5月23日(木)放送分のテレビ朝日・人気バラエティ番組

『アメトーーク』のテーマは、「今、プロレスが熱い芸人」で、

なんと最後の最後にまるでオチのごとく、

ケンド―コバヤシ(以下、ケンコバさん)の口から、

ワタクシ金沢克彦(=GK)の名前が飛び出した。


と言っても、事前に私の名前が出るような話は聞いていた。

5月11日、日本武道館で開催された

『小橋建太、引退記念興行』のマスコミ受付で、

ユリオカ超特Q(以下、ユリオカさん)とバッタリ。


そのとき、ユリオカさんがチラッと教えてくれたのだ。


「近々、アメトーークでまたプロレス特集を放送しますよ。

今回は昔のレスラーの話とか昔の映像じゃなくて、

今のプロレスが熱いということで、

みんな現在進行形のレスラーに扮して収録したんです」


「へえー、スゴイ! それは見ものですねえ。

で、観覧席のお客さんたちはついて来れたんですか?」


「多少ポカ~ンとしているところもあったんですけど、

芸人みんなで一生懸命突っ走った感じで…。

それより金沢さんの名前がいっぱい出てきたんですよ」


「ええっ? なんで自分の名前が…?

どういう状況で出てくるわけですか!?」


「それは放送を観てのお楽しみということで(笑)。

ぜひ、観てくださいね!」


まったく、分からない。

過去の一連のアメトーーク「プロレス特集」を思い返してみても、

どういう状況でそこに自分の名前が出てくるのか、

想像のしようもない。


まあ、自分のことはともかく、

テレ朝が誇る高視聴率番組アメーークで、

またまたプロレス特集が組まれるというのだから楽しみ。

ましてや、過去のゴールデンタイム伝説時代を掘り返すのではなく、

今のプロレスを題材にしているというのが、

最高に喜ばしいし、興味を惹かれるところ。


それにしても、未だに地上波放送の影響力というのは絶大だ。

とっくに世間はネット社会であり、電車に乗れば、

ほとんどの人がスマホをイジッっている時代といえども、

ことテレビに関しては、地上波放送がまだまだ主役を張り続けている。


ちなみに、電車内で未だに携帯電話を操作しつつ、

東京スポーツ紙を堂々と眺めているのは私ぐらいのものか?

乗客が少ないときなど、チラッと「男セン」面までチェックしている男など、

日本中の東スポ読者の中でもオイラぐらいのものだろう(笑)。


エッヘン!


……と、威張れる話でもないなあ。


さて、23日放送のアメト―ークである。


ケンド―コバヤシ=中邑真輔

勝俣州和=曙

博多大吉=飯伏幸太

東京03・豊本明長=男色ディーノ

バッファロー吾郎A=オカダ・カズチカ

ハリガネロック・ユウキロック=中西学

東京ダイナマイト・ハチミツ二郎=GET WILD(大森隆男&征矢学)

ユリオカ超特Q=棚橋弘至


出演芸人は、それぞれのレスラーに扮して登場。

ケンコバさん、似てるワ!

勝俣さん、最初は正体不明。

宮迫さんが「昔の女子プロレスラーの人?」

と突っ込んでいたが、まさにそんな感じ(笑)。


吾郎Aさんに至っては、

ドリフタ―ズのコントで定番だった

いかりや長介&高木ブ―の雷様みたい。

これがレインメーカーだというから、

恐れ多いのではないか(笑)。


ユウキロックさんも野人ダンスを披露するまでは、

RG(レイザーラモン)の真似かとマジで思っていた。


メインプログラムは、自分が扮したレスラーを中心に、

ト―クやエピソード、映像でそれぞれがプレゼンする格好。


ここで出色なのは、映像の選抜。

テレ朝『ワールドプロレスリング』中継から抜粋した映像が

中心となるのだが、ワープロ本編では流れなかったものがあったり、

とにかく細かく丹念に映像をチェックしているのが分かる。


特に、オカダのドロップキックとレインメーカー、

棚橋のハイフライフローとスリングブレイドに関しては、

私なんかが観ても惚れ惚れするような技の決まり具合だから、

プロレス素人が観たらビックリだろう。


ところで、吾郎Aさんのレインメーカー・ポーズに

観覧席が引いているところに、吾郎Aさんは、

「シーンメーカーや!」と連呼して、

さらにスタジオをドン引きさせる(笑)。


すかさずケンコバさんが

「俺が楽屋でスル―した時点で察しろよ!」

とツッコミを入れる。


この「シーンメーカー」にドン引きシーンも

あえてカットせずに流したのではないか。

というのも、テレ朝動画で約2分の番宣が事前に流れていたが、

本番収録前の楽屋でのケンコバさんと吾郎Aさんの「シーンメーカー」談義

も収録されており、それを併せて観ると、ドン引きもまた楽しいのだ。


それに、やっぱり中西は存在そのものがバラエティ!?

