8日午後、新日本プロレスから『G1 CLIMAX23』(以下、G1)

全9大会、全公式戦カードが発表された。


その絶好のタイミングで、サムライTV

『NEW JAPAN ROAD ♯10』の収録を行っている。


今回のゲストは、6・22大阪大会で

8ヵ月ぶりのリング復帰を果たした内藤哲也。


大阪DOMINIONでの復帰戦(vs高橋裕二郎)

の振り返りから始まり、来たる7・20秋田大会

(NEVER無差別級選手権、田中将斗戦)、

さらにG1へ向けての意気込みなど、

盛りだくさんのメニューで番組を進行した。


大阪での復帰戦に関しては、内藤自身も「凡戦」とコメントしているが、

私も当ブログで「しょっぱかった」とダメだしをしている。

じつは内藤も私のブログを読んでいて、

すでにその件に関しては7・5後楽園ホール大会で話をしていた。


収録でもその話題となり、

「試合後『内藤哲也、復帰戦』でネット検索していたら、

金沢さんのブログに行きあたり、読んでみたら

『しょっぱかった』って…まいりましたよ(苦笑)」

と少し口をとがらせる内藤。


もちろん、本気で怒っているわけではないが、

気にしていることは間違いないのだ。


だけど、こういう書き方もたまにはいいと思う。

基本的に私の場合、試合のダメだしは

あまりしないようにしている。


プロレスの見方は十人十色であって、

そこに明確な答えなど存在しない。

単に勝敗がそのまま答えとなる単純なものではないからこそ、

おもしろいのだし、みんなが語れる特別なジャンルなのである。


もう一つ大事なことは、

レスラーは命懸けで闘っているということ。

過去に事故、アクシデントを生で目撃したり、

また伝え聞いたことも数知れずだから、

そのときの感覚だけで、ダメだしはしないように心がけてきた。


その気持ちは、自分がフリ―となってから

余計に強くなってきたような気もする。

ただし、それがチャンピオンシップであれば、

ダメだしも避けては通れないときがある。


一方、そういうメインの試合ではない場合、

スル―という”必殺技”も存在するのだ(苦笑)。

つまり、触れない、観なかったことにする…

という卑怯な必殺技である。


まあ、すべてを含めて、できるだけよかった部分を

クローズアップしつつ、課題を記すというのが私流か?


ただ、思い起こせば、『週刊ゴング』時代の

試合リポートでは相当キツク書いたこともあった。

特に、新日本に関してならヤングライオンには

かなり厳しく書いていたことも多かった。


永田裕志、中西学、小島聡、鈴木健三(現・KENSO)などは、

私のダメだしリポートを食らった面々である。

たとえ試合に勝ってもダメだしということも多々あったから、

当時、彼らもいろいろと思うところがあったのではないか?


もちろん、直接話もしたし、

彼らの方からも問いかけてきた。


その一方で、負けても若手らしいハツラツとした

試合を見せてくれたときには大絶賛した。

とくに、若手時代あまり日の当たらなかった

高岩竜一や真壁伸也(現・刀義)が好勝負を見せたときには、

たとえ地方試合であってもカラ―ページに掲載したりもした。


手前みそになるが、選手とマスコミという立場にありながら、

そういうストレートな関係が成立していたからこそ、

のちのちまで彼らとの信頼関係が続いてきたのだと思う。


だからこそ、ゴングの休刊(廃刊)が決定したとき、

すでに自分がゴングを去って1年以上経過していながら、

永田のコメントを読んだときには正直うるっときたものだ。


「残念です。

俺はゴングに育てられたレスラーだから」


取材する側として、ここまで言われたら本望だろう。

これ以上のセリフはないと思ったし、

自分のやってきたことに間違いはなかったと思えた。


ちょいと、待った!

また始まったよ。

サムライTVの話だろ?

内藤哲也の話題だろ!?


脱線にもほどがあるだろ?

だけど、この脱線をみんなおもしろがって読んでくれるんだよな(笑)。


だけども、本題!

話を戻そう。


というわけで、前回も書いたように

「しょっぱかった」は期待の大きさの裏返し。

それは内藤も重々わかってくれているだろう。


そこで、問題の7・20秋田大会。

『NEVER』という興行におけるリーダーでもある内藤が、

満を持して初代王者の田中に挑む選手権試合。


「俺、基本的に新日本の選手以外は認めない

というところもあるんですけど、この田中将斗だけは

認めるというか誰が見ても凄い選手ですよね?

