累計140万部突破、60号までの続刊が決定した

DVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』vol.44は

「真夏の祭典、G1クライマックスの極み!!」と題して、

新日本のG1史上、実に意義深い名勝負5試合を特集している。


全試合ノーカット収録(122分)のDVDメニューは次の通り。


①V2&NWA世界王座戴冠、”G1男”襲名!!

蝶野正洋vsリック・ル―ド

(1992年8月12日、両国国技館)


②ジンクス破る現役IWGP王者初優勝!!

武藤敬司vs橋本真也

(1995年8月15日、両国国技館)


③飛龍のビンタで覚醒、史上初の全勝優勝!!

長州力vs蝶野正洋

(1996年8月6日、両国国技館)


④”ミスタープロレス”を超えた壮絶チョップ合戦!!

橋本真也vs天龍源一郎

(1998年8月1日、両国国技館)


⑤8度目の正直で初Ⅴ、”破壊王”全盛の輝き!!

橋本真也vs山崎一夫

(1998年8月2日、両国国技館)


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


①新日本とWCWの提携により、復活したNWA世界ヘビー級王座

の新王者決定戦も兼ねて開催された第2回G1は日米対抗トーナメント

といった組み合わせで開催された。


NWAといえば、1989年に同王座をめぐりリック・フレアーと

激闘を展開した過去を持つ武藤(グレート・ムタ)ということで、

大本命=武藤敬司というのが大方の予想。


その予想を覆し、またも優勝戦に駒を進めたのが、

首の故障に苦しみながらも、ノートン、武藤(準決勝)を

下して勝ち上がってきた蝶野だった。


一方のブロックからは、これまた橋本、健介(準決勝)という

強豪を破り、伏兵リック・ル―ドがファイナルに進出。

ただし、WCW・USヘビー級王者だったル―ドは、

単なる色もののマッチョマンではなかった。


パワーだけではなく、細かいテクニックやインサイドワークも抜群。

それに加えて試合ごとに変えるサイケデリックなロングタイツ、

そして、十八番の腰振りパフォーマンスと魅せるファイター。


このG1をきっかけにル―ドは大ブレークしている。

いま思えば、新日本マットで初めて受け入れられた

NWAスタイルのショーマン派といえるかもしれない。


なんといっても、日米対抗戦の優勝戦ということで、

個人闘争を超えて、武藤、橋本、長州らがセコンドで

蝶野のバックアップに回っていたのが試合を大いに盛り上げた。


まさかの2連覇達成と、日本人でG馬場に次ぐ

NWA世界王者となった蝶野は”G1男”、”夏男”の

称号も手に入れている。


②「IWGP王者はG1で優勝できない」という

ジンクスを武藤が初めて打ち破った第5回大会。

初日に越中に敗れ、2戦目の蝶野戦を大流血に見舞われながら何とか突破。

3戦目でまたも流血しながらフレアーからシングル初勝利を奪った武藤は、

準決勝のノートン戦も勝ちぬいて優勝戦へ進出。


相手は、橋本。どちらも勝てば初優勝というシチュエーション。

参議院議員となった馳浩が「野獣の闘いを見せてほしい!」

と言った通り、一進一退の激闘の末、武藤が執念の

ムーンサルト2連発でついに王者としてG1初制覇。


まさにファンが望んでいた武藤時代の到来。

この年の10月、高田延彦も撃破した武藤は、

文句なしのプロレス大賞MVPも獲得している。


③第6回大会はある意味、初戦の公式戦がすべてを決めた。

「たとえ優勝できなくても長州力だけは倒す!」と豪語していた

橋本と長州が初戦で凄まじい潰し合いを展開。

リキ・ラりアット7発をぶち込んで橋本を沈めた長州だったが、

その代償も大きく、左膝の靭帯を負傷。


だが、続く天山、平田(不戦勝)、健介を連破した

長州は全勝でファイナルへ。

一方のブロックからは狼群団の蝶野が実に4度目の決勝進出。

蝶野の猛攻にタジタジとなる長州を救ったのは、

セコンドに入った藤波の張り手1発だった。


これで蘇生した長州はリキ・ラりアット連打から

渾身のサソリ固めで史上初の全勝Ⅴを達成。

振り返ってみると、これが長州の最後のG1出場であり、

翌年の1・4東京ドームで自ら最後のIWGP挑戦と宣言して

時の王者・橋本へ挑んでいく。


長州にとっては、すでに”引退”の二文字を意識した

”最後の聖戦”であったことが分かるだろう。


④収録5試合のなかで、この橋本vs天龍戦だけは

優勝戦ではなく、唯一の公式戦(トーナメント2回戦)。

過去の対戦成績は天龍の2勝1敗。

天龍を初めて破ってから4年余、両雄が4度目のシングル戦。


試合は壮絶の一言。

天龍チョップ(逆水平チョップ)と、ケサ斬りチョップの応酬が

最初から最後まで果てることもなく続く。

近年よく見られるエルボー合戦やチョップの打ち合いは、

この試合が原点であり、伝説の小橋vs健介戦のチョップ合戦も

この一戦がなければ生まれていなかったかもしれない。


まさに「これはチョップの張り合いじゃなく、意地の張り合い」

(byアメトーーク)であり、我慢比べ。

この単純な攻防から2人にしか表現できない新鮮さも伝わってきた。


この後も、橋本と天龍は2度シングルで闘っており、

通算戦績は6戦して天龍の4勝2敗に終わっている。

ただし個人的には、この試合こそもっとも両者の持ち味が

ストレートに出た名勝負だったと私は思っている。


⑤第8回大会の優勝決定戦。

橋本が8度目の正直でついにG1初制覇を

達成した記念すべき闘いである。


後藤達俊、天龍、小島聡を破って決勝に上がった橋本。

対するは、藤波、健介、蝶野とⅤ候補の3強をすべて

関節技でタップさせ決勝進出を決めた伏兵の山崎一夫。


今でこそテレ朝『ワールドプロレスリング』での解説者として

的確で温厚な言い回しの”山ちゃん”にファンは慣れているだろうが、

当時の山崎はサブミッションと剃刀のようなキックの切れ味で勝負する

本格派ファイターであり、特に今大会に懸ける意気込みには鬼気迫るものがあった。


橋本の重爆キックvs山崎の剃刀キック。

生涯最初で最後のプランチャまで繰り出す山崎。

しかし、橋本の初優勝に懸ける執念が

痛烈な垂直落下式DDTとなって爆発。

ついに山崎をねじ伏せる。


試合後、控室で最高の笑顔を披露した橋本。

しかし、皮肉なことにこれが新日本マットで

破壊王の最後の輝きとなってしまう。


秋口から体調を崩し、舌禍による無期限出場停止処分、

そして、翌99年1・4東京ドームの小川戦でのセメント騒動。

橋本は運命(宿命)の波に飲み込まれていくのだ。

それだけに、橋本真也の初優勝は余計に感慨深いのである。


なお、冊子のほうでは、全試合の解説を私が担当しており、

「実録!新日本プロレス事件簿」第44回では、

長州vs大仁田戦実現の舞台裏を綴っている。


「魂が震えた新日ベストバウト!」第24回には、

浅草キッドの玉袋筋太郎さんがべらんめぇ調で登場(笑)。

玉さんが語るTPG(たけしプロレス軍団)の裏話はかなり興味深い!


燃えろ!新日本プロレスvol.44

「真夏の祭典、G1クライマックスの極み!!」

発行元=集英社

定価=1680円

絶賛発売中!