1日、新宿歌舞伎町の『新宿ロフトプラスワン』で、

トークライブを開催した。


ホスト役がワタクシ金沢、アシスタントMCが

あべ由紀子さん(以下、あべちゃん)で、

ゲストがZERO1の大谷晋二郎と橋本大地。


実は開催2日前の10月30日夕刻、

プロデューサーのMさんから連絡をもらい、

大変困った状況を知らされた。


その時点で、前売りチケットが

18枚しか売れていないというのだ。

正直、耳を疑うような事態。


過去、ロフトプラスワンのイベントには、

ゲストという立場ながら20回ほど出演している。

初めて出演したのは、もう16年以上も前だったと記憶している。


当時、開業したばかりのロフトプラスワンは、

新宿区富久町という静かな場所にあった。

現在の歌舞伎町に移転したのは1998年のこと。


奇しくも、私が初めてゲスト出演したイベントは、

橋本真也ファンクラブが主催する破壊王トークイベント。

そこで橋本のトークの相手を務めるとともに、

私が持参した橋本真也vs栗栖正伸(1990年8月/後楽園ホール)の

歴史に残る喧嘩マッチ(八ミリカメラで撮影)の映像を流した覚えがある。


まさか、今回その息子である大地をイベントのゲストに迎えるとは…。

当時を思い出すと、少しばかり感慨深いものがある。


しかし、感慨どころではなかった。

100人以上も収容可能なイベント会場に、

観客18人ではシャレで済まされない。


大谷、大地に申し訳ないし、あべちゃんにも申し訳ない。

実際のところ私も出演者の1人に過ぎないのだが、

『GK金沢克彦トークライブvol.1』と銘打っている以上、

私に責任が掛かってくる。


かと言って、自分ができ得るパブリシティはすべてやったつもりだった。

ブログでは1カ月のうちに4回イベントを紹介したし、

他の人気ブログにも二度掲載してもらった。


10月12日のサムライTV『バトル☆メン』に出演したときには、

イベントを紹介してもらったし、

10・16ZERO1後楽園ホール大会ではMさんがチケット売場に立ち、

その宣伝のため、私がZERO1恒例のアピールタイムでリングに上がり、

イベント開催とチケット販売の告知をさせてもらった。


試合前の空き時間と休憩時間には、テレビ解説の合間を縫って

わずかな時間ながら自分も売店に立たせてもらった。


正直、こういうのは恥ずかしいから苦手なのだが、

自分の名前が冠になっているからには、

一生懸命に…いや一所懸命にやらなくてはいけない。


18枚と聞いて、テンションが急下降する中、

なんとか気持ちを奮い立たせ(苦笑)、

知人にメールを送ったりしながら誘ってみた。


本来なら絶対にしたくないことだったが、

家族にも協力を仰いでみた。

嫁さんに「誰か誘って来られない?」と聞いてみたのだ。


しかし、平日の木曜日で月初め。

2日前に声をかけたところで、

簡単に来られる暇人などいない。

さらに嫁さんは翌日、風邪でダウンした。


「来なくていいから。

家でゆっくりしていればいい」

そう言うしかない。

もう開き直るしかないだろう。


そんな状況下、前日のブログで

トークイベントのパブリシティをしてくれた

Sクンには本当に感謝している。


当日、午後3時から江東区のスカパー!東京メディアセンターで

サムライTV『NEW JAPAN ROAD』の収録。

収録後、新宿に移動してロフトに着いたのは午後5時半。


すでに、Mさん、映像を用意してくれたサムライTVディレクターのKクン、

あべちゃんが準備に入っていた。

歌のリハーサルをするあべちゃん。

そこに交って、私も少しだけリハに参加。


午後6時に笹崎勝己レフェリーがスーツにネクタイ姿でやってきた。

あべちゃんがCD、オリジナルTシャツを販売するので、

ZERO1もチケットを売ることになって、

笹崎さんが担当で来たのだ。


6時20分には大谷、5分後に大地の順でやって来た。

大谷は笑顔で楽しそう。


「なにが楽しみかって、仕事抜きで

金沢さんと久しぶりに飲めることですよ。

半年ぐらい前に飲んだときは半分、

本の仕事(『元・新日本プロレス』文庫本)だったじゃないですか?」


晋ちゃん、これも一応仕事なんですけど…(笑)。

そこへ、あべちゃんが地元

の大分から送ってもらった

焼酎のボトルをドンと置いた。


本番中、これを大谷に飲んでもらいたい。

どうせなら、美味い焼酎がいいだろうということで、

あべちゃんが持参してきたのだ。


私は、ビール、焼酎類を飲むとトイレが近くなってしまうから、

ひたすら赤ワインと決めていた。


