少し遅れてしまったが、DVDマガジン
『燃えろ!新日本プロレス』の最新刊vol.35をご紹介。
タイトルに『THE最強外国人、猛々しき怪物たち!!』と銘打ってある通り、
新日本マットを彩った超実力派の外国人選手たちが主役だ。
全試合ノ―カット収録(122分)の試合メニューは次の通り。
①”大巨人”がMSGタッグ・リーグ戦を制覇!!
アントニオ猪木&藤波辰巳vsアンドレ・ザ・ジャイアント&レネ・グレイ
(1981年12月10日、大阪府立体育会館)
②”超人”新日マット最後のWWF戦!!
ハルク・ホーガンvs藤波辰巳
(1985年6月11日、東京体育館)
③決着なるか?超獣と3度目の一騎打ち!!
アントニオ猪木vsブルーザー・ブロディ
(1985年8月1日、両国国技館)
④ドームが揺れた超肉弾戦、再び!!
ビッグバン・ベイダ―vsスタン・ハンセン
(1990年6月12日、福岡国際センター)
⑤豪腕兄弟、衝撃の日本初登場!!
馳浩&佐々木健介vsスタイナ―・ブラザーズ
(1991年3月21日、東京ドーム)
⑥”超竜コンビ”vs”地獄葬戦士”、IWGPタッグ頂上決戦!!
ジュラシック・パワーズvsヘルレイザ―ズ
(1994年1月4日、東京ドーム)
①は日本マット界激動の最中に開催された
『第2回MSGタッグ・リーグ戦』の優勝戦。
1981年といえば、新日本vs全日本で引き抜き合戦が勃発。
新日本にA・ブッチャー、D・マードックが移籍する一方で、
全日本にはT・J・シン、C・ゲレロ、さらに年末には
”超大物”スタン・ハンセンが電撃移籍を果たす。
文字通り、大巨人アンドレが外国人のトップとなる。
パートナーを務めたのは、神様カール・ゴッチとのコンビで
WWWF世界タッグ王座を奪取した経歴を持つ職人グレイ。
すでに、レスラーとして峠を越えていたグレイだったが、
フランス系カナダ人でありフランス人のアンドレとの
相性はピッタリ。
おそらく、過去のアンドレのパートナーの中で、
アンドレがもっとも信頼する男だったのではないか?
それもあってか、猪木&藤波の師弟コンビを破ったアンドレは
素直に喜びを大爆発させている。
こんなに無邪気に喜ぶ人間味溢れるアンドレは初めて見るかもしれない。
また、この試合で猪木はまたもアンドレをボディスラムで投げている。
その瞬間の藤波の驚きの表情にも注目だ。
②ヘビー級に転向して以来、ようやく自分を確立させた感のある
藤波の動きは素晴らしい。
ただし、相手はWWFヘビー級王者であり、脂の乗り切ったホーガン。
すでに全米でカリスマ的人気を獲得していたホーガンと藤波による
レスリングの攻防は息をのむ攻防となる。
③通算7度のシングル対決で、猪木の1勝2敗4引分け。
勝敗がついた3試合の裁定はすべて反則決着。
一連の猪木vsブロディ闘争を名勝負と見るかどうかは微妙なところ。
だが、ハンセンと比較すると日本受けする名勝負の少ないブロディと
短期間で7度もシングル戦で相まみえたことは意義深い。
プライドが高く自分のリズムを崩そうとしないブロディに対し、
ブロディのリズムを崩すような攻撃を仕掛けていく猪木。
虚々実々の駆け引きには、今だからこそ伝わってくるものがある。
④2・10東京ドームで歴史に残る超ド級ファイトを展開した両者が、
わずか4カ月後に再戦、しかもまたIWGPベルトが賭けられた。
新旧ガイジンエース対決は、新日本vs全日本という枠を超えた
世代闘争が大きなテーマとなっている。
2・10ドームでの初遭遇のインパクトが強すぎたためか、
こちらの福岡決戦を忘れている人も多いかもしれないが、
どちらも生取材した私からすると、
会場の器が小さい分、福岡の再戦のほうにより迫力を感じた。
超大物外国人同士、怪物同士による
最後の超肉弾戦と言いきっていいだろう。
もはや理屈抜き、口あんぐりで見てほしい!
⑤兄のリックは87年に単独来日しているが、
全米№1タッグチーム、スタイナ―ズとしては初来日。
数々の合体攻撃、投げっぱなしジャーマン、さらに
写真でしか見たことのない未知の大技フランケンシュタイナー。
来日を前に、これだけ期待感に包まれたタッグチームは、
あのロード・ウォリアーズ以来といっていいだろう。
迎撃するのは、IWGPタッグ王者の”馳健”こと馳浩&健介。
スタイナ―ズはWCW世界タッグ王者だったが、
IWGPタッグ王座のみが賭けられた。
一言で表現すれば、強い。
本物の強さを持つチームだった。
オリンピックレスラーの馳、グラウンドも強い健介が大健闘するものの、
スタイナ―ズの身体能力の高さには及ばない。
全盛期のスタイナ―ズはまさに世界最強チームだった。
⑥92年12月、ペイントをしたパワー・ウォリアーとして
ホークとヘルレイザ―ズ(地獄送り人たち)を結成した健介は、
新たなキャラが功を奏し、どうしても超えられなかった
闘魂三銃士に並ぶ位置まで飛び級することに成功。
この強すぎるヘルレイザ―ズのライバルとして出現したのが、
スコット・ノートン&ヘラクレス・ヘルナンデスの
ジュラシック・パワーズ。
ちょうど、ハリウッド映画『ジュラシック・パーク』が大人気の頃だから、
このネーミングもピッタリとマッチした。
力だけではなく、キャリアのあるヘルナンデスのリードによって、
ノートンのパワーは何倍にも生かされて、理想のチームとなった。
この1・4ドームを王者として迎えたのは超竜コンビ。
最強チームの看板を奪回に動いたのがヘルレイザ―ズ。
絶頂期にライバル関係にあった両チームの集大成の闘い模様だ。
なお、休業していたアニマル・ウォリアーが復帰して、
新日本マットでトリプル・ウォリアーズ(※『週刊ゴング』の命名)が結成されたとき、
その日本語チーム名は”暴走地獄葬戦士”だった。
いやはや、おそろしいチーム名なのだ(苦笑)。
というわけで、今回の燃えプロの超目玉は、
ベイダ―vsハンセンの再戦とスタイナ―ズ初来日!
怪物ガイジン、恐怖のガイジンがいた時代……
懐かしいのと同時に、現代プロレスシーンでも、
未知の怪物ガイジンに出てきてもらいたい。
燃えろ!新日本プロレスvol.35
『THE最強外国人、猛々しき怪物たち!!』
1月31日(木)発売!
発行元=集英社
定価=1680円
あ、後半3試合の見どころ、解説はオイラが担当してますよ!