人類65億分の1の奇跡は、なにをやっても面白い。


4・7両国大会で初公開された新技…上からドン。

試合後、その名称を大声で発表するときの得意げな顔、

また記者から「ドンは片仮名ですか?」と問われて、

「片仮名やな!」と少し照れながら答えるところがいかにも野人らしい。

ちなみに、この「片仮名やな」のシーンは

ワープロではカットされている。


ワープロにおいては蛇足として編集される部分であっても、

バラエティ番組なら、このたった一言がツボを押さえたセリフとなる。

そこでまた笑いが巻き起こる。


また、中西が入場する際の吉野真冶アナウンサー

渾身の実況が遺憾なく空気を盛り上げる。


「ホモサピエンス最後のゴリラ」

「ゴリラの中のゴリラ」

「ゴリラの大運動会!」


ゴリラの運動会と実況するとき、

中西は越中詩郎をアルゼンチン・バックブリ―カーに担ぎあげ、

リングサイドを走り回っている。


ここで、アメトーーク効果によって一時

大ブレークした越中を出すところも心憎いのだ。

それにしても吉野アナ、これだけ「ゴリラ」を連発していたら、

やっぱり中西に怒られてもしょうがないって!

だけど、吉野アナは私に負けず劣らずの野人ファンでもある。


予想以上の面白さで爆笑を誘ったのは、

新日本系ではなく全日本マットで活躍する

大森&征矢のGET WILD劇場(記者会見)。


生真面目な大森と天然でトンパチな征矢が

決してお笑い路線を狙っているわけではなく、

無理やり”WILD”というキーワードに結び付けようと、

懸命に噛み合わない会話でやり取りするから、

観ている(聞いている)ほうはたまらない。


ここで、あえてGET WILDを取り上げたハチミツさんは、

さすがに全方位観戦型のプロレス芸人。

本人のブログによると、

全日本所属の2人の記者会見に関して、

わざわざ自分で放映権を持つプロダクションに連絡を入れ、

快諾を得たという。


新日本関連なら、後藤洋央紀の「討ちとったり!」や

愛知県体育館での万歳三唱事件(?)も観たいところだが、

MVP級のGET WILD劇場の前では、これ以上の贅沢は言えないなあ。


それでいながら、プロレスをまったく知らないゲストの狩野英孝さんに、

「ゴツゴツの(試合)もあんのよ、

俺んちに来て田中vs石井のビデオ一緒に観てくれへん?」

と、今年上半期話題となった2・3後楽園ホールの

NEVER無差別級選手権に触れるケンコバさん。


すると、両者のゴツゴツの頭突き合戦が一瞬Ⅴで流れる。

ケンコバさんにしても超売れっ子だから会場には来られないのだろうが、

今もテレビ放送をしっかりとチェックしていることが分かる。


ところで、今回のアメト―ークを観て、

ツイッターで辛口発言を残したのが鈴木みのる。


「昨夜のアメトーークを見た。面白かったのは面白かったけど、

結局…レスラーいじって…アラ探しして…アホ扱い。

ディーノや曙はまだ良い。棚橋と中邑はテレ朝なのに、そんな紹介かよ。

ちょっと、うーーん…である」


みのるの言いたいことは分かる。

棚橋のしゃべりがデフォルメされて発信されていること。

中邑のクネクネばかりがクローズアップされていたこと。


新日本マットへの侵略をスタートさせて以来、

シングルで棚橋には1勝2敗、中邑には1敗。

オカダの台頭はあっても、

みのるの目にはタナと真輔こそ両輪と映るのだろう。

しかも、自分に勝ち越している男たち。


そこを考えると、バラエティ番組ではあっても、

みのるからプロレス感覚は消えない。

あれだけプロレス頭が柔らかくて、

女子レスラーが相手でも自分のプロレスをやってのける男。


それでも、彼の持論からいくと、

レスラーをいじるなら線引きを考えるべきとなるのだろう。

ファンやマスコミに舐められてはいけない。

芸能人にだって舐められたくないし、

他のジャンルのスポーツ選手に対しても同様。

そこが昭和新日本を知る男。

常日頃、強さという面を強調し、追求する男のこだわりなのかもしれない。


その一方で、当の棚橋や小島聡は、

プロレスを知って興味を持ってもらうためには

入口はなんだっていい、きっかけが大切――

