新日本プロレスが秋田で初のIWGPヘビー級選手権
(つうか、5大選手権を開催)を行った7・20秋田大会。


ただし、私個人にとっては今回の秋田出張で

2大イベントが待っていた。


超満員の観客で埋まった大会翌日の21日、

秋田市大町のスポーツバー『スポコンカフェ』で、

トークイベントを開催したのだ。


今回、イベントが実現するまでの過程が非常におもしろい。

オファーをもらい、それを受諾したのが6月26日の深夜。

それから、電話、メールで相談しながら、

ようやく公にイベント内容の告知をしたのが、7月6日。


なんと、2週間前である。

普通なら、遅くても1カ月前には告知する。

ただ、日にちが足りないからとか、

こんな短期間で集客どうこうなんていう考えは、

ハナからなかった。


ただただ、彼の情熱と真摯な姿勢に圧倒された。

それが正直なところだ。

今回のイベントを実現させるために、

何もコネがないところから人伝に私本人にまで辿り着き、

単刀直入にトークイベントの開催と出演を訴えてきた人物。


それが吉野雅彦くん。


職業は、webデザイナー。

秋田市在住で、筋金入りのプロレスファン。


実際、彼の顔も素性もほとんど分からない状態で、

イベント出演をOKしたのも、

彼が送信してくるメールの内容、

電話で話したときの礼儀正しさを気にいったから。


「自分は、プロレス誌の入口が週刊プロレスだったために、

ゴングは立ち読みしていたというのが本当のところなんです」


こういう正直な自己紹介にも好感をもった。

都内の大学に通っていたころの吉野くんが、

映画研究会に所属し、構内でプロレス上映会を

行ったときのチラシなども郵送されてきた。


格闘技の大波に飲み込まれそうな、

いわゆるプロレス(新日本プロレス)暗黒期であり、

彼のやりきれない思いが、その上映会につながったという。


もういい、わかったから(笑)…

と言いたくなるほどにたぎる情熱。


もちろん、自分が過去に関わったトークイベントを例にあげ、

釘をさすようなことも言った。


「お金を取るイベントっていうのは、

簡単に集客できるものじゃないんですよ。

僕が文庫本2冊の出版記念トーク&サイン会を

渋谷の書店で無料でやったときは、

告知から3日で50人限定の入場券がなくなった。

でも基本、プロレス関係のイベントというのは、

大会へ向けたプロモーション活動だから無料が多い。

たしかに、タイミングはいいんだけど、

秋田のビッグマッチにお金を使った人がイベントにも

来てくれるかと言ったら、そう簡単な話じゃないと思うよ」


私のアドバイス(?)を真摯な姿勢で受け止めつつも、

吉野くんは意を決したように走り始めた。


そこで『スポコンカフェ』代表の松橋健さん(以下、マツケンさん)が、

全面協力してくれて、フェイスブック、HPで告知・宣伝をしてくれた。

それ以外の部分でも、吉野くんの指南役になってくれたという。


私はといえば、自分のブログを始めとして、

新日本プロレス・オフィシャルwebサイトさん、

サムライTVさん、カクトウログさんといった

プロレス関連のメディアでいくとメジャークラスの

媒体に告知をお願いして掲載してもらった。

率直なところ、私にできることはここまでである。


チケットの初動は好調だったのだが、

その後、売れ行きは伸び悩んだようで、

吉野くんは必死に策を考えて頑張っていた。


ここでもまた、彼の思いが痛いほどに伝わってきた。


「素性もよくわからないだろう自分のお願いを

快諾してくれた金沢さんのために、

なんとしても会場を満員にしたい」


そう考えると、いてもたってもいられなかったのだろう。

だけど、それは仕方のないこと。

これが秋田では初の試みであり、

最初から満員なんて無理な話。


むしろ、この短期間でパブリシティを行い、

21人のお客さんが集まってくれたことを喜びたい。

それに、たとえ観客が100人であろうと5人であろうと、

私のテンションはまったく変わらないのだから。


試合当日の20日、午後2時前、東北新幹線

こまち号で秋田駅に到着すると、

吉野くんと友人が出迎えてくれた。

パッと見で、意外な感じがした。

どこから見ても、今風の若者。

見た目通りで、今年30歳だという。


電話で会話した印象、伝わってくる実直な性格…

私など勝手に彼は30代後半ぐらいで、

髪型も七三ぽいのではないか?と想像をめぐらせていた(笑)。


これは相当なギャップだった。

カフェで30分ほど雑談をしてから、

車で市立体育館まで送ってもらった。


車中の会話。


「あの体育館は宇宙船みたいで、

おもしろい造りをしているよね?」


「なにか、ヘリコプターで上空から見ると、

