去る4日は新日本のG1大阪大会と

ZERO1『火祭り』決勝戦がもろかぶり。


どちらを取材すべきか悩んでいたのだが、

結局、前日の新日本・名古屋大会から日帰りして、

『火祭り』後楽園ホール大会に足を運んだ。


やはり、もうひとつの真夏の祭典を軽く見てはいけない。

G1はもちろんそうだが、火祭りのラストシーンを見届けることも、

私のライフワークとなるからだ。


とはいえ、G1前半戦の天王山、

大阪大会の結果はやはり気になる。

後楽園ホールの試合の合間に

携帯サイトで随時チェックをしていた。


そこで、例の結果が飛び込んできた。

石井智宏が柴田勝頼を破った。

ちょうど、後楽園ホール大会は休憩中。


目の前にFEC(ファーイースト・コネクション)時代の同志だった

日高郁人がいた。

日高と石井は業界でほぼ同期にあたる。


「日高選手のFEC時代の仲間が大活躍ですね」


そう日高に話し掛けると、

「ああ、石井さん、スゴイですよね!

ウチの植田(デーモン植田)も石井さんみたいに

なってくれないかなあ」とポツリ。


そのあと、優勝戦を控えた田中将斗が

私の前を通りかかった。


「石井、今日も勝ちましたよ」


「ホンマに? 今日は誰とやったんですか?」


「柴田勝頼です」


「スゴいなあ!

今年の石井ちゃん、プロレス大賞でなにか賞を獲るんじゃないですかね。

嬉しいですね、石井ちゃんの大活躍は…」


決勝の大一番を控えながらも、

田中は本当に嬉しそうな笑顔をのぞかせた。

石井大躍進のきっかけにもなった今年2月の

田中vs石井によるNEVER無差別級選手権。


雑草育ちは雑草を知る。

闘う舞台は違っていても、彼らの絆を感じる。


さて、肝心の火祭りだ。

まず、Bブロックの本命と目されていた大谷晋二郎が

まさかの最終戦脱落。

土をつけたのは、かつての新日本の後輩である吉江豊。


大谷の完璧なドラゴンス―プレックス2連発を食いながらも

意地でキックアウトし、なんと逆襲のダイビング・ボディプレス2連発。

1発でも沈められるはずなのに、念には念を入れての2連発。


さすがの大谷にも、もう返す力は残っていなかった。

両選手とも、余力を残すことなく完全燃焼。


ただし、この結果によっていきなり混沌とし始めたⅤ戦線。

ここで、生き返ったのが、

ジェームス・ライディーンと岡林裕二(大日本プロレス)。


まるでストロングマンコンテストを見ているかのような、

力と力の真っ向勝負。

パワーだけなら、おそらく日本人レスラー№1と目される岡林が、

ライディーンのパワーに敗れ去った。


驚異の22歳。

つい1年半ほど前と比較すると別人の様相。

チーム3D道場出身ながら荒削りで、

パワーだけが自慢の若者が大化けした。


それもこれも、すべてZERO1道場でのトレーニングと

ZERO1マットでの試合から吸収したもの。


真面目で努力家で練習熱心で、

日本が大好きで、すき家の牛丼が大好きな(笑)若者が、

凄まじいスピードで上り詰めてきた。


反対のAブロックでは、これまたⅤ候補の関本大介が

この1年間、決着のついていない佐藤耕平についに陥落。

耕平の意地の前に、関本の野望は崩れ去った。

その結果、小幡優作を実力でねじ伏せた田中の決勝進出が決定。


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田中vsライディーン。

田中が勝てばⅤ5となり、

同じくⅤ4で並んでいた大谷を抜く。


その瞬間がこく一刻と近づいてきていると、

誰もが思っていた。


ところが、大どんでん返し。

底なしのスタミナから繰り出される田中の

ハイスピードのエルボー、スライディングDをすべてクリアした

ライディーンがおそるべきパワーでハイアングルのパワーボムを2連発。

しかも、トドメは餅つき式で決めている。


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パワーだけでなく、パワーと体格を存分に生かした大技を

的確に決めて、田中のスピードにもキッチリ対応してみせたライディーン。

この男の場合、ふつうつなぎ技となるはずのサイドバスターにしても、

ハイアングルから叩きつけるから必殺技になり得るのだ。


会場全体が予想し描いていたエンディングシーンを

完全に覆してみせたライディーンは、

初出場初優勝、史上最年少優勝、史上初の外国人優勝と

記録をすべて塗り替えて火祭り刀を抜いた。


「次の目標はZERO1を日本のトップ団体にすること。

ZERO1こそが№1だ!」


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近くで見ると、風貌にまだあどけなさの残る若者が、

じつに分かりやすい英語でアピール。


過去に、ZERO1は発掘した外国人選手たちをトップスターに育て上げ、

そのたびにWWEにスター選手を引き抜かれていった。

噂では、すでにライディーンにも声が掛かったものの、

ライディーン自身が断ったという。


22歳の怪物ガイジンは自分の判断で日本を選んだ。

自分をファミリーのように扱い育ててくれたZERO1を選んだ。

大好物のすき家の牛丼を選んだのだ(笑)。


果たして、どこまで化けていくのか、

今でも恐ろしいのに、末はもっと恐ろしい。


やっぱり、『火祭り』決勝を選んで悔いはなし。

G1と並ぶ灼熱の祭典は今年も熱かった。


さて、翌5日、サムライTV『速報!バトル☆メン』の

生放送に出演した。


番組メニューのメインは、G1名古屋&大阪大会と

火祭りの決勝戦。


キャスターの三田佐代子さんは名古屋&大阪大会を取材しているし、

私は名古屋&後楽園ホールを取材しているので、

そのあたりの情報は2人でバッチリとカバーしている。


それとはまったく別に、じつはこの日が三田さんの誕生日。

そこで番組のオープニングで、私が勝手に仕掛ける。


「三田さん、歌っていい?」


「歌うんですか? どうぞ!」


「ハッピーバースデー♪

イヤァオ!サヨコー、

ハッピーバースディ・トゥー・ユー音譜


しかし、女性に年齢の話を聞くのは失礼とばかり、

とっとと番組メニューの紹介に入る三田さん。


ところが、生放送の後半に入って、

思わぬ展開が待っていた。

話題が新日本のG1からZERO1の火祭りへ。


「なんせライディーンは22歳ですからね!

22歳って言ったら、もう三田さんの半分ぐらいでしょ?」


「ええ、ホントに……

あ、ちょうど半分だ!」


かくして、三田さんの年齢が全国に知れ渡ったわけである。

決して、私が仕掛けたわけではなく、

たまたま言ってみたら、ビンゴだったというわけ(笑)。


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というわけで、生放送終了後、

サムライTVスタッフがこっそり用意していた

バースデ―ケーキに笑顔の三田さん。


スタジオ内は火器厳禁、食べもの厳禁なので、

楽屋でこじんまりと誕生祝い。

私もケーキもいただいたが、

とても美味かったのだ!