本日(30日)発売のDVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』vol.24は

過去の特集とは打って代わり、異色のラインナップが揃った。


『戦慄!凄惨!! マットを血に染めた大流血マッチ』と銘打って、

新日本マット史上に残る流血戦”6試合”をセレクション。

”シリーズ累計100万部突破!”記念ということで、

全試合ノ―カット収録のDVDは118分となる。


メニューは以下の通り。


①”インドの狂虎”、赤鬼と化す!

タイガ―・ジェット・シンvsアントニオ猪木

(1975年3月20日、蔵前国技館)


②戦慄の”キラー・イノキ”が突如憑依!

アントニオ猪木vsグレート・アントニオ

(1977年12月8日、蔵前国技館)


③”雪の札幌”の報復に浪速のファン狂喜!

アントニオ猪木&前田明&藤原喜明vs長州力&アニマル浜口&谷津嘉章

(1984年2月9日、大阪府立体育会館)


④闘魂、狂乱の絶叫に場内騒然!

アントニオ猪木vs長州力

(1988年10月19日、静岡産業館)


⑤血のペイント、武藤がムタになった!

武藤敬司vsリック・フレアー

(1995年8月13日、両国国技館)


⑥流血の似合う男、ドラゴンの意地!

藤波辰爾vs天龍源一郎
(1996年4月29日、東京ドーム)


