10月開催の両国国技館大会は、

新日本プロレスにとって鬼門と言われていた。


8月に『G1 CLIMAX』があって、

年明け早々には1・4東京ドーム大会を控えている。

ちょうどその狭間に置かれた感じがあるからだろう。


この時期、両国を超満員にしたのは、

2009年11月の『蝶野正洋デビュー25周年興行』ぐらいしか記憶にない。

ただし、これはもうオールスター戦の様相を呈した特別興行。

逆にその煽りを食って、新日本の10月・両国大会は不入りに終わっている。


ところが、予想どおり、今年はキター!

9000人(超満員札止め)。

8・11両国(G1最終戦)ほどの密集感はないものの、

それは升席を2人掛け、4人掛けの2種類に分けたため。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba

これは午後2時30分に両国駅と国技館の正面入口の

ちょうど中間地点から撮った写真。

午後4時スタートにも関わらず、並んでいるお客さんが、

とぐろを巻いた状態。


なぜ、2時半という中途半端な時間に会場入りしたかといえば、

そこには深い深い…いやそうでもなく単純な理由がある(笑)。

そこらあたりから、GK氏と金沢氏に語りあってもらおうではないかね!


GK  それでは、パート2の両国編だよ。

    聞くところによると、なにか当日アクシデント(?)があったらしいけど。

金沢 よく知ってるねー(笑)。

    じつは、今大会は解説メンバーに入っていなかったんだよ。

    だから、ゆっくりと第0試合がスタートするころに会場に入ろうかな

    と呑気に構えていたら、ヤスカクさん(安田拡了氏)とYディレクターから

    お昼前に連絡がきたわけですワ。

GK  ヤスカクさん、まさか痛風が出たとか…。

金沢 食あたりしたらしくて、しんどい、これは無理だと。

    どうも前日食べた牡蠣があたったみたいで。

    俺は前日、柿を食っても大丈夫だったのに…。

GK  人の不幸をシャレにするな!

金沢 いやいや、俺は週刊ファイト時代、当時『レジャーニューズ』にいた

    ヤスカクさんには随分よくしてもらったんだよね。

    レジャーのバイトをさせてもらってお小遣いを稼いでいたし。

GK  ああ、ファイト時代は貧乏だったもんなあ、アンタ!

金沢 そうなんだよ(※しんみり)。

    そんな話はどうでもいいんだ。

    これは一大事ということで急遽、ピンチヒッターで放送席に座ることになった。

    だから、実況陣によるミーティングが始まる午後2時40分前に駆けつけたわけ。

    ふだんは本番に向けて、事前に資料整理をしておくんだけど、

    この日は大丈夫だった。

    すべて9・29神戸大会の流れから来ているから、

    神戸大会の資料があればいいし、数字的なものも流れも頭に入っていたから。

GK  なーるほど。さすがGK…

    じゃなくて、金沢さん!

    でも、そろそろ試合の話をしたほうがいいと思うよ。

    このペースはブログの限度文字数を超えるペースになりつつあるって。

    まずは、”ゴールデンスター”飯伏幸太の新日本所属第1戦。

    飯伏はライオンマークTシャツに日付入りのサインを書いてきたね。

    それを客席に投げ入れた。

金沢 スターだよね、キラキラしてた。

    ただ、珍しく飯伏が緊張しているようにも見えたね。

    でも本人に聞くと、試合前に坂口征二相談役が

    いろいろと話しかけてくれたらしいよ。

GK  試合じたいは6人タッグだし、相手がバレットクラブだから

    まずは御披露目という感じだったね。

金沢 ただし、ちょっと嬉しかったのが、

    完全に悪に染まってしまったデヴィットが飯伏を目の前にして、

    瞬間的に、天空の貴公子デヴィットに戻るシーンが何度かあったこと。

    最高のライバル関係にあった2人だから、

    やっぱりお互いを意識しているなあと。

GK  飯伏はジュニアでやると言ってるんだよね?

