2012年『G1クライマックス22』が始まった。

すでに3大会を終えているが、

自分の目で大会を取材した1日、3日の

後楽園ホール大会2連戦に関して書いてみたい。


1日=2020人(超満員札止め)、

3日=1950人(超満員)と2日間ともギッシリ。

聞くところによると、G1開幕前から最終戦(8・12両国)の

前売りチケットの売り上げは7000枚を超えたという。


いつものように…いや、いつにも増してホールは両日とも

試合開始前から完全に出来上がっていた。


両日とも公式戦のみで全8戦。

1日は選手の動きが少し固いかな、という印象も残ったが、

2戦目は全開という感じ。


3日の、メインイベント、セミファイナルの2試合は、

大袈裟ではなく今年のベストバウトに推薦したいほどの白熱戦となった。

それではあまりにも気の早い(笑)、後楽園ホール開幕2大会における

『G1』公式戦ベストマッチを勝手に発表!


①8・3後楽園ホール、Bブロック公式リーグ戦(30分1本勝負)

○後藤洋央紀(片エビ固め、13分31秒)中邑真輔●

※昇天・改


②8・3後楽園ホール、Bブロック公式リーグ戦(30分1本勝負)

○内藤哲也(片エビ固め、21分59秒)オカダ・カズチカ●

※スターダスト・プレス


③8・1後楽園ホール、Bブロック公式リーグ戦(30分1本勝負)

○内藤哲也(片エビ固め、13分39秒)中邑真輔●

※スターダスト・プレス


④8・3後楽園ホール、Aブロック公式リーグ戦(30分1本勝負)

○カール・アンダーソン(片エビ固め、12分22秒)鈴木みのる●

※ガンスタン


⑤8・1後楽園ホール、Bブロック公式リーグ戦(30分1本勝負)

○ルーシュ(体固め、8分2秒)後藤洋央紀●

※ルーシュ・ドライバー


①、②、③は、誰が見ても文句なしだろう。

特に、8・3ホールのメインイベントに組まれ、

逆転に次ぐ逆転で白熱の大接戦となった内藤vsオカダを

ベストマッチに推す人がダントツで多いと思う。


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「後楽園ホールの借りは後楽園ホールで返す」


3・4旗揚げ記念日でオカダのIWGP王座に挑戦して一敗地に塗れた内藤が

執念のリベンジに成功。

しかも、フィニッシュは空中での回転も着地(プレス)も

内村航平ばりに(笑)完璧なスターダスト・プレス。


まさに、後楽園ホールは熱狂空間と化し、

マスコミ間では「IWGP選手権みたい!」だとか、

「もう内藤が優勝したみたい!」という声が飛び交ったほど。


初日に昨年の優勝戦カードの相手である中邑を破り、

2試合目で因縁のライバル、オカダを伏した内藤。

さながら”内藤2デイズ”といった趣もあった。


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この内藤の表情もいい。

2連勝にも笑みはなく、その視線の先にはG1の頂しかない。


では、なぜ本来ベストマッチ№1となるべき内藤vsオカダを2位にしたのか?

ここで書きたいところなのだが、あえて書かない。

1カ所だけ、私の中でどうしても引っ掛かる攻防があった。


「これぞ、新時代プロレス!」として、完全に認めざるを得ないほどの

インパクトを受けながら、どうしても1カ所だけ引っ掛かる。

これは、内藤本人に考えてもらいたい。


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ヒントは、オカダのドロップキック…。

プロレス頭のいい内藤ならピンとくるのではないか?

偉そうに聞こえるかもしれないが、私から”哲ちゃん”への宿題である。


当日、セミに組まれた後藤vs中邑は先だっての7・22山形で

IWGPインターコンチネンタル選手権を賭けて対戦したばかり。

あれから中11日での再戦だから、新鮮味は薄い。


ところが、あの選手権の続きが見られた。

貪欲になった後藤、進化を忘れない中邑。

中身では、山形大会の選手権試合を上回ったように思う。


3位の中邑vs内藤も進化を見せつけた。

しかも、昨年の優勝決定戦のフィニッシュと同じ展開となりながら、

そこからさらに山場が待っていたのだ。


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内容で見せながら、結果の出ない中邑は3日の試合後、この通り。


「どこ行った? どこに行ったんだ、中邑真輔。

どこに行っちまったんだよ…」


自問自答する中邑。

左肩の状態も深刻のように映る。

ところが、翌4日の名古屋大会でランス・アーチャ―から待望の初白星。

ようやく表情にも笑みが戻った。


昨年のG1では、MVP戦に始まり、後藤、天山、井上戦と、

相手を存分に光らせて闘う試合ぶりを見せつけた中邑。

私は”中邑再生工場”と名付けたのだが、

今年の真輔はまた一味違う。


今年は、”中邑アート劇場”といった趣きか?


本日(5日)組まれている中邑vsオカダは、今リーグ戦屈指の注目カード。

アーティストvsレインメーカー、果たしてどんな試合となるのか?


