7・1両国大会(新日本&全日本創立40周年記念興行)は、

予想通り広い国技館がギッシリと埋まり、4時間半に及ぶ

超ロングラン興行となった。


両国で開催される新日本(&全日本)の大会では

今回のように放送席につかないほうが珍しいぐらいなので、

さまざまな場所から観戦してみた。


桝席最後方にあるボックス席、

西側の桝席下の通路、

東西の入場花道手前にそれぞれ置かれているモニターテレビ。


だけど、やはりリングサイド最前列に設置されていて、

モニターテレビも見ることができる放送席に勝る特等席は他にない。


改めてそれを強く感じたのだが、

唯一、放送席にいてはできないことがある。

試合直後の選手の表情を観察したりコメントを聞くこと。

それをリアルタイムで取材できることがメリットなのだ。


だから、この4時間半、自由に動き回っていた。

ただ、さすがにここまで長いと疲れてしまう。

放送席につくときは試合だけに集中しているから、

疲れは大会終了後にドッと出てくるもの。


しかし、自由に動き回っての4時間半は、

けっこうキツイものがあった。

もっと率直に言うなら、

この1年で”オールスター戦”に慣れてしまったこともあるのかもしれない。


無論、昨年3月の東日本大震災を受けての『ALL TOGETHER』

2大会(昨年の8・27日本武道館&今年の2・19仙台サンプラザホール)は、

プロレスが今できることを世に示した素晴らしいチャリティー興行だったし、

必然の開催だったと思う。


今回の新日本&全日本40周年合同興行も、

今年やらなければ、それこそ10年後の

50周年という数字しか節目が見えてこない。


それでも、ここ1年で3回もオールスター戦を見てしまうと、

余計な老婆心が出てきてしまう。

ファンまで刺激に慣れてしまったら、

団体独自の興行が苦しくなるのではないか?


団体の垣根がどんどん崩れていくと、

かつての女子プロレス界のような事態に陥るのではないか?

隆盛を誇った女子プロが一時、一気に衰退していった原因は、

団体が交わりすぎたことにある。

誰がどこの所属選手なのか判別できなくなるほどに、

選手がさまざまなリングに上がっていく。


なんでも実現する、どんなカードでも組まれてしまう。

こうなると、歯止めが利かなくなってしまうのだ。


だから、これで潮時というか、ちょうどいい締めだなとも思う。

理想は、各団体独自のビッグマッチで両国国技館を満員にできること。

本来オールスター戦の舞台は、

新日本の1・4東京ドームだけでいいのではないか?


木谷会長が理想の興行として、1990年に開催された2・10東京ドーム大会、

『90スーパーファイトin闘強導夢』を挙げたのもそういう意図からだろう。


当時の坂口社長の協力要請に、馬場社長が応じて、

全日本の主力どころをドームへ派遣した。


そのとき実現したカードは、凄まじいラインナップ。

新日本vs全日本の対抗戦は3試合。


長州&G高野vs天龍&タイガーマスク(三沢)

木村&木戸vs鶴田&谷津

B・ベイダ―vsS・ハンセン(IWGPヘビー級選手権)