秋田のシンボルマークの形にデザインされているらしいんですよ」


「まあでも、そうそうヘリコプターに乗る人もいないからなあ(笑)」


「そうですよねえ(笑)」


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到着して、体育館前での記念ショット。

じつは、この何気ない会話があとで生きてくる。


生放送PPVの実況で、吉野真治アナウンサーが

「この体育館は著名な建築家による作品だということです」

とうん蓄を述べると、すかさず私は、

「上空から体育館を見ると、秋田のシンボルマークの形になるらしいですよ」

と、先ほど聞いたばかりの”にわか知識”を披露。


出ました、オイラの十八番。

前から当然知っていた風に語る”にわか知識”解説!


あ、そうそう会場到着前のカフェでは、

明日のイベントで2階から撒かれるという

GKドル札(1000000ドル)の見本をもらった。

さすが、デザイナー!

ここまでやるか…(笑)。


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秋田大会は超満員の大盛況に終わった。

放送席の左側にあたる最前列に懐かしい顔を発見。

秋田市在住のF子さん。


以前は東北地方はもとより、

時には東京まで観戦に来ていた彼女だが、

結婚してからはそうもいかなくなったようだ。


放送席をチラチラ見ているので、すぐに分かった。

一言でいうなら、ハッとするような色白の秋田美人。

わずか5分余の休憩時間に会って少しだけ会話した。


おそらく、10年ぶりぐらいの再会になるから、

どちらからともなく握手。

そのあと、互いの携帯、スマホで記念写真を撮った。

カメラマンはたまたま通りかかった野上慎平アナウンサー。


その後、控室に戻った野上アナは、

「美人ですねえ!ビックリした~。

お友達ですかあ…どういう関係かと思いましたよ!」

と、なぜか興奮気味。


野上アナ、キミには愛しい麻紗子ちゃんがいるのだから、

他の女性に気を取られてはいけないぞ(笑)。


ちなみに、F子さんの御主人の名前は”克彦さん”という(笑)。

偶然なのだが…これ、マジ!


さて、この日のビッグマッチも4時間興行となった。

ホテルにチェックインしてから、テレ朝『ワールドプロレスリング』

チームの反省会&打ち上げに参加。


その後、有志で二次会へ。

秋田は食べ物がオイシイ。

トリ肉、魚、ご飯となんでも美味い!


すべては、水が綺麗だからということらしい。

そこのところは、私の故郷である北海道と同じ。


さらに、有志で三次会の店を探して繁華街を歩いていたところ、

某大物レスラーに遭遇。

この選手、リング上とは180度打って変わり、

とにかく元気にハシャギまくる。


結局、カラオケスナックに腰を落ち着け、

完全に夜が明けてからの解散となった。


吉野くんとは午後4時半にホテルのロビーで待ち合わせをしている。

しかし、私が目を覚ましたのが、午後4時半。

それからシャワーを浴びて…ダメだ、二日酔い。

結局、彼を45分も待たせてしまい、

徒歩でお店(スポコンカフェ)に向かった。


軽く打ち合わせをしてから、私は別室に待機。

他の皆さんは忙しく立ち回っている。

それにしても、お店の佇まいは私の想像したものとは違っていた。


天井が高く、床面積は仮にリングを置いても

余裕があるぐらいの広さ。


店中に、膨大な数の懐かしい昔の週刊ゴングなどが、

所狭しと並べられている。

いったい、どこからどうやってかき集めてきたのだろうか?


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打ち合わせの際、初めて会ったマツケンさん。

社会人ラグビーをやっていた元プロラガ―マン。

今回いろいろと協力していただいたわけだが、

そういうことをハナにかけるでもなく、

ごく自然体でイベントを見守ってくれていた。


いい笑顔だなあ。

できれば、もっといろんな話をしたかったなあと思う。


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私はといえば、まだ二日酔いの酒が抜けないので、

ひたすら水を飲んで出番を待つだけ。

すると、開場時間の午後6時を少し過ぎたころ、

一番手で見覚えのある若者がライオンマークTシャツを着て入ってきた。


最前列に座った彼はトイレに行く私に気がついたようだ。


「来てくれたの?」


「ハイ、来ました!」


屈託のない笑顔を浮かべる。

実は前日の大会終了後、彼が話し掛けてきたのだ。


「あのー、僕はお酒とか飲まないんですけど、

飲まない場合、入場料はいらないんですか?」


「うーん、それは取られるんじゃないかな?