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


①3・13広島大会でのNWFヘビー級王座決定戦で

猪木を破り、新王者となったシンの初防衛戦。

2人の闘いがもっともヒートしていた時代であり、

怒りの猪木が大暴走。


シンが隠し持っていた棒状の凶器を奪ってメッタ打ちにする。

いつもとは逆パターンでシンが大流血。

結果は両者リングアウト、王座移動なしに終わったものの、

あのシンが青息吐息に追い込まれる想定外の展開にファンは大喜び。

猪木が絶対的なカリスマであったことを象徴するエンディングでもある。


②1961年に初来日し、密林男として日本中を沸かせたアントニオ。

結局、力道山との一騎打ちで戦闘不能に追い込まれた男が、

あれから16年ぶりの来日。


実は16年前、若手時代の猪木も5対1のハンディキャップマッチで

対戦させられた過去がある。

ただし、アントニオが単なる怪力デクの棒であることに変わりはなく、

つねに満員で埋めてきた蔵前国技館も寂しい入り。


さまざまな要素が重なって、猪木がブチ切れた。

キラーと化した猪木はアントニオの顔面に蹴りをブチ込み、

さらに踏みつける。16年前の再現でアントニオは血まみれで戦闘不能。

猪木は力道山を強く意識していたのかもしれない。


③6日前に勃発した”雪の札幌テロ事件”では、

入場する長州を藤原が襲撃し大流血に追い込んだ。

この結果、藤波vs長州のWWFインター選手権は試合不成立。

現代では考えられない暴挙であり、興行である。


しかし、不思議なことに藤原を支持するファンは増加する一方。

それは藤原の置かれた境遇、彼のコメントがファンの共感を呼んだから。


「オレはゴミだからな!」


「長州に、下には下がいることを教えてやった!」


当時は計り知れなかったものの、こういった言語センスにも

藤原の頭の良さが見て取れる。


もちろん、長州の狙いは藤原一本。

札幌のリベンジとばかり藤原を血ダルマに。

この後も両者の抗争は続き、

藤原は”テロリスト”の称号を得ることになる。

藤原の出世試合といっていいだろう。


④”闘魂復活七番勝負”の第4戦に組まれた長州戦。

これは私もリングサイドで取材したが、不思議な試合であると同時に、

アントニオ猪木のアドリブの凄まじさを見せつけられた思い。


試合中、長州が左手首付近を押さえると、

そこから大量の血が流れ出した。

あきらかにアクシデントであり、これでは試合続行不可能。


だが、ハンディを抱えた長州は短期勝負で猪木を場外へ誘い、

イス攻撃から鉄柱に打ちつける。

これで猪木の額もパックリと割れた。


怒りを通り越して狂乱状態となった猪木は、

叫び声をあげながら、スリ―パー。

長州の足がロ―プにかかっていてもブレークせずに、

なおも何事か叫びながら絞め続ける。


結果は猪木の反則負け。

血まみれの猪木は半狂乱状態のまま

泣き叫びながら引き揚げていく。

長州も治療のため病院へ直行。

不可思議な謎がいくつも残ったと同時に、

なんとも表現しがたい猪木の凄みを新発見できる。


⑤1989年当時のNWA黄金カードが日本で実現。

IWGP王者として、G1クライマックスに出場した武藤が、

公式戦2戦目の蝶野戦で額をザックリと切って大流血。

傷口を縫うこともなく出陣した3戦目の相手がフレアーだった。


武藤の傷の深さを象徴するシーンがある。

フレアーに雪崩式ブレーンバスターを見舞った際に、

受身の衝撃で再び傷口が開いたのだ。


流血で赤鬼のような形相となった武藤は、

まるでペイントを施したムタそのもの。

本来ならフレアーが自慢のブロンドヘアーを血で染めるのが

見慣れた光景なのだが、まさかの逆転現象が起こった。


最後は、ムーンサルトプレスがズバリ。

武藤が本当の意味でフレアーを初めて超えたメモリアルマッチでもある。

なお、優勝決定戦で橋本を破った武藤は、IWGP王者として史上初のG1制覇。

また、この年、プロレス大賞のMVPにも輝いた。


⑥昭和プロレスの凄みを、昭和の龍同士が見せた死闘。

いきなりドラゴンロケット2連発を成功させた藤波が、3発目へ。

だが、場外の天龍が距離を詰めてきたため緊急ストップ。


その際、顔面をロ―プに打ちつけてしまった。

そこを見逃す天龍ではない。

藤波の顔面へグ―パンチの雨アラレ。


これで鼻骨骨折(※全治2ヵ月)を負った藤波だが、

心は折れることなく闘い続ける。

その心意気に応えて、天龍も容赦なく鼻を狙っていく。

普通なら即座にレフェリーストップかドクターストップというシーンである。


ジュニア時代のチャボ・ゲレロ戦しかり、

魔界倶楽部の安田忠夫戦しかり、

アクシデントや大流血に見舞われたときこそ、

藤波辰爾の本当の強さが顔をのぞかせる。


そんな昭和の気骨が溢れ出る名勝負といっていいだろう。


なお、マガジンのほうでは、

『実録!新日本事件簿』が興味深い。

テーマは「敵前逃亡、カネックの言い分と真相」で、

清水勉氏が寄稿している。


オールドファンならご存知だろうが、

メキシコUWAの大物・カネックは1978年の3月シリーズに初来日。

最終戦の3・30蔵前国技館では、

藤波が保持するWWFジュニア王座への挑戦が決まっていた。


ところが、決戦当日の午前、荷物をまとめたカネックは、

羽田国際空港から自費でメキシコに帰国してしまった。

その裏にはなにがあったのか?

真相が赤裸々に描かれている。


この一件に関しては、私も被害者である。

なぜって、当時高校1年の春休み中だった私は、

大学入学の準備のため上京した姉と、母にくっ付いて、

帯広から東京まで一緒にやってきた。


目的は、3・30蔵前決戦を観戦すること。

すでに、チケットも購入済みだった。

その中でも、藤波vsカネックが最高の注目カードだと確信していた。


それなのに中止? 敵前逃亡!?

いやあ、あのときはショックだったし、頭にきたなあ。

まさに、心の中は”ひとり暴動”状態だった(笑)。

       

今回とりあえず清水氏の原稿を読んで、

あの時の経緯を完全に理解した。

当時は、そういう不祥事の裏側は表に出てこなかったし、

また明らかに事実が曲げて報道されていたきらいがあるのだ。


あっ、ついついエキサイトしてしまった。

それにしても田舎者でまだ純真だった高校1年生の

心を深く傷つけた新日本には、今からでも遅くないから

責任をとってもらいたいものだなあ(笑)。

もう35年ぐらい前の事件だけれど…。


また、「魂が震えた新日ベストバウト!」第4回には、

有田哲平(くりぃむしちゅー)が登場。

有田さんが選んだベストバウト3は…

おーい、事件、スキャンダル、大失敗、勘違い系ばかりじゃないの!?


だけど、このセレクションは、そっち方面なら私の選出と

ほぼピッタリ一致するから有田さん、恐るべしなのだ(笑)。


燃えろ!新日本プロレスvol.24

『戦慄!凄惨!! マットを染めた大流血マッチ』

発行元=集英社

定価=1680円

本日(木曜日)発売!


それでは、隔週木曜日は大流血の…もとい!


燃えプロの日!!