その田中さんと闘う…復帰して1カ月の今の状態では

勝つのは難しいという声もいっぱいある。

だけど、相手が田中将斗だからこそやらなきゃいけない」


本当にその言葉通りで、大阪大会の状態からそれほど変わらない

内藤であれば、あの田中に勝つのは至難の業だろう。

田中は完全無欠のコンプリートプレイヤーといっていい。

しかも、どんなタイプの選手と対戦しても、

名勝負を作り上げてしまう。


だからこそ、内藤にとっては最高の試金石となる。

私見でいくと、やはり勝敗よりも内容だと思う。

内藤哲也が帰ってきた!

本当にそう思わせる試合をやってのければ、

それが必ずG1につながると思うのだ。


G1でいうなら、内藤はBブロック。

初日から裕二郎、飯伏幸太、永田、鈴木みのる、シェルトン・Ⅹ・ベンジャミン、

天山広吉、矢野通、中邑真輔、カール・アンダーソンの順に対戦していく。


とにかく、強者揃いだ。

まあ、Bブロックに限らず、

エントリー20選手はみんな強い。


やはり、秋田の田中戦を突破してこそ

初めて内藤のG1が見えてくると思う。

そのへんも踏まえて内藤は言う。


「いま、現時点での俺はG1に関して偉そうなことは言えないけど、

そのときになれば、また違った気持ちを表現できると思います」


そう言いつつも、同い年である飯伏のこと、

一時抗争を展開していた中邑のこと、

さらにシングル初対決となる鈴木のこと、

かつて付人を務めていた天山のことなど、

かなり饒舌に話してくれた。


意外というか、内藤が強いこだわりを

持っているのは天山戦だった。


「天山さんと対戦するのは、8月7日の仙台サンプラザホール。

去年の同じ日、同じ会場でルーシュと対戦して、

自分は右膝の靭帯を切ってしまったわけです。

だからこそ、その同じ日、同じ場所の仙台で

1年経って完全復活したという証明をしたいんです」


こういう内藤のこだわりには、少しグッときた。

8ヵ月間、彼が味わった気持ちを垣間見たような気がする。


いま現在のコンディションと試合勘の問題など、

課題はまだまだ多い。

だから、内藤の発言には強気な部分と

ネガティブな部分が入り混じってくる。


しかし、そこで私はハタと気がついた。

2年前のG1のときも同様だったではないか?


2年前のG1を迎えるにあたり、

猛スピードで駆け上がっていた内藤は、

ファン、マスコミから最注目選手、

さらにⅤ候補にまであげられていた。


ところが、直前までメキシコ遠征に出ていたこともあり、

どうもマットに足が着いていないというか、ピリッとしない。

案の定、開幕戦の福岡ではノーリミットの元パートナーである

裕二郎に完敗を喫した。


その夜、中洲の街を歩いていて、

たまたま内藤とバッタリ。

内藤はこう言っていた。


「金沢さん、マスコミの皆さんは自分に期待し過ぎですよ。

なんか今日も負けちゃったし、メキシコから帰ってきたばかりで、

どうもマットに足が馴染まないというか、本来の動きじゃないんですよ」


それから、ほぼ毎日、内藤と会場で会話したが、

いつも不安の連発…ネガティブ発言のオンパレード。

ところが、それに反して、あれよあれよと勝ち上がりファイナル進出。


優勝決定戦の中邑戦でも、

あわや!のシーンを何度か作りだしている。


そのときの教訓(?)がある。

だから、私は声を大にして言った。


「ネガティブな内藤哲也に気をつけろ!」


「ネガティブな内藤哲也に騙されるな!」


それを聞いて、苦笑いの内藤は、

「俺、基本的にネガティブですから」

だって(笑)。


いやいや、これはひとつの真理かもしれない。

ネガティブ発言をしているときの内藤は、

リングに上がると180度、変貌するのである。


あくまで田中戦の内容しだいという注釈付きで…

Bブロックの私的・本命は中邑、対抗は内藤としておこう。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


というわけで、収録後の記念撮影。

みなさん、いつものポーズではないことにお気づきだろう。

これが収録メンバーで考え出した内藤の新しい決めポーズ。


名付けて、オ○○○ポーズ。

じつにポジティブなポーズなのであーる(笑)。


内藤哲也が、いま現在の心境から、

秋田大会、G1の他の試合の見どころまで語ってくれる

濃~い番組をぜひともご覧ください!


サムライTV

『NEW JAPAN ROAD ♯10』


7月12日(金)、22:05~23:00オンエア!