

ベンジャミンも脅威の存在感を見せ始めた。


入場、試合、マイクパフォーマンス、退場に至るまで、

真輔の試合では目が離せない、真輔ワールドが展開される。

他団体に出場しても、とくに何をしたわけでもないのに、

リング上は一瞬にして真輔の世界観に包まれる。


「イヤァオ!」、「たぎるぜ!」の

2つの決め台詞も今年のマット界の2大流行語。

流行語大賞も贈呈したいところだ。


来年の1・4東京ドームのファイナル決戦は、

IWGPヘビー級選手権(オカダvs内藤)を大差で抑え、

真輔vs棚橋のインターコンチネンタル選手権と決定。


もちろん、棚橋の存在感も大きいのだが、

このファン投票の結果が真輔への評価、

真輔への絶大なる信頼感を象徴しているとは言えまいか?


東スポ大賞のMVP選考の際、

ノミネートさえなかったというのが不思議で仕方がない。

私の感覚は他のマスコミ関係者とまったく違っていることが分かった(笑)。


ベストバウトは、ノミネートした4試合を含めて、

5試合の中からどれを選出してもおかしくはないと思う。

そこで、あえて田中vs石井戦に決めたのは、

現代プロレスが疎かにしてしまいがちの部分を

すべて満たしてくれたから。


ミスのないスマートで華麗なプロレスではなく、

1発1発に魂を込めたシバキ合い。

ひとつ間違えると、きれいな現代プロレスは

カンフー映画のように観えてしまうこともある。


この試合は、そこに警鐘を鳴らした試合であったのかもしれない。

闘いとは何ぞや?

その答えがここにある。

あの藤田和之がテレビ観戦したあと、

興奮気味に私に電話してきた。


「ひさしぶりにいいものを見せてもらいました。

何度も大きく頷きながら夢中になって観戦しました。

試合後の田中選手のマイクアピール、

石井選手のコメント…2人とも素でしたよね?

