私見となるが、藤波辰巳(爾)の全盛期は、
WWWFジュニア王者として凱旋した1978年から
飛龍革命元年にあたる1988年の10年間だと思う。
今回のDVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』vol.36は、
『師弟対決極まれり!”飛龍革命”の乱!!』と題して、
全試合ノ―カット収録(121分)DVDには、
歴史的3試合(すべてIWGPヘビー級選手権)を収録。
また、4・22沖縄・奥武山体育館大会と控室における藤波の反乱
(猪木の張り手に痛烈な張り手返し、さらに自らの髪を切る)も
ダイジェスト収録している。
試合メニューは、次の通り。
①永遠のライバルも認めたIWGP王座戴冠!!
藤波辰巳vs長州力
(1988年6月24日、大阪府立体育会館)
②真のヘビー級王者誕生にファン狂喜乱舞!!
藤波辰巳vsビッグバン・ベイダ―
(1988年6月26日、名古屋レインボーホール)
③猪木の目に涙!伝説の60分フルタイム”逆転師弟対決”!!
藤波辰巳vsアントニオ猪木
(1988年8月8日、横浜文化体育館)
①は猪木にベイダ―戦を直訴した藤波が、
ベイダ―に2連勝し、遂に第2代IWGP王者に。
ところが、長州との初防衛戦が無効試合となったために、
ベルトはコミッショナー預かりとなり、
改めて行なわれた王座決定戦。
こう流れを書いていくだけでも、急展開だ。
わずか2カ月弱の間に、ベイダ―、長州とそれぞれ2連戦を行ない、
しかも、IWGPの第2代、第3代王者に君臨している。
猪木欠場中とはいえ、ポスト猪木に向けて、
藤波が長州を一歩リード。
藤波時代の幕開けを告げる記念すべき試合となる。
②は長州戦の2日後に組まれた初防衛戦。
しかも相手は、87年12月の両国暴動事件の際、
どさくさまぎれに(?)猪木を完全フォールしているベイダ―。
この時点で、ベイダ―の実力にはまだ疑問符がつけられていた。
だが、わずか半年で一気に外国人トップへと躍り出る。
その新怪物から逆さ押さえ込みながら3カウントを奪い、
Ⅴ2に成功した藤波に名古屋の観客は大爆発した。
ちなみに、藤波vsベイダ―はまったくタイプが違うのに
闘えば必ず好勝負・名勝負となった。
これはベイダ―が猪木、長州、闘魂三銃士よりも、
藤波をもっとも評価し、リスペクトしていたからだと言われている。
③7月に開催された『IWGPヘビー級王座挑戦者決定リーグ戦』の
7・22札幌大会で長州が悲願の猪木超え。
猪木をフォールという偉業は長州が先に達成した。
ただし、リーグ戦を勝ち抜いたのは猪木。
8・8横浜は3年ぶりに実現する師弟対決で超満員に膨れ上がる。
関係者、ファンの予想、またマット界の流れは完全に藤波に傾いていた。
だが、猪木のスタミナは底なしであり、藤波と互角に渡り合う。
しかも、誰もが予想し得なかった60分フルタイムの死闘。
猪木超えはならなかったものの、名勝負にファンは釘付けとなり、
フリ―となっていた古舘伊知郎アナウンサーが一夜限りの復活。
最高の舞台設定に最高峰の試合…藤波の腰にベルト巻く猪木から
一筋の涙がこぼれ落ちる。
永遠に記録と記憶に残る60分フルタイムの名勝負だろう。
藤波辰巳(爾)がヘビー級として、もっとも輝いていた時代、
飛龍革命の狼煙を上げた1988年が今回の3試合に凝縮されている。
燃えろ!新日本プロレスvol.36
『師弟対決極まれり!”飛龍革命”の乱!!』
発行元=集英社
定価=1680円
2月14日(木)、本日発売!