メインは、「時は来た!」と「出る前に負けることを考えるやつがどこにいる!」

でお馴染みの猪木&坂口vs橋本&蝶野の世代闘争マッチ。


さらに、よくも悪くも超インパクトを放ったのは、北尾光司(元横綱・双羽黒)の

プロレスデビュー戦(相手は、クラッシャー・バンバン・ビガロ)。


また、裏ベストバウトとも評されたマサ斎藤vsラリー・ズビスコの

AWA世界ヘビー級選手権(マサさんが王座奪取!)も開催された。


新日本ー全日本のベルリンの壁がこじ開けられたのは、じつに10年半ぶり。

しかも、このラインナップだから、あの広すぎるドームでも満員になるわけだ。

私個人も、このドーム大会のラインナップとインパクトは、

1995年の10・9『新日本vsUインター全面戦争』と双璧だと思っている。


さあ、また話があらぬ方向へと流れていった(苦笑)。

7・1両国大会へ戻ろう。


全10試合。

やはりインパクトを感じたのは対抗戦であり、

好勝負が生まれたのは鉄板カードだった。


第4試合の6人タッグでは、因縁の永田vs船木が半年ぶりに実現。

船木がバチバチに蹴っていくのを、あえて受けとめているように見えた永田。


これは怖い。

船木の蹴りが急所に入れば、1発KO必至となるからだ。

しかし、やはり掴まえたら永田という感じで、

一瞬のフロント・スープレックス、バックドロップで船木を放り投げる。


このあたりの攻防は、かつての新日本vsUインターを彷彿させる。

さすがにレスリング・グレコローマンの元全日本王者。


ただし、この顔合わせでもっともグッときたのは、

技ではなく表情だった。

船木は永田に対したときだけ、以前から表情が浮き上がっていた。

この日は、過去最高の感情が爆発したのか、

憎悪剥き出しの顔。


永田も睨みかえす。

顔芸合戦(!?)でも一歩も退かず。

まったく違う道程を歩んできたうえに、

恐らく接点がないまま終わるだろうと思われた両雄が、

これほど憎しみ合って対峙することになるとは…。

これもまた2人の運命なのだろうか?


それとも2人に対して、腐れ縁のトライアングルを形成している男、

鈴木みのるの存在が2人をひき合わせてしまったのか?

偶然か必然か…

7・29後楽園ホールでのシングル決着戦を考えると背筋がゾクッとする。

   
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第5試合のアジアタッグ選手権(関本&岡林vs曙&浜)は、

全日本vs大日本の鉄板カード。

ド迫力の超肉体派マッチを繰り広げた。


ただし、この顔合わせには新日本勢が誰も絡んでいない。

そのせいか、やたらとトイレに向かう人が多かった。

本当に、もったいないなあと思う。


結局、この光景はラスト2試合のタイトルマッチにも

若干影響が出ていたように感じる。


写真は、涙ぐむ浜の横で、

会心の笑みを見せる曙。


「関本、岡林から獲ったことが嬉しい。

浜ちゃんがフォ―ルを取ったことが嬉しい」


横綱のこんな粋な言葉を聞けば、涙も出てこようというものだ。


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第6試合のタッグマッチでは、待望の内藤vs真田が実現。

過去、二度の『ALL TOGEHER』でタッグを組んだ両者は、

ともに相手のことを意識しまくりで対戦を希望。


今回それが実現した。

両者が触れ合ったのはほんの触り程度だったが、

今後を期待させるに十分な絡み。

スピード、タイミングがピタッと合うのだ。


そういえば、内藤ひとりが合格した新日本の公開入門テストに、

まだ未成年だった真田の姿があった。

あのときから闘う運命にあったのか、

その後、両者が歩んできた道はよく似ている。


昨年、真田がチャンピオン・カーニバル準優勝という結果を残せば、

内藤もG1クライマックスで準優勝。

だが、それ以降は結果を出すことができずに苦闘した。


また、互いに成長してから対戦するシーンを見てみたい。

タッグを組むのもありだろう。

遺恨・因縁があるわけでもないし、

これは団体の枠を超えて自然に出来上がったライバル関係。


第7試合は、今大会屈指の好カード。

ファン、マスコミがもっとも期待する裏メインといっていいタッグマッチだった。

中邑&オカダvs諏訪魔&近藤。


やはり最注目は、他団体と絡むレインメーカーの存在だ。

パッと見て、試合をリードするのは中邑と近藤だろう。

そこで諏訪魔がどう仕掛けるか?

オカダは自分を表現できるか?

