今月後半は、公私ともにいろいろなことがありすぎて

本当に忙しかった。


そのせいか、久々に持病の腰痛が疼き出し、

靴下を履くのに腰を少し曲げただけで「アタタッ!」となってしまう。


それでも、27日に麹町の鍼灸治療院でみっちり治療をしてもらい、

なんとか生活に支障が出ないほどには復調してきた。


さて、翌28日はオフ。

実はかなり前から、ZERO1のオッキー(沖田佳也リングアナウンサー)に

こんな話を聞かされていた。


「今度、朝霞でチャリティー大会を開催するので、

金沢さんもぜひ観に来てください!」


いつやるのかなあ、と一応気にはしていた。

そうしたら、24日(火)の後楽園ホール大会で改めて言われた。


「今週土曜日に朝霞駅の駅前広場でやりますので。

あの本田美奈子さんのモニュメント像のある広場です。

時間があったら、ぜひ遊びにきてくださいね」


厳密に言うと、住所は朝霞市なのだが、私の近場の駅は朝霞台。

とはいえ、隣の駅だから、自宅を出てから15分もあればそこに着く。

入場無料のチャリティープロレス大会。


その話を軽く自宅でしてみたところ、

嫁さんが「行きたい!おもしろそう」と行く気満々。

というわけで、当日、選手&スタッフに差し入れを用意して、

現地へ向かった。


午後2時前に駅前広場に行くと、もう黒山の人だかり。

その中央にリングが設置され、”ちびっ子プロレス教室”が開校されていた。

講師はもちろん大谷晋二郎先生で、助手が橋本大地、進行役がオッキー。


さすが、お天気の神様と親しい大谷だけに、天気は快晴。

半袖Tシャツじゃないと汗ばむような温かさだった。


ZERO1のこういった活動は、チャリティープロレスなので、

あまり媒体に取り上げられることがない。


2年ほど前、小学校を訪問して校庭プロレスを開催し

大谷が小学生の自宅にホームステイする『リアル田舎に泊まろう』が

そのままテレ朝の人気番組『アメトーーク』でオンエアされ、

大きな反響と感動を呼んだことがある。


これは、テレビ用の企画ではなく、普段の大谷と

ZERO1が実践している福祉活動(イジメ撲滅運動)をそのままカメラに収めただけ。

そこがイチバンのポイントなのである。


あの札幌駅前でのチャリティー大会も大きな反響を呼んだ。

18歳でデビューした大地にしても、

こういった大会に参加することによって随分と考え方が変わった。


それまで、自分の父が歩んできたような日の当たる道程……

両国国技館、日本武道館、全国各地の大会場で試合を行なうことが

プロレスラーのステイタスだと思ってきた。

なぜ、ギャラの出ない試合をチャリティーで行なうのか理解できなかった。


だが、実際に小学生の子どもたちと同じ視線に立ってものを見たとき、

サイン会で、まだ半人前の自分の前に長蛇の列ができる光景をみたときに、

プロレスラーの使命感に駆られた。


最初はプロレスを斜めから見ていた親御さんたちが、

自分の子供が大声で選手を応援し、涙を流して拍手する姿に驚き愕然とする。

それが、感謝の言葉となって返ってくる。


「ウチの子が、こんなに感情を出したのを初めて見ました。

いいものを見せていただいて、ありがとうございます!」


大谷と一緒に、その光景を体感してきた大地。


だから大谷の言う

「両国でも後楽園でも、地方の駅前でもパチンコ屋さんの駐車場でも、

俺たちが見せるプロレスは同じ一所懸命のプロレスだ!」

というセリフの意味が分かってきたのだ。


昨年、ZERO1は130試合を行なったうち、

70試合がこのチャリティープロレス大会。

正式名称は一般社団法人『あなたのレスラーズ』。


サブタイトルには

『ちびっ子のイジメ撲滅・元気ハツラツ~本当に強い人はイジメなんかしないし、

何度でも立ち上がる』

と大谷らしい熱いメッセージが付く。


今回は、パチンコ玉三郎朝霞店が協力してくれた。

朝霞駅前商店街&朝霞市商工会主催ということで、

朝霞市長もやってきた。


子どもたちに、プロレスの基本運動であるスクワットなどを指導したあと、

実際にプロレス技を披露してみせる大谷。

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ボディスラムで投げられたのは大地。

その衝撃に、子どもたちもビックリ。

最後に、大谷から子どもたちに約束してほしい3つの言葉が送られる。


「一つ目は、お父さん、お母さんの言うことを聞いてください。

おじいちゃん、おばあちゃんも同じです。

みんな、お父さん、お母さんが好きかな?」


ハ―イ!と手をあげ、大声で応える子どもたち。


「二つ目は、先生の言うことを聞いてください。

先生はみんなのこといつも考えてくれています」


「三つ目はプロレスごっこは絶対にしないこと。

友達に怪我をさせてしまうことがあります。

それに、イジメをしたり、人の悪口を言ったりするのも

よくないことです!

