紹介が遅れてすまない…。
24日(木)発売のDVDマガジン、
燃えろ!新日本プロレスvol.54のタイトルは、
新日本事件簿番外編Ⅱとして、
『こんな驚愕ありえねぇ!遺恨サプライズ!!』と銘打たれている。
1970年代~2000年代にかけて、
新日本マットで起こった阿鼻叫喚の地獄絵図、
非情なる闘い、サプライズマッチを厳選している。
全試合ノーカット収録(98分)の
6戦のメニューは次の通り。
①”狂虎”との血まみれ抗争に館内絶叫!!
アントニオ猪木vsタイガー・ジェット・シン
(1976年1月9日、福岡九電記念体育館)
②割れたビール瓶を突き刺す!地獄の仲間割れ!!
アブド―ラ・ザ・ブッチャ―vsバッドニュース・アレン
(1984年1月27日、愛知県体育館)
③非情の闘魂、豪腕折りに”皇帝戦士”悶絶!!
アントニオ猪木vsビッグバン・ベイダ―
(1988年7月29日、有明コロシアム)
④命のマスクを投げ捨て真の獣が憑依!!
獣神サンダ―・ライガーvs青柳政司
(1990年6月12日、福岡国際センター)
⑤大日本プロレス、哀愁のインディー魂!!
蝶野正洋vs中牧昭二
(1997年1月4日、東京ドーム)
⑥愛憎入り乱れ阿鼻叫喚の大流血戦!!
永田裕志vs佐々木健介
(2004年1月4日、東京ドーム)
①この試合の2日前、猪木vsウイリエム・ルスカの
異種格闘技戦(格闘技世界一決定戦)が正式発表。
それに敏感に反応したのが、猪木の宿敵シンだった。
ルスカは72ミュンヘン五輪の柔道で史上初の
2階級(重量級&無差別級)制覇を達成した超大物格闘家。
ところが、シンからすれば、新日本の主役は自分だという自負がある。
いつにも増して荒れ狂うシンは、猪木を血まみれに追い込む。
一方の猪木もビール瓶でシンを殴打するなど、
ラフファイトでも一歩も引かない。
異常なまでのシンの狂乱ぶりの裏には、
彼の強烈なプライドが感じられる。
②ブッチャ―の新日本移籍と同時に、
自然にパートナーとなったのは
同じく黒人ヒールであるアレン。
ところが、アレンの中にはくすぶる思いが渦巻いていた。
つねに№2に置かれていたこともあるが、
モントリオール五輪・柔道銅メダリストという実績が示す通り、
アスリートとしてのプライドの部分である。
ついにアレンはブッチャ―に牙を剥き、シングルマッチが実現。
わずか1分余でブッチャ―の反則勝ちとなったものの、
叩き割ったビール瓶の尖った箇所をブッチャ―の額に
突き刺したシーンには戦慄が走る。
新日本の練習生としてストロングスタイルを学んできたアレンの
強さと度胸が垣間見えた闘いでもある。
③3度目の一騎打ちにして、猪木がベイダ―から初勝利を奪った試合。
試合途中、ベイダ―が凶器として持ち出した金具を奪い取った猪木は
それでベイダ―の左腕に突き立てて流血させる。
ベイダ―の上腕は切り裂かれ、肉をえぐられた状態へ。
最後はその腕にアームブリ―カ―を決める鬼の猪木。
肉体的な衰えをカバーする狂気、鬼気迫る闘いぶり。
最後のライバル、ベイダ―相手に猪木が見せた
最後のクレイジー・ファイトと言っていいかもしれない。
④大仁田厚(当時・FMW)との日本人同士による異種格闘技戦で
大いに名をあげた空手家の青柳政司(誠心会館)が、
新日本マットに登場。
受けて立ったのは、獣神サンダ―・ライガーだった。
素顔時代にドン・ナカヤ・ニールセンと白熱の闘いを行なっている
ライガーにとっては2度目の異種格闘技戦。
試合中、マスクを破られたライガーは、
怒りのタックルから掌底の乱れ打ち。
激情のあまり自らマスクを脱いで闘っている。
ライガーの本性と強さ、
日ごろ研ぎ澄ましているナイフの切れ味を見せつけられる闘い。
また、これをキッカケに青柳は新日本に本格参戦し、
思わぬかたちで主役に躍り出ることになる。
⑤「釣った獲物を間違えた」と長州現場監督に言わしめた
大日本プロレスとの対抗戦。
この1・4東京ドームの新日本vs大日本の対抗戦は、
3勝1敗で新日本の圧勝に終わった。
ところが、勝負論を超えたインパクトを放ったのが、
蝶野vs中牧のシングルマッチ。
実力差は歴然だし、中牧が新日本のドームに上がることじたい、
正直ミスマッチであり、場違いにしか映らない。
試合は当然のごとく蝶野が秒殺の圧勝。
しかしながら、敗れた中牧は自ら持ち込んだ
有刺鉄線ボードの上へ裸になり受身を取りまくる。
大日本のデスマッチを否定するファンへ向けて
捨て身のダイブでインディー魂を見せつけた中牧。
今も記憶に残る名シーンである。
⑥当時の永田vs健介の禁断の一戦は、
新日本の2000年代を代表する
最大の遺恨マッチといえるかもしれない。
02年10月、新日本を退団した健介に対して、
「あんなやつは戦力外だ!」と言い放った永田。
その後、長州率いるWJに合流したものの、
1年を待たずに退団し、古巣へ宣戦布告した健介。
いくら会社の意向があったと言っても、
選手の中には猛反発する者も数多くいた。
そして、当然のように健介迎撃へ立ちあがったのは、
もっとも遺恨のある永田だった。
「いいんだね、殺っちゃって!」
戦前の永田の一言は一時、流行語(?)となったほど。
実際に、試合は凄まじいまでの流血戦となった。
両者が流した血の量は、平成プロレス最多量と言っていいかもしない。
その証拠に、ダウンした永田の頭部から血が流れ、
リングに血だまりができるサマをモニターで観ていた猪木が、
「もうやめさせろ! 死人を出す気か!?」
と思わず叫んだほど。
これを機に大ヒールとなった健介だが、
その後、フリ―ランスとして活躍。
遡ってみたときに、この一戦こそレスラー佐々木健介が独り立ちした
本当のスタート地点だったといえるのかもしれない。
燃えろ!新日本プロレスvol.54
『新日本事件簿番外編Ⅱ こんな驚愕ありえねぇ!遺恨サプライズ!!』
発行元=集英社
定価=1680円
絶賛発売中!