そんなテーマが浮かんでくる。


試合はその通りになった。

ただし、予想もしない展開でそうなった。


イス、机をオカダに叩きつけ暴れまわる諏訪魔。

やられっ放しに見えて、表情であるとか仕草であるとか、

そういうちょっとしたアクションで対抗してみせるオカダ。


中邑のおちょっくったようなクネリに観客が沸き、

近藤のパワー&テクに唸る。

最後はレインメーカーで、

闘龍門時代の先輩・近藤を豪快に破ったオカダ。


勝ち誇りレインメーカー・ポーズ。

そこへ突っかかる諏訪魔。

息もつかせぬおもしろさ。


この試合では、4選手の誰も落ちてはいない。

それぞれに持ち味を発揮した。

敗れた近藤にしても、細かいところで我々マスコミが

感心するような抜群の上手さを披露している。


諏訪魔はよくも悪くもKYな大暴れがよかった。

そういうところまで尊敬するジャンボ鶴田によく似てきた。

永遠の未完のエースという空気がいいのだ。

それはすなわち彼のポテンシャルがまだまだ底知れない証拠。


対するオカダはまたやってのけた。

終わってみれば、レインメーカーの勝利。

あれだけ攻撃を食らっても涼しい顔。

メッキが剥げるどころか、本物度は増す一方である。


「してやったり!」


この3人の表情をみればわかるだろう。

それにしても、中邑が諏訪魔のことを

「ゴリライモ」と呼んだのには、つい噴き出してしまった。


ゴリライモって、昔の人気アニメ『ど根性ガエル』に出てくる

いじめっ子キャラである。

確かに言われてみれば(笑)…諏訪魔、すまん!


パートナーを代えることなく、もう一度

同一カードを見てみたい!

そんな気にさせてくれるサプライズとインパクトに溢れていた。


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トリプルメインイベントⅠの6人タッグマッチ

(武藤&天山&小島vs矢野&飯塚&石井)では、

おそらく誰も注目していないであろう男ばかりを私は見ていた。


石井智宏である。

見事なやられっぷり、玉砕だった。

しかも、小島のウエスタン・ラリアット、天山のダイビング・ヘッドバット、

武藤のムーンサルトプレスと必殺フルコースを食らっての完敗。


12年前、天龍の付人として新日本の巡業に同行していた石井。

試合前の新日本の合同練習に参加して、

カシン、高岩らと一緒に自主練習もした。

カシンのスパーリング相手を務めたこともある。


ただし、試合は一度も組んでもらえなかった。

のちに天龍のもとを去って、石井はフリ―になった。

そして、長州力と運命的な出会い。


WJプロレスは悪夢と言われる。

思い出したくもない選手はいっぱい、いるだろう。

長州、佐々木健介、大森隆男、KENSOと、

みんなが消去してしまいたい過去なのかもしれない。


そのWJを経験して成功者となった唯一の男が石井。

長州のもとで、努力して資質が開花した。

いまやCHAOSに欠かせない貴重な戦力。


矢野&飯塚と組んでも、中邑&オカダと組んでも、

石井が見事に試合を作っていくのだ。

そういえば、スーパースター武藤とは初遭遇。


そんなことも石井は意に介さない。

相手が武藤だろうと、師匠の長州、天龍だろうと、

自分の試合をして向かっていくだけなのだ。


さて、ラスト2。

三冠ヘビー級選手権(秋山準vs太陽ケア)と

IWGPヘビー級選手権(棚橋弘至vs真壁刀義)。


結論から言うと、合同興行ではなく、

それぞれの団体のビッグマッチのメインで披露してほしかった。

新日本ファンからすると、三冠ヘビーは退屈に映ったかもしれないし、

IWGP選手権もいつもの空気ではなかったからだ。


秋山vsケアはじつにいい内容だった。

この2人は噛み合うし、ともに万能タイプ。

打撃も的確で重いし、グラウンドの攻防も洗練されている。


新日本ファンにしても、秋山という存在は多くが認めるところだろうが、

ケアへの評価はイマイチ低いのかもしれない。

しかし、ケアは素晴らしい選手。


試合内容の充実度にかけては、

おそらく全日本マット№1ではないだろうか?

