これも先週21日のお話。
都内のスタジオでサムライTV
『俺たちの新日本プロレス♯10』の収録を行なった。
テーマは「タッグリーグ戦」特集。
現在、新日本は『WORLD TAG LEAGUE 2013』の真っ最中であり、
それに合わせてのオンエアとなる。
そこで、今年もテンコジ(天山&小島)タッグでエントリーしている
小島聡をゲストに招いて、小島絡みのタッグリーグ戦の歴史を振り返ってみた。
思えば小島の場合、デビューから10年弱は
タッグマッチでの活躍が目立っていた。
西村修との凱旋コンビ、中西学とのブルパワーズ、
武藤敬司とのnwoブラザーズ、そしてテンコジへと行き着く。
収録に際して、小島本人もこう言っている。
「若いころはタッグのほうが面白かったんですよ。
もう好きなだけ暴れられるみたいな感覚で…。
逆にいうと、シングルの魅力が分かっていなかったんでしょうね。
シングルマッチのおもしろさ、闘い方、そういうものが
ようやく分かってきたのは全日本に移ってからだと思うんです」
確かに、そう言われてみると、
小島がシングルマッチで名勝負を残すようになったのは、
2002年、全日本に移籍してからだと思う。
だからこそ、今回オンエアされる1998~2000年の
小島絡みのタッグマッチはどれもが好勝負。
当の小島がおもしろかったというのだから、
改めて観直してみて、おもしろくないわけがないのだ。
ノンストップで、ハイスパートに次ぐハイスパート。
その若さと勢いが弾けるサマは、
まさにポスト三銃士の立場にいた第3世代を象徴している。
試合メニューは、次のとおり。
①第8回SGタッグ・リーグ戦 優勝決定戦
武藤敬司&小島聡vs藤波辰爾&橋本真也
(1998年12月6日、愛知県体育館)
②第1回G1タッグ・リーグ戦 優勝戦進出決定戦
中西学&永田裕志vs天山広吉&小島聡
(1999年9月23日、日本武道館)
③第2回G1タッグ・リーグ戦 優勝決定戦
飯塚高史&永田裕志vs天山広吉&小島聡
(2000年11月30日、広島サンプラザホール)
①各世代の実力者が入り乱れている何とも凄まじい顔合わせ。
時代背景からいうと、8月に藤波を破りIWGP初戴冠
を果たした蝶野正洋が頸椎負傷でリタイア。
その後、武藤が独断で小島をnwoジャパンに引き入れたことから、
一枚岩と見られていたnwoジャパンにすきま風が吹き始めていた。
IWGP王者は、これまたnwoのスコット・ノートンで、
IWGPタッグ王者チームは天龍源一郎&越中詩郎の維震天越同盟。
このリーグ戦では、4チームが同点首位で並んだために、
優勝戦進出チーム決定戦として、
武藤&小島vs天龍&越中、藤波&橋本vs佐々木健介&山崎一夫
の2試合がまず行なわれ、武藤組と藤波組がファイナルへ進んでいる。
こう名前を列記しただけで、まさにスター勢ぞろいの感があるだろう。
最後は小島がラりアット3連発で藤波から生涯初フォール。
優勝を決めた武藤&小島を中心にnwoジャパンの大団円で幕を閉じた。
「本当に、この試合だけは観なくても覚えてます。
まず、武藤さんのパートナーに抜擢してもらったことが嬉しかったし、
藤波さんから初めてフォールを取れた。
藤波さんに覆いかぶさって3カウントが入ったとき、
いつまでも放れたくなかったぐらいに感激したし。
あとは、橋本さんにトップロープからのエルボードロップを食ったこと。
しかも、背中ですよ(苦笑)…あの痛さも忘れられないですよ」
武藤と小島の絆が完全に出来上がったシリーズ。
これがのちに、全日本移籍へとつながっていくわけだ。
②武藤&ノートンがいち早くファイナル進出を決めたために、
同点2位の第3世代コンビ同士が優勝戦進出を懸けて激突。
ちなみに、IWGPタッグ王座をめぐり激しい攻防を展開していた両チームだが、
王者としてリーグ戦に臨んできたのは中西&永田。
とにかく、4選手ともスピードがあるし、肉体も今より分厚い。
注目は、ゴング前のセレモニー。
永田が中西を野人化させる
「野生注入の儀式」である(笑)。
これはいま観ても最高!
収録中、小島も私も懐かしさとともに大受けだった。
「本当に、このチームは何度もやってきたライバルでしたよね。
みんな、やることが半端じゃない。
中西選手のチョップ…なんですか?あれ(笑)。
たまんないですよ。
天山もいい身体してますよね。
永田選手のバックドロップホールドは固めかたが今と違う。
僕のラりアットも振り切るんじゃなくて、押し倒す感じ。
同じ技でも、変化していっているのがわかりますね」
この対決にハズレなし。
おそらく、いま同一カードをマッチメイクしても、
白熱の闘いとなることは間違いないだろう。
③は正統派、魔性のスリーパーで売り出し中の飯塚に尽きるだろう。
今の飯塚とはまるで別人の様相。
ちなみに、このときIWGPタッグはテンコジが巻いており、
6回連続防衛中と向かうところ敵なしだった。
そのテンコジを破った飯塚&永田は、
12・14大阪で全日本代表(川田&渕)と対抗戦を行い
30分ドローに終わっている。
「もう飯塚高史に注目!
それだけですね(笑)。
この人、凄く技がキレて、グラウンドも強くて、正統派のファイターで、
そこでさらに小川&村上との抗争で活躍して注目されていましたよね。
永田選手はたしかG-EGGSというユニットを作っていた。
時代を感じますねえ。
あと、自分はそれまで天山と同じ散髪屋さんに行ってたんですけど、
このころは美容院に行くようになったので、
ヘアスタイルが変わってますよ(笑)。
だけど、キャリアを重ねてシングルのおもしろさを知ったように、
キャリアを重ねたうえでタッグマッチのおもしろさ、闘い方も感じるようになった。
90年代、2000年代、2010年代と今もテンコジでやっているのは
よく考えたらスゴイことなんですよね?」
そう、小島の言うとおり、テンコジのイキの長さはギネスもの。
ただし、これもライバルとしてぶつかり合い、
タッグを組み、ときにはチームを解消し…と、
そういった紆余曲折のドラマがあったからこそ、
今の大人のテンコジになり得たのだろう。
ともかく、新日本プロレスがスターで溢れかえっていた時代、
あのころのタッグマッチをじっくりと観てもらいたい。
サムライTV『俺たちの新日本プロレス♯10 タッグリーグ戦特集』
MC:金沢克彦 ゲスト:小島聡
OA 12月4日(水)、23:00~23:54(※リピートあり)