気が付くと、10日以上も前の話題となって恐縮なのだが、

2月8日(金)、『サムライTV』の試合解説としては、

久しぶりの出張に出た。


場所は大阪、会場は大阪BODY MAKERコロシアム。

大会名は「なにわ大花火」ときたもんだ。

メインイベントが曙vs大仁田厚。


そこで、問題はもちろん試合形式。

昨年の8・26『横浜大花火』(横浜文化体育館)の

再戦として組まれた同カード。


前回の試合形式は、

ノ―ロ―プ有刺鉄線バリケードマットダブルヘル・メガトン電流爆破デスマッチ。


そして今回、大仁田提案のデスマッチの試合形式は…

ノ―ロープ有刺鉄線電流爆破なにわ地獄デスマッチ

~有刺鉄線電流爆破バット&有刺鉄線電流爆破椅子~


これがフルネーミング。

絶対に暗記できないよ、これは!


結局、試合の方は大仁田の勝利に終わったものの、

とにかく爆破の威力が半端ではなく度肝を抜かれた。

両者同体も含めて、計7度の爆破。

なんせ最前列に位置する放送席には、

爆破の際、粉塵が降りかかってきたほどなのだから。


この試合を放送席に座り解説しながら思ったこと、

頭の中をめぐっていた言葉は、

まったく関係のないレスラーの発したコメントだった。


「オレの一番嫌いな言葉…『あれもプロレス、これもプロレス』、

クソ食らえだよ! ふざけんなよ! オレは絶対認めない。

そこに闘いがなきゃ、プロレスじゃねえんだよ!」


説明不要かもしれない。

新日本プロレスの2・3後楽園ホール大会。

凄まじいまでの肉体派プロレスを見せつけた

田中将斗vs石井智宏のNEVER無差別級選手権。


敗れはしたものの、またしても大きく株を上げた

石井が試合後に言い放ったセリフである。

石井がどんな試合、どんなプロレスを指して言ったのかは、

誰も追究しなかったし、追究するのは却って不粋というもの。


これは石井が投げかけたテーマでもあるから、

本人から答えを求めるようなことはしないで、

レスラー、マスコミ、ファンのそれぞれが頭の中で想像すればいい。


そこで、大仁田流、邪道の究極の舞台といってもいい

有刺鉄線電流爆破マッチのリング。

普通に考えたら、「あれもプロレス、これもプロレス」の一つ。

一言で表現するなら、キワモノだろう。


ただし、あの選手権試合で、

石井はサンダ―ファイヤ―・パワーボムを初公開している。

言うまでもなく、大仁田厚のフィニッシュ・ホールド。

それを食らった田中はFMW出身であり、大仁田の愛弟子だった男。


なにか考えれば考えるほど、果てしなく頭がめぐっていくのだ。

しかし、大仁田vs曙戦のエンディングにはなぜか爽やかな風が吹いた。

あれもプロレス、これもプロレスなのかどうかはともかく、

間違いなく両者の間には闘いがあったからだ。


まずい!

こうやって考えながら書き始めると、

またも収拾がつかない長文になってしまうではないか(苦笑)。


今回のメインテーマは、”くどめ”こと工藤めぐみさんの話。

FMWのOGであり、女子レスラーでありながら

有刺鉄線電流爆破マッチのリングに足を踏み入れた工藤さんには

邪道姫なるキャッチフレーズも付いて、一躍人気スター選手となった。


全女出身の彼女はもともとプロレスセンス抜群だったし、

強さと美貌を備えた将来のスター候補だった。

それがわずか2年足らずで全女を退団し、

2年後にFMWでカムバックしている。


なぜ、私がくどめ情報に結構詳しいのかというと(笑)、

1986年に入門、デビューの彼女とは業界同期にあたるから。

とはいえ、16歳でデビューした彼女と

24歳で記者デビューした私とでは当然年齢差がありすぎる。


それでもどこかで親近感を抱いてしまう。

同じく前田薫(現・KAORU)も同期にあたる。

そういえば、KAORUには20年ほど前、

私が嫁さんとメキシコに遊びに行った際に随分とお世話になったよなあ。


いかん、まーた長くなりかけた。

つまり、今回の大阪大会では

仕事で工藤さんに随分と助けられたということ。


大会はサムライTVの生中継。

生中継には、ハプニングはつきもの。

まず、冒頭から計算外の展開へ。


試合は午後6時35分スタートだが、

放送は6時に始まる。

つまり、約30分間、実況の高橋大輔アナ、

解説の私、ゲストの工藤さんの3人でのトークとなる。


ただし、後半にはジュニアのタイトルマッチ調印式が行なわれるから、

そこは実況不要…10分弱は休憩できる予定となっていた。


ところがどっこい、突然ADクンが掲げたカンぺにはこう書かれていた。


「調印式は中止」


「時間まで話してください」


おーい、こっちだって時間配分を考えているんだから、

もう言うことは全部話しちまったぞ!

30分、フルに話し続けろってか!


そこを救ってくれたのが、工藤さん。

2人だけのやりとりでは煮詰まってしまう。

視聴者だって、観ていてうんざりのツーショットとなるだろう。

だけど、実際に電流爆破マッチを経験している

くどめのコメントだからこそ説得力がある。


ましてや、バックステージにも出入りできるから、

大仁田の様子なども伝えてくれた。

なんとか30分もった。

いやあ、助かった。


その後も、工藤さんはメインイベントのゲスト解説についてくれたし、

大会終了後の”締めコメ”にも参加して、

的確な分析、的確なコメントをくれた。


くどめに感謝!

だから、このキャッチコピーを送りたい。


だからくどめ大好き


これは私が放送開始とともに言ったセリフなのだが、

分からない人にはさっぱり分からないかもしれない。

このオッサン、なに言ってるの?と怪しんだかもしれない。


でも、分かる人には分かるだろう。

1991年4月、『週刊プロレス』が

くどめのアップを表紙にしたときのコピー。

しかも、くどめが目を瞑って微笑んでいるという

本来あり得ない絵柄。


これがターザン山本編集長(当時)のセンスなのかと

当時はビックリ仰天したものだが、

今となってはこれほどインパクトのある表紙もなかったと思える。


過去の週プロからもっとも記憶に残る表紙をあげろと言われたなら、

私は迷わずこのくどめ表紙をあげるだろう(笑)。


というわけで、2・8大阪大会の放送席を支えてくれた

工藤めぐみさんに心より感謝の意を表したいと思います。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba

 

◎追伸 第2試合のFMWのOB大集合マッチのあと、

     リングに上がったくどめは自身のテーマ曲『キープ・オン・ランニング』

     を堂々と歌い…いや、歌わされました。

     これ、ちゃんとCD発売されているんだから!

     強引に仕掛けた犯人は、田中将斗です。

     昨年12月11日のサムライTV『速報!バトル☆メン』に

     師匠の大仁田とともに出演した際に、「絶対歌わせましょう!」と

     大将(大仁田)に執拗にアピールしていたのです。

     仕掛けは、2ヵ月も前から進行していたのでした…(笑)。