ただ、どうしても地味なイメージで損をしている。


試合もよかったが、秋山のコメントが最高だった。


「(馬場さんを意識したか?)もちろん。ボクらは馬場さんと三沢光晴…

それを意識して。ボクは三沢光晴が創ったノアの秋山準ですから。

その代表で来ました。三沢光晴が創ったノアの秋山準で来ました」


「(超満員でしたが?)いや、それはもう新日本さまさまだよ。

新日本に追いつけ。

追い越せないかもしれないけど、追いつくように頑張るよ。

もう完全に差はつけられてるから。

でも、オレ追いかけるのは得意なんだよ。

逃げるのは弱いけど、追いかけるのは得意だから頑張るわ」


キャリア20年の男が、強がりを言うわけでもない。

ただただ素直に、真っ直ぐな思いを連ねる。

いま1戦1戦、プロレスを大切にして闘っている秋山。

そのハートはコスチュームと同じで真っ白に感じられる。


ファイナルマッチでは、

ベビー=真壁、ヒール=棚橋という図式が出来上がった。

ただし、いつもの新日本のIWGP選手権のメインとは空気が違う。

棚橋へのブーイングは新日本の会場でも飛んだろうが、

それは絶対的な信頼度も含んだ上でのブーイング。


だが、ファンが入り混じった状況では、ちょっと空気が違う。

真壁の猛攻に両国が爆発する。

しかし、棚橋は横っ飛びのハイフライフロー2連発で決着。


ところで、この2試合に関して、PWF会長としてリングサイドで観戦していた

馳浩衆議院議員(以下、馳先生)のブログが話題になっている。


超満員。

プロレス熱再燃か。

それもこれも新日本プロレスが業界のリーダーとして、

若いスター選手を輩出し続けているから。

感謝。

でも、ダブルメインは試合内容が明暗を分けた。


その後、三冠戦を絶賛し、IWGP戦をボロクソに書いている。


秋山対太陽ケアの三冠戦は、これぞプロレス、の醍醐味。 

腰の入った重々しい打撃戦もいいし、試合展開もスリリング。

とくに、ケアのチョップはいい。

世界の現役プロレスラー、ナンバーワン。

説得力のある技の応酬。

秋山のフィニッシュは納得のエンディング。

大満足。

ただ、二人とも、もうちょっとおなかの肉を絞れよ、くらい


これは、私も同感。

腹まわりは、そんなに気にならなかったけれど(苦笑)。


それに比べて、棚橋対真壁のIWGP戦は、薄味。

ストンピングは軽いし、無理やり作る表情は痛々しいし、ちょっと、客受け狙いすぎ。

試合こそまぁまぁ成立しているけれど。

ストーリー性がない。

対戦する二人が背負っている人生の怒りも、悲しみも、苦しみも、喜びの爆発も、無い。
観客の思い入れをすかした試合。
確かにワーワーキャーキャーしているけれど、この試合を音声なしで見たら、どうなることやら。
誰だ、この棚橋と真壁にプロレス教えたのは?と、そう思う。
もうちょっと、プロレスの深みにどっぷりと嵌ってほしい。
もうちょっと、基本技を習得してほしい。
そして、プロレスのタクティクスやアングルやサイコロジーを理解してほしい。
「技を出しゃあ、いい」ってもんじゃないのに。
そう思った。


最初に、新日本が業界のリーダーとして、

若いスター選手を輩出し続けているから。

こうプロレス界の現況を把握し、分析している馳先生。


それなのに、その若い世代のトップとして、

紛れもなく業界のエースとして最前線をつっ走ってきた棚橋に、

「基本技を習得してほしい。

プロレスのタクティクスやアングルやサイコロジーを理解してほしい。

技を出しゃあ、いいってもんじゃない」

と提言しているわけだ。


これって、まるでキャリア2~3年の若手選手への苦言である。

「誰だ、この棚橋と真壁にプロレスを教えたのは?」に至っては、

新弟子扱い。


いや、プロレスは教わるものじゃなくて、

自分でスタイルを作っていくものだと思うのだが…。


ストンピングは軽い――軽いのか、軽く見えるのか?