お酒がダメならジュースとかソフトドリンクもあるみたいだよ」


「あ、飲みものはいらないんです…」


「じゃあ、明日になれば、午後2時にはお店の人たちも

来ていると思うから、スポコンカフェに電話して聞いてみたら?

連絡先は知ってる?」


「ハイ、分かります。

もし直接行くなら2500円持って行ったほうがいいですか?」


「そうだね、一応持って行ったほうがいいと思うよ」


ちょっとばかり困ったなあという感じ。

どう説明していいのか難しいので、

結局、お店のほうに振ってしまった。


その彼が真っ先に着席していたのだ。


「キミは何歳なの?」


「16です」


デェ―!

ガ体が立派だから、てっきり

20歳前後かと思っていたら16歳だという。


そりゃあ、ふつう16歳の子ならスポーツバーには来ないし、

システムもよくわからないだろうし、

ましてやお酒など飲めるわけもない。


イベントの休憩中に、また少年に話し掛けてみた。


「ちなみに、キミのお父さんはいくつなの?」


「あ、ハイ、40歳です」


ウゲェー!


「じゃあ、キミのお父さんは、俺みたいにバカなことを言うかな?」


「あんまり言いません(笑)」


アッハッハッハッ、ガックリ!


そんな16歳の少年もいれば、

わざわざ東京からの観戦組が3名。

ふつうに考えて、秋田大会を観戦するために来たのだろうが、

その足でもう一泊してまでイベントに参加してくれたという解釈もできる。


私のトークショーには珍しく(笑)、

麗しき女性もお二人いらしていた。


午後7時、入場のため2階で待機。

なんか、珍しく緊張している。

ああ、そうか!

まったくアルコールを入れていないからだ。


以前にも書いたと思うが、私は人前でのしゃべりが苦手。

カメラの前でなら、脱ぐ以外はどんなことでもできるのだが、

お客さんに見られていると、どうにも緊張する。


こちらに反応がストレートに伝わってくるから、

ついついお客さんの顔色をうかがってしまうのだ。


そういえば、武藤敬司が言っていたよなあ。


「最近のレスラーはお客に媚を売るというか、

受け狙いで結局、大技に走るよな。

レスリングをやって、シーンとされるのが怖いんだよ。

はっきり言って、ハイスパートなんか誰でもできる。

俺はそれ以前にグラウンドが好きだから、

ハイスパートに行く前のそういう地味な

レスリングを見てほしいんだよな」


ということは、レスラーに置きかえれば、

私はまだまだグリーンボーイなのかもしれない。


オープニングテーマ曲として『スコア』がかかる。

続いてオカダ・カズチカの入場テーマ『RAINMAKER』が鳴り響き、

2階のバルコニーから”GKドル札”が舞い始める。


同時にステージの中央まで進んで、

両手を広げたレインメーカーポーズ。

これは恥ずかしくない。

なぜなら”GKマスク”を被っているから。


マスクを被ると、人格が変わるとか

羞恥心が薄れるというのは本当である。


正面のゲスト席に移動してからマスクを脱ぎ、

今度はバンダナを巻く。

これはもう毎回のお約束ごと。


「人の真似してるんじゃねーよ!」と

ご本人からもお墨付きの(※言葉の使い方を誤っている!)

GK道、いきなりの登場である。



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だけど、これだけそこかしこで真似をしていると、

なんとなく顔つきまで似てきたと思わない?

ちなみに、私の隣がMCも務めた吉野くん。

今風の若者でしょ?


これが店の全景。

やっぱり、リングを置けるぐらいに広い。


トークに関しは、何を話したのかほとんど覚えていない。

冗談抜きで覚えていない。

いつものように、お題を振られても、

私の話は果てしなく曲がりくねって、別の線路を走り始めるため、

元の線路がわからなくなる。


そこで今回も、やはりお客さんに

「で、もともと何の話だっけ?」と

3~4回確認している。


覚えているのは、お酒が入る前にはド緊張して、

乾杯をするとき手が震えていたこと(※アル中ではない!)、

あとは冒頭のGK道のセリフだけ。


「おい、このトークイベントは録音禁止、書き込み禁止だってな!