分かりましたかー?」


一応、「ハ―イ!」と応える子どもたちだが、

どちらかというと、配られたジュースのほうに夢中になっている感も…(笑)。

それがまた微笑ましい。


それから、プレゼント抽選会を挟んで、

いよいよ試合がスタート。

全3試合。


第1試合では、朝霞市出身の現役国立女子高校生の

”夕陽”が地元凱旋マッチを行なう。

試合に先駆けて師匠の日高郁人と並んでリング上から挨拶。

それまで、おにぎり弁当を食べながら見物していた私が、

デジカメを持ってリングサイド付近まで近づいていくと、

私に気付いた日高がビックリした表情をしたあと、笑顔を見せた。


ところで、夕陽は4日前の後楽園ホール大会で、

プロデビューしたばかり。

相手は、ゆずポンこと愛川ゆず季だった。

キャリア1年半とはいえ、昨年度の『女子プロ大賞』受賞者のゆずポン。


一方、日高にレスリングのコーチを受けて、

打撃面は日高の師匠である元ムエタイ王者、小林聡さんに師事する夕陽。

ゆずポンキックvs野良犬ハイキック。


本当にスリリングな勝負となり、

私個人の感想でいくと、他の試合を食ってしまった。


デビュー戦に臨む夕陽の緊張感と

デビュー戦の相手を務めるゆずポンの緊張感がぶつかり合って、

細かい技のミスなど帳消しにするような緊迫感を生みだしたのだ。


もちろん、結果はゆずポンのキャリア勝ちに終わっている。

デビュー2戦目の相手は体格でもキャリアでも勝る松本浩代。

両選手の入場から始まり、選手コ―ル、さらに試合実況と

オッキーが一見さんにも分かりやすくマイクで伝えていく。


ああ、なるほど、こうやってプロレスを知らない人たちにも

親切に基本ルールなどからレクチャーしていくわけか……。


そう思っていると、突然にきた。


「確か、新日本プロレス中継の解説などでお馴染みの

金沢さんの姿も見えたんですが…おいでですか?」


おいおい、そう来るのかい?

ムチャぶりってやつだけど、

こちらも名前を出された以上はプロだぜー(笑)。


リングを挟んで反対側のベンチから立ち上がり手を振ると、

オッキーがお辞儀をしてから手招きする。

まあ、アイコンタクトで理解した。


本部席まで行ってマイクを受け取り、

そこから実況=オッキー、解説=GKで場内(屋外?)放送のスタート。


第2試合=ライディーン&横山佳和vsニック・プリモ&藤田峰雄

第3試合=佐藤耕平&日高郁人vs大谷晋二郎&橋本大地(好カードだ!)


3試合の解説をすべてやらせてもらった。

特に、メインはリング上と観客が一体となる。

当然のように大地が集中打を浴びる中、

オッキーが「みなさん、大地を応援してやってください!」と煽る。


1人の子どもがリングサイドのエプロンまで行って、

セコンド陣の真似をしてマットを叩くと、

ドッと子どもたちが群がって、マットを叩き始める。


「ダイチ!ダイチ!」


子どもたちの大コールで朝霞駅前が一体となる。

いつの間にか通りの向こう側の歩道にも足を止めた観衆ができあがり、

そこからも「ダイチコール」が沸き起こる。


いやあ、楽しい。

試合は、耕平の二段式ジャーマンスープレックスに大地が沈んだものの、

たしかに後楽園ホールでの試合と変わらぬテンション、熱気に包まれていた。


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試合後はノーサイド。

子どもたちをリングに招き入れて、

「3、2、1、ゼロワ―ン!」でエンディング。


その後は、握手会、サイン会と、

観客が途絶えるまでファンサービスが続いた。


なぜか、ウチの嫁サンも売店でZERO1Tシャツを購入し、

大谷のサイン会の列に並んでいる。

大谷とは今後の取材の打ち合わせもあったので、

他の選手と会話しながら大谷の手が空くのを待っていた。


大勢のファンに囲まれていた大地に声を掛けると、

「出番を待っていたら、解説の声が聞こえてきたからビックリしましたよ。

聞き覚えのある声で、リングに上がったら本当に金沢さんだ!って」

と言って笑顔。


うん、選手をビックリさせたなら、私も本望だ。

大谷を待っている間に多くのファンの方から声をかけてもらった。

入場無料ということもあり、都内から観戦に来ているマニアもかなりいるようだ。


「まさか金沢さんの生解説を聞けるとは思いませんでしたよ!

最高のボーナストラックでした。

わざわざ朝霞までお仕事ご苦労さまです」


うーん、仕事でもないし、

わざわざではなく隣の駅から来ただけなのだけれど、

まあ、いいか(笑)。


実際に、仕事とはまた違う気分を味わえた。

私も大谷が推進する『あなたのレスラーズ』に

一日だけ仲間入りさせてもらったわけだ。


今回、声をかけてくれたオッキーには感謝している。

解説のムチャぶりも楽しかった。


あ、そう言えば、朝霞市民で隣駅を拠点としていながら、

朝霞が生んだ”歌姫”であり、

ミュージカル女優の本田美奈子さん(2005年11月6日/満38歳没)の

記念モニュメントがあることを今まで知らなかった。


今回、イベントを開催した広場の正式名称は、

本田美奈子記念モニュメント広場という。

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ご覧のとおり、素敵なモニュメント(記念碑)だった。