開場は、午後6時30分。

ポツリポツリとお客さんが入り始める。


「あんまり売れてないような話を聞いたんですけどね。

もしガラガラだったら申し訳なくて…金沢さんに申し訳ないです。

新日本の選手とかなら、もっとお客さんが集まると思うし」


そんなことを真顔で言い出す大谷に、

Mさんが即答する。


「金沢さんとこのイベントの話を正式にしたのが、

もう4カ月も前で、そのときから決まっていたんですよ。

最初はもう大谷さんだって。

2人で話してすぐに決まったんですから」


「そうですかあ…ありがたいですねえ」


以前、楽屋に設置されていたものより遥かに大型の

モニターテレビが客席を映しだしている。


「やっぱり少ないですね」


「いや、まだ6時半過ぎたばかりだよ。

それに今日は平日なんだから」


そんな会話をしつつ、

大谷とあべちゃんが生ビール、

私が赤ワイン、大地がレモンサワ―

を手にカンパイ!


「じゃあ、よろしくお願いしまーす!

お客さんが少なくてもがんばろう!」


すでに景気付けで始めてしまった。

大地を心配したのか、大谷がこう言った。


「あっ、大地は2杯が限度ですから。

2杯で潰れちゃうんで頼みます」


だが結局、大地はイベント終了まで、

レモンサワ―を5杯も飲んだが、

最後までしっかりしていた。


それにイベントの途中、

「ボク、そんなに弱くないですから」

と私に耳打ちしてきた(笑)。


7時を回ったころ、Mさんが笑顔で楽屋にやってきた。


「現在、38人になりました!」


なにか、とても嬉しい。

ということは、当日券で20人は来てくれたということ。


午後7時半にイベントはスタート。

その頃には、もっと観客が増えていた。

最終的に、途中入場者も含めて50人ほど。

これで、なんとかトントンの数字が出るらしい。


いきなり、あべちゃんの歌から始まる。

意表をついて獣神サンダー・ライガーのテーマ曲

『怒りの獣神』。


これならだれでも知っているだろう。

サビの部分になるとオイラが歌をかぶせて突然乱入する。

思いっきり音程をはずして、大声で歌う。


ライガーのマスクが手に入らなかったので、

マスクを被っていてもなんとか歌える、

オリジナルのGKマスク。


ラストのジャジャジャジャン♪ジャジャッジャジャ―ン♪

…で炎武連夢ポーズを決めた。

ただし、後ろのあべちゃんは田中将斗ポーズではなく、

破壊王のポーズ(笑)。

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「決まったな!」


「なにが決まったんですか?

私の歌の邪魔しないでくださいよ」


「オレはもう満足したから帰る」


「始まったばかりですよ。

ところで、どちらさまですか?」


「山田と申します」


「山田さんですか?」


「ハイ、山田貴光です。

ライガーの息子です」


「なに言ってるのかぜんぜん分からないし」


「だけどあべちゃん、その衣装スゴイな。

青江三奈みたいだな…だれも知らないか!?」


「知ってますよ」


「マスプロアンテナのCMに出てたんだよ。

昔のワールドプロレスリングの放送のときに…」


「知らないけど、歌なら知ってますよ。

チャラッチャ♪チャラララッチャチャ♪」


「ア~ン恋の矢


などと会話しているのが、上の写真。

この後、あべちゃんがもう一曲。

もちろん、『かぼす音頭』。


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そして、大谷晋二郎、橋本大地の順に、

テーマ曲にのってゲストが登場。

その合間にやたらとカンパイ(笑)。


大谷はボトルの焼酎をガンガンといく。

あべちゃんは休憩まで控えめ。

そう、飲みすぎると歌詞を忘れてしまうから(笑)。


どうも昼間、高橋裕二郎と収録で共演したせいか、

私のなかでエロトークの名残りがあるようだ。

いきなり予定外の下ネタから始まって、大谷も観客も唖然。


だが、この脱線トークが話のマクラとなって盛り上がる。

やっと予定通り、当初のテーマに戻った。

あべちゃんがスケッチブックに書かれたそのテーマを提示していく。


・アントニオ猪木


・第3世代


・長州力


・ジュニアヘビー


猪木に関しては、もちろん猪木信者だった少年時代の話。

第3世代は入門当時のエピソード。

長州力は…マッサージが下手で付人をクビになったり、

新人賞を獲ったときに「10年早い!」と言われた思い出など(笑)。


ジュニアに関しては、エディ・ゲレロ(※のちの2代目ブラック・タイガー)

