本日発売の『燃えろ!新日本プロレス』vol.21は、

IWGP創成期にとことんこだわったDVDマガジン。


『草創期の野望、世界最強はIWGPが決める!』のタイトル通り、

DVD収録5試合(ノ―カット収録、105分)はすべてIWGPに絡んだもの。


メニューは次の通り。


①革命戦士、大巨人にボディスラム!

長州力vsアンドレ・ザ・ジャイアント

(1984年6月1日、高松市民文化センター)


②超人との因縁ドラマに決着!

アントニオ猪木vsハルク・ホーガン

(1985年6月13日、愛知県体育館)


③闘魂、大巨人から初のギブアップ勝ち!

アントニオ猪木vsアンドレ・ザ・ジャイアント

(1986年6月17日、愛知県体育館)


④天才ふたりが極めた王者の頂!

アントニオ猪木vsディック・マードック

(1986年6月19日、両国国技館)


⑤最後のIWGPリーグ戦、世代闘争勃発!

アントニオ猪木vsマサ斎藤

(1987年6月12日、両国国技館)


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba

①の見どころは、長州がアンドレの巨体を完璧なボディスラムで投げ切るシーン。

日本人では猪木に次いで、アンドレを投げた2人目の男となる。

維新軍として飛ぶ鳥を落とす勢いだった長州と、

ホーガンの存在にジェラシ―を剥き出しにしていた大巨人。


そんな時代に実現した84年度・IWGPリーグ戦

最注目の公式リーグ戦だった。


②の猪木vsホーガンはIWGPをめぐる両者の最終決戦という趣き。

もともとIWGPは今でいうところの『G1クライマックス』同様のビッグイベント。

タイトルではなかったものの、第3回大会でアンドレを破り優勝した猪木に

ホーガンが挑戦という例外的な防衛戦として試合が行なわれた。


当時のホーガンはWWF王者で、いわばIWGP対WWFの王者対決。

結果は猪木のリングアウト勝ち。

同年秋に新日本ーWWFの業務提携が解消されたため、

猪木vsホーガン最後の大勝負といっていい。


ちなみに、ホーガンの再来日は、8年後の93年9月の横浜アリーナ。

カードは、ホーガン&グレート・ムタvsヘルレイザ―ズ(ホーク&パワー)

だから、隔世の感がある。


③第4回大会の公式戦で猪木がアンドレにアームロックを決め、

世界で初めて大巨人からギブアップ勝利を奪った記念すべき一戦。

週刊誌に女性スキャンダルを書かれた猪木はケジメの坊主頭を披露。


結局、このシリーズを最後にアンドレが新日本マットを離れることを

考えると、いろいろな意味で貴重でありケジメとなったメモリアルマッチだ。


④では、ディック・マードックが『燃えプロ』2度目の登場。

アンドレからギブアップ勝ちを奪い

Aブロックをダントツで勝ちぬいてきたのは猪木。


一方のBブロックは、藤波、前田、マードックの三すくみ状態。

ところが、6・12大阪城ホールで歴史的な死闘を展開した

藤波vs前田(両者KO)のダメージで藤波が途中リタイア。

決勝に進出したのは”伏兵”マードックだった。


伏兵とはいっても、本来”超実力派”であり、日本プロレス時代から

猪木のライバルと目されていたマードックは、やはり上手くて強かった。

なんと30分を超える白熱戦の末に猪木が優勝。


余談であるが、猪木同様に藤波とも手が合ったマードック。

以前、私がこんな質問を振ると、藤波は即答したことがある。


「もう一度、試合をしてみたいと思う選手は誰ですか?」


「もう亡くなった人でもいいなら…それはディック・マードックだね。

上手いし強いし、彼は最高のプロレスラーですよ!」


最高のプロレスラー、マードックの魅力を感じてほしい。


⑤の第5回大会ではIWGPのタイトル化が正式に決定。

もともとIWGP開催のコンセプトとして、

IWGP(インターナショナル・レスリング・グラン・プリ)を制した者は、

IWGチャンピオン(インターナショナル・レスリング・グランド・チャンピオン)

を名乗ると発表されていたものの、

IWGよりIWGPのほうがすっかり名称として定着してしまったので、

IWGヘビー級王者という当初の呼び名はいつの間にか消滅していた。


この年は、猪木とマサ斎藤による優勝戦。

猪木が初代王者となったものの、

歴史的シーンは試合後に訪れる。


長州の呼びかけに呼応した、藤波、前田、木村、マシンらがリングへ。

一方の猪木は、マサ斎藤、坂口、藤原をナウリーダー軍に引き入れる。

それにしても、長州のシャウトは名言だった。


「藤波、俺たちは自分たちの時代を作るために

3年間、叫んできたんだぞ!」


「前田、お前は噛みつかないのか!?

今しかないぞ、俺たちがやるのは!」


マイクを受け取った前田のアピールも歴史に残る!?


「ごちゃごちゃ言わんと、誰が一番強いか決めたらええんや!」


かくして、長州、藤波、前田、木村によるニューリーダー軍、

新旧世代闘争勃発も、4カ月でニューリーダーズは空中分解。

さらに、前田による長州顔面蹴撃事件へと発展していく。


IWGPを中心軸に、各々の思惑が入り乱れ、

カオス状態に突入した新日本を如実に示す事件だった。


なお、冊子のほうでは、私が『実録!新日本プロレス事件簿』第21回を寄稿。

”新日本復帰に隠れた長州の野望”と題して、

業界を騒然とさせた長州の新日本マット復帰事件を検証している。


また、新コーナーとして”レスラー&熱烈ファンがリコメンド”

『魂が震えた新日ベストバウト!』第1回も掲載。

ゲストは、奇しくもIWGP連続防衛&通算防衛数ともに

最多記録保持者である棚橋弘至。


棚橋が選出したベストバウト第1位は、

意外も意外のビックリ仰天!

ぜひ、読んでみてね。


燃えろ!新日本プロレス

『草創期の野望、世界最強はIWGPが決める!』

7月19日(木)、本日発売

発行元=集英社

価格=1680円


※追伸:コメント欄にある”ぴょんたろう”さんのご指摘通りです。

 ホーガンの8年ぶりの来日は、93年の5・3福岡ドーム、

 グレート・ムタ戦ですね!訂正させていただきます。