4位のアンダーソンvs鈴木も昨年度の公式戦を彷彿させた。

ガンスタンvsスリーパーの取り合いがメインテーマ。

昨年は鈴木のスリーパーが勝っているが、

今年はガンスタンに軍配が上がった。


ガンスタン、スリパーからのゴッチ式パイルドライバー。

やはり、一撃必殺のフィニッシュはいい。

どれだけプロレスの攻防が進化しても

最後は必殺技による一撃で決まる。

プロレスの原点が脈々と生きていることが嬉しいではないか。


5位は、今年度G1のオープニングカード。

すでに出来上がっている会場で、

CMLLでのライバル関係が出来上がっている両者が対戦。


初戦は緊張するものだが、いきなりエンジン全開。

結末はサプライズ。

ルーシュ・ドライバー(ダブルアーム式ツ―ムストンパイルドライバー)で

後藤が大の字となり、ルーシュが歓喜の雄叫び。


後楽園ホールがいきなり大爆発した。

オープニングマッチの大役を果たした2人に拍手。


それにしても、とくに8・3後楽園ホールは素晴らしい興行だった。

本当に、取材する身でありながら、

「金を払っても見たい」「金を払わずに申しわけない」と

冗談ではなく思わせる大会。


いま現在の新日本プロレスは、

掛け値なしに素晴らしい試合を披露してくれる。


本日(5日)、私は新日本の大阪大会ではなく、

ZERO1の『火祭り・優勝戦』(後楽園ホール)に出向く。

サムライTVのニアライブ中継の解説が入っているからだ。

火祭りにも、G1以上の熱を期待している。


ところで、もう一つ賞があった。

私が勝手に決めた賞である(笑)。


ベスト・バンプ賞=丸藤正道(プロレスリングNOAH)


うーん、やはり丸藤はスゴイ。

その運動量が半端ではない。

いつも棚橋弘至の運動量に感心しているが、

体が小さい分、丸藤はよけいに動きまわる。


また、受身の上手さ、豪快さでは新日本勢の追随も許さない。

簡単に使いたくない表現なのだが、

つまるところ”天才”ぶりを随所に発揮している。


初日は、小島のラリアットをエプロンで食らい、

エプロンに激突しながら1回転して場外に落下した。

それでも多分、彼は彼流の受身をとっているのだと思う。


2戦目は、シェルトン・ベンジャミンと初対戦。

初日、棚橋がメインで対戦し大苦戦した相手。

正直、棚橋といえどもメインでベンジャミンと闘うことじたいが試練だった。


新日本マットでは初シングルとなるし、

日本流の試合にはまだ慣れていない。

その相手とメインで交わる以上、

棚橋はベンジャミンの魅力を充分に引き出さなければならない。


そういう闘い方をすれば、相手は大きいしパワフルだし、

レスリングの実力派だし、突拍子もない技を持っているので、

想像を絶するほどスタミナを消耗する。


案の定、棚橋といえども、ベンジャミンを相手に

なかなか試合のリズムを作りだすことができなかった。

それでも疲労困憊しながら彼の魅力を引き出して

最後は勝利で飾ってみせた。


それを見ているものだから、

休憩明けにベンジャミンとの公式戦を控えて待機している丸藤に、

思わずプレッシャーを掛けるようなことを言ってしまった。


「このベンジャミン戦で、丸藤選手が本当に天才かどうか問われますねえ。

棚橋弘至も随分と苦しんだわけだから。

逸材vs天才……どっちが上なのか大阪で対戦する前に分かるよね?」


我ながら、いやな奴だなあ(笑)。

だけど、言わずにはいられない。

もちろん、期待の裏返しでもあるのだ。


他のマスコミ数名も、

「うん、そうだよね!」

と話に乗ってきた。


丸藤はといえば、

「プレッシャー掛けますねえ、ホントに!」

と苦笑いを浮かべるばかり。


試合はベンジャミンの豪快な勝利に終わったものの、

やっぱり丸藤は見せてくれたし、彼は”天才”だと思った。


ベンジャミンの十八番であるノータッチでコ―ナに飛び乗ってから放つ

雪崩式スープレックスで対角線のコーナー付近まで投げられて受身をとった。

さらに、その反動で起き上がり対角線コーナーに背中から激突。


その直後、ベンジャミンのフィニッシュである

ペイダ―ト(ジャンピング・コンプリートショット)を食ってフォ―ル負け。


いやはや、もの凄い受身だった。

それに、試合全体にリズムらしきものも感じた。


無論、メインでベンジャミンと闘った棚橋は13分54秒も試合をしているし、

第5試合の丸藤のタイムのほうは、7分54秒。

奇しくも、ちょうど6分違う。


メインと第5試合では、興行への責任感も違ってくる。

だから、どちらがどうとは一概には言えないだろう。


ただ、勝手に焚きつけておいて

答えを示さないのはよろしくないだろう。

だから、この場を借りて丸藤に答えておきたい。


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やっぱり、アナタは覚悟が違うし、天才ですワ!