なぜだか分かるか? 

他のトークイベントとは、レ~ベェルが違うんだよ!

今日は秋田スポコンカフェに…金の雨が降るぞー!!」


本当に、これだけ。

あとは1時間経過で休憩に入り、

ワインで酔いが回ってきたせいか、

後半にようやくエンジン全開になったことぐらい。


ただ、21人のお客さんたち…

皆さんが時には笑い、時には真剣に聞き入り、

時にはあきれ果てていたことだけはハッキリと覚えている。


まあ、正直なところ、私はいつも好き勝手にしゃべっているから、

MCはプロレスを分かっている人間なら誰でもいいと思っていたのだが、

吉野くんは絶妙だった。


ふだんあれほど謙虚で礼儀正しいのに、

三田さんばりに私の話をスル―して進行してみたり、

あまりに脱線すると、突然話題を変えたりなど…

ポイントをよく抑えていたと思う。


どうだろう?

参加してくれた人たちはどう感じたのかな?

私は楽しかった。


私の持論として、それがトークライブであろうと、

テレビ出演であろうと、やっている本人が楽しいと感じなければ、

見ている人は絶対につまらない、というのがある。


マニアの人には深い部分が伝わったかな?

初心者の方、プロレス素人の方にも、何かを残せたかな?


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ともかく、2時間はあっと言う間に経過して、

ジャンケン大会によるグッズプレゼント。

ハズれた人たちには”本家”外道10ドル札を

「ハズれた人はポケットティッシュ」ばりに配布。

我が師匠・外道さん、スマン!


もちろん、写真もサインもOK。

脱ぐ以外はすべてOK。

最後に、みんなでレインメーカーポーズの記念写真。


みんな、明るいねえ。


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これは、9名が参加してくれたアフターイベントの風景。

アフターイベントというより、真剣な会議だよ!


さらに、この後の三次会にも

私を含めた7人で突入。


さらにさらに、四次会は3人で。

そりゃそうだ。

四次会が終わったのが、

午前4時半だもん。


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その後、吉野くんと彼の友人が私をホテルまで送ってくれた。

「やっと終わったなあ」と思っていると、吉野くんが

「明日、駅まで見送らせてください!」と言う。


ここで、根本的な私の行動規範を説明すると、

出張などの際、飲食のとき以外はほぼ単独行動。

他人とつるんで移動したり、

移動するのに待ち合わせすることはまずない。


やっぱり、何か買いたくなったり、トイレに行きたくなったり、

1本遅らせた新幹線に乗りたくなったり…

そういうときに自由が利かない状況が嫌なのだ。


だから、移動は独りがイチバン。

これは昔からそうだった。


でも、吉野くんの情熱にはすでにタップしていたから、

もう流れに任せた。


結果的に、新幹線の改札口で握手をして別れたとき、

そういえば、こんな短期間でこれほど濃密な時間を

共に過ごした相手も珍しいなあ、と思えた。


「金沢さん、14時20分発。

”スーパーこまち”じゃないですか!?」


私の乗車する新幹線だ。

そんなに凄いことなのかな?

彼が改札前に立っていた女性駅員に確認していた。


「上り下り、1日に4本ずつしか走っていないそうですよ」


よく分からないが、ラッキーみたい(笑)。

終わりよければ、すべてよしか?


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階段を下りていく私の姿が見えなくなるまで、

吉野くんは改札の前に立っていた。

いや、立っているのだろうなと思って振り返ってみると、

やっぱり彼は立っていて笑顔で手を振っていた。


私も手を振ってから階段を下りていった。

果たして、彼の情熱に応えるだけのものを自分は提供できたのか?


残念ながら、金の雨は降らなかった。

だけど、もしかしたら確かに一歩は印したのかもしれない。


秋田の地で、まさかの両国クラスの大会が実現した。

それに便乗する格好で、まさかのトークイベントが開催された。

たった21人だけど、されど21人。

感謝の21人。


そのために、奮闘した吉野くん、マツケンさんはじめ多くの人たち。

うーし、今度は金の雨を振らせてやろうじゃないか!



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◎秋田でイチバン友達ができるお店

Spocom cafe(スポコンカフェ) 

〒010-0921 秋田市大町1-2-7 サンパティオB棟2F

℡:018-863-7558 Fax:018-874-9592

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