にスワンダイブ式の空中技を伝授してもらったこと。

それ以降、エディのほうが気を使ってくれて、

日本マットではスワンダイブを封印してくれた話など…。


私なんかは過去に何度も聞いている話なのだが、

何度聞いても爆笑してしまう。

大谷の話っぷりがおもしろい上に、

毎回ほんの少しずつ脚色がついて変わってくる。


それに大谷の話し方が、渥美清の”寅さん”ソックリなのだ。


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休憩に入って、あべちゃんのミニライブ。

これは十八番のムシキングサンバを歌うシーン。

さすがに、あべちゃん。

観客を乗せるのが上手い。


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後半に入ると、いきなり映像を公開。

「大谷選手のカッコいいシーンばかりの特集です!」

と紹介しながらも、実は壮絶に敗れたシーンの連続。


ZERO1旗揚げ戦での村上和成戦に始まり、靖国大会での崔領二戦、

後楽園ホールでの関本大介戦、潮崎豪戦、

そして10周年興行(両国大会)での高山善廣戦など。


どれもこれも、敗れて大の字になったシーンばかり。

さすがの晋ちゃんもご機嫌斜め。

そこで見せたテーマは『敗者の美学』。


これは、私のリクエストでKディレクターに編集してもらったものだが、

要は負けて絵になる男、負けても価値の落ちない男、

負けるときは大の字に負ける勇気を持った男、

大谷を称えたかったのだ。


それでも負けず嫌いの大谷は納得がいかない様子。

最後まで「自分は負けたなんて思っていない!」と抵抗していたが、

「もういいや!飲んじゃおう!!」と突然の一気飲み。

私たちも観客も大爆笑となった。


大地の映像は、父と因縁深い長州力戦。

リキラリアットの2連発で敗れているが、

「もう1発目のラリアットで覚えていない」と証言。


その後、誰のラリアットがイチバン痛いのか談議。

大谷の結論は、「誰よりも佐々木さん(健介)」

ということで落ち着いた。


また、テーマが『橋本真也』になると、

ようやく大地の独壇場。

自宅での破壊王のヤンチャぶり、

選手のテーマ曲に歌詞を付けて歌いまくっていたことなど、

未公開の話がワンサカ出てきた。


あまりに都合の悪いエピソードは、

私が大地に耳打ちしてもらい、

私の口から私が言っているということで公開した(笑)。


やはり現役大物レスラーの秘話を、

20歳の大地が語るのはマズイのだ!

さすがに書けないしなあ(笑)。


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最後は、抽選によるプレゼントコーナー。

大谷はサイン入りの試合コスチューム。

タイツと膝パットをプレゼント。


私からは初代&2代目GK・Tシャツと

新日本プロレス香港遠征(1992年8月)のパンフレットをセットで。


大地は、入場で使用する白ハチマキ。


あべちゃんは、一度着用した匂い付きの(笑)オリジナルTシャツ。


ZERO1から記念ポスター、サムライTVからスタッフTシャツ。


気が付くと、時刻は午後10時半を回っていた。

エンディングでは、大地に締めてもらった。


ZERO1の興行であれば、

「3、2、1、ゼロワーン!」となるが、

今回は「3、2、1、ゼロ、ロフトプラスワ―ン!」で閉幕。


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実に楽しかった。

心地よい疲れとホロ酔いに包まれた。

入口(出口)前で、あべちゃんグッズ、

ZERO1のチケットを売っていたこともあり、

そこでお客さんたちが足を止める。


私たちも、そこでお客さんを見送った。

多くの方に握手、サインを求められる。

本当に楽しかった、最高におもしろかった、来てよかった、

などと声をかけてもらえる。


2日前、ブルーな気分になりかけたことがウソのようだった。

そのとき突然、目の前にいる大谷の言葉がいろいろと浮かんできた。


「ボクは新日本を辞めなければ経験できないことを経験できたんです。

1枚1枚、チケットを売ることの大切さ。

本当に1枚でもチケットを買ってくれた人を抱きしめたくなる」


「ボクはウチの選手たちにこれだけは言うんです。

その場所が両国であれ、後楽園ホールであれ、

閑散とした地方の会場であれ、パチンコ屋さんの駐車場であれ、

いつも同じ姿勢で全力ファイトをしなくちゃいけないって」


私も、この日ばかりは来てくれた50人前後のお客さんたちの

1人1人を抱きしめたい気分だった。

何度お礼を言っても言いきれない、感謝してもしきれない、

そういう気持ちにさせられた。


大谷晋二郎は、10年以上も前からそれを経験してきたのだ。

もしかしたら、今回ほんの少しだけ大谷に近づくことができたかな?

そんな思いも沸いてきた。


普段から試合後のコメントなどを苦手としている大地が、

主張する部分は堂々と主張してくれた。


「ひさしぶりにプロレス関係の仕事ができて嬉しくて…」


そう言って、最後にあべちゃんは少し涙ぐんでいた。

やっぱり、あべちゃんに頼んで正解だった。


トークイベントに参加して、

こんな感覚を抱くのは初めてのこと。

この日、新宿ロフトプラスワンに集まってくれた人たち全員が、

みんなファミリーのように感じられたのだ。


皆さん、どうもありがとう!

大谷流に言うなら…

心の底からありがとうございます!