無理やり作る表情は痛々しいし――いや、実際に痛いのではないか?


ストーリー性がない。人生の怒り、悲しみもない――ストーリーは出来上がっている。

棚橋にとってデビュー戦の相手が真壁。

すべてに先を越された真壁が1年8ヵ月ぶりのIWGP戦に挑む。

真壁の怒りの思い、それを断ち切るため攻め続けてヒールになる王者。


基本的に両者ともベビーだからそこは難しい。

だから、2人のなかで一致したものは、生き様の勝負。

三冠戦は外敵王者から、元同門のケアがベルトを奪還する闘い。

一目瞭然のストーリーがある。


客受け狙いすぎ――ボックス席から見ていても、その表情は伝わってきた。

馳先生には「痛々しい」と映ったのかもしれないが、

両選手は両国という大きな器を意識して、

3階席まで届くプロレスを頭に描いていたのではないだろうか?


両国でのタイトルマッチは9ヵ月ぶり。

しかも、そこは新日本ファンだけで埋まった世界ではない。

棚橋も真壁も意識過剰すぎたのかもしれないが、

おそらくいつもとは違って相手の裏をかく戦術に出たり、

大きな技を意識的に出していたように思う。


そのへんを馳先生は、見てくれなかったようだ。

さて、新日本の客入りのよさ、新世代の台頭に関して、

馳先生は見聞きした知識だけを頭にインプットしているのかもしれない。


実際に、テレビ放送などで最近の新日本の試合を観戦しているのだろうか?

そこもよく分からない。


まあ、同い年の馳先生だから、これ以上文句は言いたくないが、

アナタにも自ら音頭をとっておきながら、

途中で投げ出した大切な事があるでしょう?


上から目線ではなく、現役の選手が身体を張って闘っている様子を

もっと広い視野で見てほしい。

プロレスOBとして、もっと愛情のある

提言の仕方もあるのではないだろうか?


まあ、そんなところか(苦笑)。

メイン終了後、武藤が橋本大地を呼びいれ、

2人を1・4ドームにブッキングしてほしい、

と木谷会長へ申し入れる。


エンディングは、スタン・ハンセンが音頭をとって、

ロングホーンを突き上げ、「ウィ―!!」の雄叫びで締めた。


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あ、坂口相談役も「ウィ―!」をやってる。

これは事件だな(笑)。


長い長い闘い…4時間半の興行が終了。

満腹だった。

その後、私は両国駅近くのちゃんこ屋さんに向かった。


いつもなら、テレビ朝日『ワールドプロレスリング』班の打ち上げ&反省会の場所。

本日は、違う。

そう、古澤琢アナウンサーの送別会である。


普段の2倍近い大人数が集まった。

出張帰りの大西アナもその足で駆けつけた。

古澤アナへのプレゼントは、

スタッフみんながマジックでメッセージを書き入れた

新日本の赤いジャージ。


1人1人が古澤アナへ言葉を贈る。

琢さんをアニキと慕う野上アナが泣いた。


「ば~か!

お前が泣いたら、オレが泣けないじゃないか!?」


そう言って、場をなごまそうとする古澤アナ。

相変わらずの優しい気配り。


戦友の吉野アナがこう言った。


「6期も下の生意気なこの後輩を立ててくれて。

自分にはそれはできません。

琢さんは、後輩たちを親切に指導して引っ張ってきた。

でも、ボクの性格ではそれができない。

後輩たちは潰していきますから。

だけど、今日、あの大歓声のノイズの中で、

実況できるアナウンサーはプロレス実況で鍛えられたアナウンサーしかいないと。

その中でも最後まで実況、声が持つのは古澤琢さんと自分しかいない、

そう確信を持っています!」


吉野真治、最年長のリーダーとして覚悟の弁だろう。


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                                 Ⓒ大川 昇


ファンの大歓声で声がまったく通らないというメインイベント。

古澤琢、最後まで魂の実況!

さあ、人生、次のステージへ。


琢さん、ありがとう。

また、プロレス会場でお会いしましょう!