金沢 ま・ず・は…ジュニアでしょ。

    でも、G1であれだけ活躍して壊れなかったんだから、

    いずれ無差別級としてトップ戦線に参入してほしい。

    実際に、G1公式戦では内藤哲也に勝っているんだからね。

GK  さあ、それではマニア垂涎の裏メインイベント。

    あの大阪の感動をもう一度…柴田勝頼vs石井智宏です。

金沢 ひとつ心配だったのが、石井のコンディションなんだよね。

    直前のメキシコ遠征で、7㎏痩せて帰ってきたんだよ。

    帰国してから4㎏戻したって言っていたけど。

GK  メキシコの水が合わなかったのかな?

金沢 いや、それ以前の問題でね、これはここだけの話だよ。

    石井にはたった一つだけ弱点があるんだよ。

GK  あんな強靭な身体をしているのに?

金沢 うん、ここだけの話だよ。

    石井はね、お腹が弱いの。

    お腹だけはデリケートで、

    ちょっとしたことでお腹をくだしやすい体質なんだよね。

    意外な話でしょ?

GK  それが不安要素かい!

    アンタだって、酒ばっかり呑んでるからいつもくだしてるじゃん!

金沢 だから、本当の不安要素はダメージの蓄積なんだよ。

    毎回あの試合だからね。

    石井は今年の1・4東京ドームの試合で右肘を負傷して、

    それ以降、ずっとサポーターを装着しているよね。

    今までは長州イズムでサポーター類はいっさい付けなかったのに…。

    ただ、本当に厳しいのは首みたいなんだ。

    頸椎が詰まっていて、それで肘までシビレが出てくるのかもしれない。

GK  あの身体で、30㎝以上も大きいランス・アーチャーとも真っ向勝負だからなあ。

    相手の技をすかすこともないし、もの凄い受身もとるし。

金沢 それでも絶対にスタイルを変えないでしょ?

    それが石井智宏の生き方だからね。

    あと、柴田サイドから見ると、G1公式戦で初めて対戦するまで、

    柴田は石井のことを舐めていたというか、まだ認めていないフシがあったね。

    というのも、柴田が新日本の練習生時代、石井は天龍さんの付人として、

    新日本道場での合同練習に参加していた。

    当初、石井がまだ練習についていけない姿を見ているんだよ。

    それがずっと記憶に残っていたみたい。

GK  それが、いざ対戦してみたらG1屈指の名勝負になったと。

    柴田も言っていたんでしょう?

    「石井戦、オカダ戦がいちばんおもしろかった」って。

金沢 そう、柴田の言う「おもしろい」は、真輔流に言うなら

    「たぎったぜ!」の意味だからね。

    それにしても、今回も2人はやったね。

GK  あれをやられたら、みんな食われちゃう。

金沢 ただし、あえて分析するなら、

    やっぱり石井のコンディションがイマイチだったかな。

    柴田の串刺しドロップキックを食ってから足にきていたよね。

    ちょっと足もとが怪しくなって、技がきれいに決まらないシーンもあった。

    だけど、それさえもこの2人の闘いではよけいリアルさを増すんだよ。

GK  コーナーに駆け上がって首切りポーズを見せた柴田はカッコよかったね。

    会心の試合ができた、自分のやりたいことができたってことでしょう? 

金沢 リベンジ云々より、その充実感だろうね。

    一方、大ダメージの石井だけど…これは放送席でも言ったんだけど、

    足もとがおぼつかないのに、また自力で歩いて引き揚げていったよね。

    彼は絶対に人の手を借りたり、肩を借りて引き揚げたりしない。

    本当に、引き揚げる途中で動けなくなったり、這いつくばったりしても、

    必ず自分の足で歩いて控室へ戻る。

    引き揚げる石井の背中を見て、今回もジーンときたよ、俺は!

GK  次は永田裕志vs桜庭和志の一騎打ち。

    タッグも入れて永田が2連敗していたけど、

    今回はバックドロップホールドでリベンジしたね。

金沢 おそらくないだろう、それでは決まらないだろうと思われた

    バックドロップホールドだから、逆に奏功したような感じかな。

GK  それにしても、まさかのグレイシー一族の登場には驚いた。

    観客もよくわからないようでポカ~ンとしていた。

金沢 この流れでいくと、永田&桜庭がダニエル&ホーレスのグレイシーコンビ

    とタッグマッチで対戦することになる。

    20年越し、ついにプロレスがグレイシーをねじ伏せたということだよ。

GK  20年越しというのは、ホイス・グレイシーが第1回 UFCに出場して

    優勝したのが1993年のことだから?