そういう感じでツイッター、ブログで語っている。


そういったマジメ感覚で私が意見を述べるなら、

オカダがイチバンおいしいなあと思った。

ルックスのよさ、それに反比例するかのような

凄まじい技の斬れ味…女性ファンがまた増えそうだ。


棚橋の場合、確かに相当いじられていたが、

試合のⅤには有無を言わせぬものがあった。


もう一人、中邑に関しては、

なぜ彼がくねっているのか…

そこの解説があれば万事OKだったろう。


もしかしたら、ケンコバさんのことだから、

ちゃんと解説したのかもしれないし、

そこを編集でカットされた可能性もある。


ちなみに、中邑がくねり始めたとき、

私は単刀直入に聞いてみたが、

ストレートな回答はこうだった。


「コマの原理を考えてほしんです。

コマは回転しているときに軸がしっかりしている。

回転が弱いとバランスを崩す。

だから常に動いていることによって、

相手のどんな動きにも臨機応変に対処できる。

もうひとつは、相手をバカにしているのもありますね(笑)」


こういう持論も伝わっていれば、

もっと分かりやすかったのではないか?


そういえば以前、長州力も私にこんなことを言った。

ハチミツさんが番組中に言った通り、

長州はアメトーークをちゃんと観ている。


アメトーークで『俺達のゴールデンプロレス』を放送したあとのこと。

その回では「悲劇のマスクマン」としてエル・サムライを特集。

その甲斐あって、やはりサムライも一時的にブレークしている。


問題のシーンは、これまたよくスタッフが見つけたなという場面。

場所は愛知県体育館で、IWGPジュニア王座挑戦をアピールする

サムライが試合後、本部席のベルトを強奪して引き揚げる。


マスコミ勢に囲まれると、

奪ったベルトを手に挑戦宣言のサムライ。

ところが、そこに長州現場監督がひょっこりと現れて、

サムライの手から「よこせ!」とベルトを強引に取り上げると、

通路の向こうへ足早に去っていく。


なにも言えずに呆然として、去りゆく長州を見ているだけのサムライ。

時間が止まった感じ…もちろん、スタジオは大爆笑。


「俺はさ、なんであそこでみんなが笑うのか、

そこがまったく理解できないんだよ。

普通のことをやってるだけで、

もちろん笑わそうなんて思っちゃいない。

なぜ、あんなにみんな笑うんだ!?」


長州らしいというか、

当人からすればそういう感覚なのだろう。


つまり普通に真面目にやっているからこそおもしろい。

長州のコワモテのキャラと、

本来は無口で滅多に自己主張しないサムライのキャラが、

奇跡的に衝突するという意外性がおもしろいのだ。

その微妙な空気感というのは、プロレス素人にも伝わる。


中西学などその典型だろう。

不器用な彼が、プロレスに対して

真面目一筋に取り組んでいるから、

観ていておもしろいのだ。


だから、こと新日本に関して言うと、

私の場合、大変申し訳ないが、

ドン荒川さんの”ひょうきんプロレス”を見て

おもしろいと思ったことがない。


荒川さんは、鬼の棲家と称された新日本道場の一期生。

その環境で育ったのだから、強いに決まっている。

だけど、リングで披露していたのは、ひょうきんプロレス。


最初からウケ狙い…

だからそこには乗れなかったのだ。

もちろん、これは私個人の感覚である。


さて、やっぱり今回も長い文章になったよなあ(笑)。

そうなることは分かっていたけど…。

だって、「この番組、GKどう書くかなあ?」と言われたら、

そりゃあ、ちゃんと書かないと。

常連の読者の人たちにもせっつかれているし(笑)。


それにしても不思議な気分だった。

私の名前や写真が登場したのは、番組の終盤。

さらにマニアックな通フレーズ、

「これを使えばプロレス通」というコーナー。


VTRは1995年の10・9東京ドームの長州vs安生戦。

鬼の形相の長州がサソリ固めで安生をタップさせる。


「こんな時はこう言え!!」とテロップが出ると、

ケンコバさんが一言。


「いやあ、この試合、GKがどう書くかね?」


並んでいる芸人さんたちは、みんなバカ受け。

宮迫さん、蛍原さん、狩野さんの3人はポカ~ン。


「えっ、GKを知らない?