あれがまたよかった。

なにより、あんな壮絶な試合をやっているのに、

お客さんが笑顔で一喜一憂して楽しんでいた。

あれが今の新日本であれが今のファンなんですね。

本当に勉強させてもらいましたよ」


藤田の感想がすべてかもしれない。

ただし、これまで一度も書いていないことがある。

この一戦に関して、私は当ブログをはじめ、

いくつかの媒体でその素晴らしさを書いたり、

語ったりしてきたのだが…。


試合後のワンシーン。

起き上がった石井がNEVERのベルトを持って、

田中の腰にそのベルトを巻いた。

その手際のよさを見たときにハッとしたのだ。


その何気ない行動、手際のよさを目の当たりにした瞬間、

石井智宏の歩んできた道程、下積み生活の長さを

改めて思い知らされたような気がした。


胸につまされた。

せつなさ、もの悲しさ…

鼻の奥にツ―ンときた。

石井の歩んできた16年と3ヵ月。

身長170㎝の男が覚悟を決め生きてきた人生。


そんなシーンにグッとくるのは、私ぐらいのものだろう。


さて、東スポ大賞のベストバウトはG1公式戦の

真輔vs飯伏幸太である。

メインを飾るに相応しい、いい試合だった。

期待度を上回ったといってもいい。


ただし、私のなかでは名勝負まではもう少しだけとどかない、

好勝負となる。

なぜなら、私からすれば想定内となるから。

なんと言っても、中邑真輔だ。

センス抜群の飯伏が相手なら、

その魅力を最大限まで引き出すことも想定内。

つまり、この試合はまだ真輔の掌(てのひら)だなと感じたのだ。


まあ、いい。

ベストバウトは人それぞれの感性なのだから。

理屈はこの程度にしておこう。


ベストタッグはヤンキ―2丁拳銃(宮本&木高)で決まり。

あまり、インディー系の試合を観戦しない私にまで、

彼らの大活躍が目に入り、耳に飛び込んできた。

メジャー進出はしていないものの、

いまメジャーといえる団体は新日本だけだと思うから、

その境界線もとくに気にすることはない。


もちろん、マイキ―&シェインもいいチーム。

それに、個人的にはバカ兄弟…失礼!バラモン兄弟

何をしでかすか分からないので大好きなのだ(笑)。


殊勲賞は石井智宏。

文句なし、選考委員は私ひとりだけど満票。

2月=田中戦にはじまり、NJCの小島聡戦の初勝利、

続く因縁の後藤洋央紀戦、鈴木みのるとの抗争、

8月『G1クライマックス』での棚橋戦(初勝利)、柴田戦(初勝利)、

プリンス・デヴィット戦、同門対決のオカダ戦、真壁刀義戦、

最終戦での飯伏とのシバキ合い。

まさに、G1の裏MVPといっていい大活躍。


さらに、11・9大阪大会での棚橋との再戦は、

メインを食って大会随一のインパクトを残した。


棚橋は「石井選手に対しては尊敬の気持ちがある」と言い、

真壁には「G1でいちばんスゲェ―試合してたのは石井だろ」

と言わしめた。

石井をいつ表彰するの?

今でしょ!!


敢闘賞は、関本大介。

こちらも文句なし。

後楽園ホールに行けば関本がいる。

そして、つねに観客の度肝を抜く。

ホームの大日本だけではなく、

ZERO1のリングには当たり前のようにいるし、

W-1、ノアでも旋風を巻き起こす。


関本が暴れ出すと、リングが揺れて、

ギシギシと妙な音が響いてくる。

コーナーマットと鉄柱をつなぐ金具が弛んでしまうからだ。

まさに怪物。

スタミナだらけの肉体のアマゾン!


関本をいつG1に出すの?

今でしょ!!


技能賞は、主力選手の離脱に見舞われながら、

1年間、王者としてノアをリードしたKENTA。

もうひとり、ベルトは失ったものの、

エースとして試合内容がまったく色褪せない棚橋。

この両選手のシングル、タッグ対決もぜひ観てみたい。


あ、ここで注釈。

レェェェ~べルの違うオカダ・カズチカだけに関しては、

MVPから漏れた場合、三賞の対象から外した。

そのほうが、自然だし、しっくりくるような気がする。


女子プロ大賞は、やっぱり里村(仙台女子プロレス)しかいない。

女子プロ事情にもやや疎いワタクシだけど、

里村の試合にはいつも感心させられる。


まず、入場から退場までの立ち居振る舞いが見事。

これぞ、女子プロ界の”横綱”という風格と品性に溢れている。

試合も相手の持ち味を存分に引き出しつつ、

決めるところではビシッと厳しく決めてしまう。

男子レスラーでも、彼女に見習うところが大いにあるだろう。


新人賞はこれまた文句なしで、

ZERO1所属の外国人レスラー、ライディーン。

なんと22歳。

ZERO1に初来日してからまだ2年。

通算キャリアも約3年だというから、

新人賞の資格あり。


今年の『火祭り』リーグ戦のファイナルで田中将斗を破って優勝。

同時に世界ヘビー級王座を獲得し、大谷晋二郎を相手に初防衛。

炎武連夢の2強を撃破した勢いで、関本とは30分ドロー。


まだ粗削りながら、練習熱心で性格も素直だから、

のみ込みも早い。

スピード、パワー、スタミナと充分で、

キャリアを積めば、それこそハンセンクラスの怪物になるかもしれない。

ライディーンにかかれば、つなぎ技のサイドバスターでさえ必殺技になる。

日本に定着しているガイジン選手の中でも、

将来スーパースターになり得る逸材といっていいだろう。


ベスト興行となると、やはり全国の大会場を超満員にしてきた

新日本プロレスから選出することになる。

ベスト興行であると同時に、最優秀プロモーション賞といった趣もある。

1年経過すると忘れがちだが、1・4東京ドームはいい興行だった。

G1の8・4大阪もよかったし、8・11最終戦もよかった。

あとは……なんだかいっぱいよかったなあ(笑)。


最後に、今年引退した小橋建太へ感謝をこめて。

5・11日本武道館を忘れない。

プロレスとは何か――答えが見つからない。

そう言っていた小橋が、

「プロレスは青春でした!」と

答えを返してくれた日。


コバちゃんへ大いなる感謝の意をこめて、

今年の『ときめきプロレス大賞』を締めくくりたい。