金沢 そう、あの瞬間からグレイシー伝説がスタートした。

    見たこともないヒクソンまで勝手に有名になってしまった。

    そのグレイシー一族がプロレスのリングに上がり、タッグマッチをやった瞬間、

    これぞプロレスの完全勝利宣言ですよぉぉぉー!!(※懐かしいターザン調で)。


                 金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


GK  では、続いて問題の一戦、NEVER無差別級選手権&1・4ドーム

    IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦の内藤哲也vs高橋裕二郎。

金沢 内藤が復帰してから1勝1敗だから、その決着戦の意味合いもある。

    ここで一つ提示しておかなければいけないことは、

    元ノーリミットの2人がシングルで闘うと、あまりいい試合にならない。

    過去を遡っても、なんとなくギクシャクして噛み合わないんだよね。

    だけど、今回の試合は過去いちばん噛み合っていたように見えたし、

    とくに裕二郎の身体能力の高さと底力が光っていたよね。

    あと、これは放送席でヘッドセットを装着していると

    よく分からないんだけど、試合中の客席の空気が閑散としていて、

    試合後も内藤に対するブーイングが多かったって聞いたんだけど。

GK  そうだね。

    観客の集中力が散漫になっているのが分かったし、

    内藤にブーイングが飛んでいた。

金沢 棚橋が言っていたように、G1制覇によって内藤に課せられた

    ハードルが上がったということだろうね。

    そういえば、大会終了後にたまたまプライベートで内藤に

    バッタリ会ったんだけど、かなり落ち込んでいたもんな。

    まあ、試練でしょう。誰もが通ってきた道だよ。

    棚橋、中邑なんか、内藤の比ではないほどブーイングも食らったし、

    葛藤して苦悩して今の地位と信頼を勝ち得たんだから。

GK  そこで、G1優勝は早すぎたとか、公式戦の内容が伴っていないとか、

    厳しい声も出てくるわけ。

    いくらファンの入れ替わりが激しいと言っても、

    出た杭は打たれるという新日本の伝統は残っているんだろうなあ。

金沢 ただ、俺が評価したいのは、内藤ならではの一瞬のアドリブ力なんだよ。

    グローリアからスターダストプレスといけば、G1優勝戦のときと同じで

    内藤の必勝パターンじゃない?

    だけど、これは放送席の目の前で観た攻防だからよく分かるんだけど、

    グローリアもいつもより落差も角度もなくて、

    それで焦ったのかスターダストプレスもきれいに決まらなかった。

    内藤には珍しいことだけどね。

GK  ああ、スターダストは膝付近に落下したよね。

金沢 だけど、ここで間を空けてもう一度同じパターンを狙うと

    切り返されて、試合が振り出しに戻る可能性もあるし、

    カバーにいっても3カウントは取れないかもしれない。

    だから間をおかずにプルマブランカでタップを取りにいった。

    ここは一瞬の判断だし、アドリブ力があるかどうかを問われる。

    あそこでミスをカバーし、一気に勝負に出たのはよかったと思う。

    ああいうシーンに内藤の天性の才能を感じるんだよね。

GK  なんか内藤に優しいね(笑)。

金沢 だって、大阪の復帰戦を「しょっぱかった」ってこのブログで書いたことを、

    まだ内藤は根に持っているんだもん(笑)。

    「どうせ、俺なんかショッパイですから」ってさあ。

GK  さすが、ミスターネガティブ!

金沢 まあ、冗談抜きで、内藤はいま試されているとき。

    ファンがいちばん厳しい目で内藤を観ている時期なんだよ。

    これを乗り越えたときこそ、内藤は新日本プロレスの主役になれる。

GK  次はドリームカードです。IWGPインターコンチネンタル選手権、

    中邑真輔vs丸藤正道。

金沢 たぎったねえ、たぎりまくったねえ。

    リングインして丸藤を見据え、

    ゴングが鳴って動き始めたときの真輔の顔を見た!?