元週刊ゴング編集長の金沢さん。

ゴング金沢でGKですよ」


「長州さんの取材はこの人しかできなかった」


「長州さんにインタビューした『おい、金沢』っていう本も出ている」


ポカ~ンとする3人に向かって、まくしたてるケンコバさん。

画面には、私がワープロの解説をしている写真、

長州と対談している写真、さらに懐かしいムック本

『おい、金沢』の表紙まで出た。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


これがあまりに懐かしすぎる本の『おい、金沢』。

ちょうど12年前に発行されたムック本で結構売れたらしい。

らしい…としたのは、編集したのはすべて竹内宏介さんだから。


私がやったことといえば、

本が出来上がる直前にそのことを聞かされ、

「1行が30文字で25行の”まえがき”を書いてくれないかい?」

と竹内さんに言われ、慌てて「まえがき」を書いただけである(笑)。


12年ぶりに日の目を見た『おい、金沢』と、

いつ撮影したのか覚えていない放送席でヘッドセットを装着した写真、

おそらく9年ほど前に撮ったと思われる長州との対談シーン。


それらを、「アワワワ、こうきたか1?」と思いながら見ているうちに、

会話は勝手に突っ走っていく。


「今日のことをGK、書いてくれるんですかね?」(狩野さん)


「この番組、GKどう書くかなあ?」(ユウキロックさん)


出すぎだろ、GK

どんだけ、出るんかい?

まさかの展開だから、やっぱり不思議な感覚としか言いようがない。


自分が出演した番組なら、

どう編集されようと、

言ったことや場の空気は覚えているから、

戸惑うこともない。


だけど、こういう抜き打ちは初めて。

例えるなら、何人かが私の噂話や陰口などを言っているところを

偶然覗き見てしまい、話を聞いてしまった気分。


そういう不思議な感覚になる自分もいれば、

一方で単純に他人事のように笑って観ている自分もいた。


GKがどう書くかね…って、

ケンコバさん、マニアック過ぎるでしょ?

ユウキロックさん、追い打ちかけ過ぎでしょ?


まあ、これだけ強引にモチベーションを作られたら、

書くしかないわな。

だけど、すぐにブログを更新したら、

はしゃいでいるようでみっともない、

と感じてしまう自分もいたりする。


だから、勝手に3日ほど猶予をもらってから書いてみた。

結論づける必要もないのだが、

視聴率を単純に1%=100万人という計算でいくなら、

「アメトーーク」は軽く1000万以上の世帯で

視聴されている番組ということになる。


プロレス界にとって、こんなオイシイ話はないだろう。

「今、プロレスが熱い芸人」出演の8名に感謝したいし、

スタッフにも感謝の意を表したい。


アメトーークのプロデューサーは、

過去に『ワールドプロレスリング』のディレクターを4年間務め、

『リングの魂』、橋本真也追悼の『リングの魂』橋本真也SPなども

手がけた加地倫三さん。


私にとっては、昔馴染みであるが、

ごくたまに会場や、パーティーの席などで会って、

「加地さん」と話しかけると、こう叱られる。


「金沢さん、やめてくださいよ!

昔みたいに加地クンでいいじゃないですか!?」


いや、オイラは「加地クン」なんて呼んだことはないぞ、

いつも「倫三クン」か「倫三ちゃん」だったと記憶している(笑)。

だけど、加地プロデューサー(ゼネラル・プロデューサー)の

プロレス愛というか、プロレスラーに対する愛着は

今も変わらないと私はいつも感じている。


今回、私に連絡をくれた別府義崇ディレクターも同様。

たかだか、私に写真掲載の許可をとるために連絡してくれただけなのに、

私が快諾すると、

「丁寧に対応いただきありがとうございます。

OAでお楽しみいただける作品を作ってお返しできるようにします!」

という気持ちのこもった内容のメールをいただいた。


アメトーークというテレ朝を代表する看板バラエティ番組を

手がけている自負と責任感と番組への愛情。

そこでプロレスというジャンルを堂々と扱う器量と度胸。

その根底にあるプロレスそのものへの愛着、

さらにプロレスラーへの熱い思い。


芸人も熱いし、制作スタッフも熱い。
今回、アメトーークに関わったみなさん、

楽しい作品をありがとう。


この番組、GKはそう書いた!