本日(4日)発売のDVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』vol.46は、

「席巻!黒の”nwo”軍団、吠える!!」と題して、あのnwoを大特集。


この1刊に、時代を席巻したnwoのすべてが

凝縮されているといってもいいだろう。


全試合ノーカット収録(123分)DVDのメニュー

5試合は次の通り。


①大ブレイクの天山を強奪!”狼群団”結成!!

蝶野正洋&天山広吉&ヒロ斉藤vs長州力&橋本真也&平田淳嗣

(1995年2月12日、後楽園ホール)


②黒い軍団の魔手…もムタ降臨、幻惑の毒霧連発!!

橋本真也&武藤敬司&佐々木健介&ロード・スティーブン・リーガル&中西学

vsスコット・ノートン&蝶野正洋&マーカス・バグウェル&nwoスティング&天山広吉 (1997年3月20日、愛知県体育館)


③nwoトップがアメリカからついに来襲!!

武藤敬司&スタイナー・ブラザーズvs蝶野正洋&ケビン・ナッシュ&スコット・ホール (1997年5月3日、大阪ドーム)


④新日ツートップが背水の陣、nwoタッグ分裂!?

長州力&橋本真也vsグレート・ムタ&蝶野正洋

(1997年7月6日、札幌・真駒内アイスアリーナ)


⑤”黒のカリスマ”、悲願のIWGP初戴冠!!

藤波辰爾vs蝶野正洋

(1998年8月8日、大阪ドーム)


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


①nwoの前身である”狼群団”が結成された記念すべき試合。

俗に言う2・12『平成の乱』である。


1年半に及ぶヨーロッパ修行を終えて帰国した天山広吉は

大変貌を遂げて、1・4東京ドームの凱旋マッチ(中西戦)から、

わずか1カ月で橋本真也の保持するIWGP王座に挑戦。


大化けした怪物・天山獲得を狙っていたのが、

平成維震軍と武闘派ヒールに転身した蝶野正洋だった。

2・12後楽園ホールは昼(平成維震軍)夜(新日本)興行。


維震軍興行で越中詩郎の握手を拒絶した天山は、

急遽組まれた試合で小原道由に圧勝し、

その勢いのまま蝶野との共闘を宣言。


そして、夜興行では天山が大暴れの末、

なんと大将・長州から完全ピンフォールを奪取してのけた。


天山をまんまと蝶野に奪われたうえ、完敗を喫した長州は、

控室で完全にキレた!

「お前ら、選手会の問題だろ!」と長州が見境なく暴れるシーンも必見だ。


ちなみに、長州の投げつけたイスが私にも当たりそうになって、

慌てて控室から逃げた思い出がある(苦笑)。


②1996年7月、米国WCWでヒールターンしたハルク・ホーガンが

立ち上げた反体制派ユニット”nwo”のモチーフとなったのは、

じつは蝶野率いる狼群団だったことはあまり知られていない。


というのも、nwoの誕生前、WCWサイドから

「こちらで狼群団をやらないか?」という勧誘を

蝶野は何度か受けているのだ。


結局、新日本首脳陣の反対を押し切って、

96年末に渡米した蝶野は正式にnwo入りを果たす。

以降のnwoブームを考えると、蝶野は賭けに成功したわけである。


このイリミネ―ションマッチは97年2月から始動したnwoジャパン

と新日本正規軍による全面戦争の第1弾。

ここでポイントを握っているのが、再三nwo入りの勧誘を受けていた武藤。


その武藤が試合の終盤、ムタに変身して登場。

これでnwo入り決定かと思いきや、蝶野、橋本めがけ

無差別毒霧を噴射!


果たして武藤の去就は?

その話題だけで当時、「週刊ゴング」も売れていたのだから、

アメプロ路線全開のいい時代である。


③nwo入りした97年、蝶野はWCW所属選手として契約を結び、

ギャラも新日本からWCWを経由して支払われていた。


それだけ蝶野が日米をまたにかけるキーマンであることを示したのが、

本家nwoの主要メンバーが大阪ドームに集結したこと。

アウトサイダーズのナッシュ&ホール、シックス(Ⅹパック)、

さらにエリック・ビショフ副会長が来日。


本家nwoとnwoジャパンの合体、リングジャックはまさに壮観。

新日本マットがここまでアメプロカラ―に染まったのは初めてかもしれない。

この翌月、WCWマットで蝶野とムタがついに合体。

新日本のリングは完全に黒に染まっていく…。


④ムタがnwo入りしてから全国の会場は超満員。

限定出場のムタがどこの地方会場でも観られるわけだから、

それも当然の現象かもしれない。

無論、新日本マットの主導権を握っていたのもnwoジャパンである。


そこに一矢報いるために結成されたのが、長州&橋本のタッグ。

すでに確執が公になっていた現場監督とIWGP王者が組むわけだから、

まさにスクランブル態勢という他はなかった。


これまでリングを蹂躙していた蝶野&ムタだが、

さすがに長州&橋本は強かった。

そこで焦りが生じたのか、ムタのバット攻撃は蝶野を誤爆。


不穏な空気も流れるなか、やがてムタが姿を消して、

ブラック武藤が参戦し、武藤&蝶野はIWGPタッグを強奪する。


⑤まさにプロレス界は蝶野を中心に回っていた。

前年度(97年)、プロレス大賞MVPを獲得し、

これでG1クライマックスⅤ3、NWA世界王座奪取と

すべてを手に入れた感もある蝶野。


だが、たったひとつ足りないものがあった。

デビュー15年、一度もIWGPヘビー級王座を巻いていないのだ。

しかし、完全に機は熟していた。


周囲が期待し確信する通りに、大阪ドームの大舞台で

藤波を破り、ついにIWGP初戴冠。

ヒール、ベビーを超えて、新日本の頂点に立った。


自分で道を切り拓いてきた蝶野の完全勝利。

蝶野はリングでも政治力でも新日本を制圧した格好である。

ところが、古傷の頸椎を痛めて一度も防衛戦を行なわないまま

ベルト返上を余儀なくされる。


その後、nwoジャパンは武藤がボスとなるが、

蝶野との間に確執が生まれ分裂→抗争へと突き進む。


それを考えると、この蝶野のIWGP初戴冠の瞬間こそ、

nwoジャパンがひとつの答えを世に示した集大成であり、

蝶野が天下を獲った瞬間でもあったと思う。


街を歩けば、nwoTシャツにあたる…

そう言っていいほど世間一般にまで浸透していたnwoムーブメント。


その世界観をいま一度確認してもらいたい!


なお、冊子のほうでは全試合の解説を私が担当しているが、

試合解説というよりも、当時は表に出せなかった蝶野の葛藤や、

新日本、WCWも含めた政治的な闘いにも触れている。


また、「魂が震えた新日ベストバウト!」第26回には、

スーパー・ストロング・マシンが登場。

絶対に誰も推さないような不穏試合、不思議な試合をあげて

重鎮マシンらしい分析をしているから、最高におもしろい!


燃えろ!新日本プロレスvol.46

席巻!黒の”nwo”軍団、吠える!!

発行元=集英社

定価=1680円

本日(4日)、木曜日発売!