    こんな楽しそうにたぎる真輔の顔はなかなか見られないよ。

    戦前、「はしゃぎ過ぎないように気をつけたい」と言っていたけど、

    真輔にとっては至福の瞬間だったろうね。

GK  丸藤も楽しそうだった。

    彼には独特のオーラがあるし、ノアのなかでも別格。

    GHC王者はKENTAで、杉浦、森嶋とトップどころがいるけど、

    やっぱりノアの象徴的存在は丸藤なんだなあと痛感させられた。

金沢 試合もおもしろかった。

    ああくればこういく、こうきたならこう返すみたいに、

    お互いの技量とプロレス頭が交錯していた。

    結果的に真輔の勝利に終わったけど、

    丸藤は「負けました」という顔をしていないし、

    真輔も「丸藤を制圧した」という顔ではなかった。

GK  試合後、丸藤が「俺と中邑のパズルはまだ完成してねぇぞ」って言った。

    これはいい表現だよね?

金沢 そう、まだできるよ、まだ第1ラウンドだよ、

    もっと凄い試合、毛色の違う試合だってできるよ、

    そういう自信だろうね。

    真輔も望むところでしょう。

                

         

                  金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


GK  そして、メインイベントのIWGPヘビー級選手権、

    2勝2敗1分けで迎えたオカダ・カズチカと棚橋弘至の

    完全決着戦。

    『負けたら即、IWGP戦線撤退スペシャル』です。

金沢 そんなどこかで聞いたようなタイトルは付いていないけど、

    とにかく大一番。この2年、IWGPヘビー級戦線はこの2人が

    リードしてきたわけだからね。

GK  手に汗握る、目の離せない名勝負だったね。

    アメリカの”レスリング・オブザーバー”も5ツ星の満点評価だった。

金沢 2年弱で6度目のシングルだから、そろそろ飽きるというか、

    手が尽きてきたかな?と思ったら、とんでもない。

    35分以上の試合なのに、まったく飽きさせなかった。

GK  いつもはオカダの首攻め、棚橋の足攻めが定石なのに、

    棚橋が右腕殺しにいったのが斬新だった。

金沢 それに、なぜ35分もやって飽きないかと言ったら、

    大技の応酬ではないからなんだよね。

    基本的な技を駆使しながら相手をジワジワと追い込んでいく。

    そこに感情移入できるからなんだよ。

GK  大技を決めては、ワンツーで返すという攻防は疲れるよね。

    決まったと思ったのに、また振り出しかよ!みたいにドッと疲れる。

金沢 こう言うと勘違いされそうだけど、2人とも身のこなしというか、

    立ち居振る舞いが美しいんだよ。

    しっかりプロレスをやってるなあ、基本に忠実だなあ、

    リングで舞っているなあという美しさを感じる。

GK  今年のベストバウトじゃないの?

金沢 決定でもいいかもしれないね。

    ただ、私的観点でいくと、このオカダvs棚橋、G1の石井vs柴田、

    2・3後楽園ホールの田中将斗vs石井がベスト3かな?


              金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba

              金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


GK  最後のバレットクラブの乱入はどう?

    ハッピーな気持ちが台無しになったけどね。

金沢 確かにそうなんだけど、オカダの勝利、防衛の余韻を

    充分に満喫したあとだから、まだ許せるかな?

GK  バレットクラブは本物のヒール、嫌われ者になってきた。

金沢 品がないんだよね(苦笑)。

    過去の新日本のヒール軍団って、ヒールというより反体制派であって、

    ファンの支持を受けてきたじゃない?

    バレットクラブは本当のゴロツキ野郎だもん!

    まあ、なんでもかんでもハッピーエンドじゃなくて、

    ちょっとムカつきながら帰路につくのもたまにはいいのかも…。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


GK  というわけで、食あたりには注意してね。

金沢 ヤスカクさん、お大事に!


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba 金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba