本日(3月29日)発売となるDVDマガジン

『燃えろ!新日本プロレス』vol.13には、

いよいよ革命戦士・長州力が本格登場。


1983年6月17日、アニマル浜口と2人だけの反乱

(新日本プロレスに辞表提出)を起こした長州が、

7月シリーズからフリ―となり維新軍としてスタートを切る。


そこへ、新たに革命軍時代の同志だったキラー・カーン、

国際軍団の寺西勇、凱旋した谷津嘉章、兄貴分のマサ斎藤が合流。

新日本マットに維新の嵐が吹き荒れ、長州力は一躍時代の寵児として、

80年代最大のス―パスターへの道を歩み始めるーー。


『長州力まかり通る! 維新軍の夜明け』のタイトルに相応しく、

のちにジャイアント馬場、アントニオ猪木の

BI砲まで脅かす存在に成り上がる長州。


その船出ともいうべき闘いのメニュー、

全試合ノ―カット収録(107分)DVDの

ラインナップは次の通り。


・革命戦士と格闘王、最初で最後の一騎打ち!!

長州力vs前田明

(1983年11月3日、蔵前国技館)


・気合溢れる闘将が世界の荒鷲とビンタ合戦!!

坂口征二vsアニマル浜口

(1983年11月3日、蔵前国技館)


・ハイスパートな攻防に、元日のホールが沸く!!

藤波辰巳&前田明vs長州力&谷津嘉章

(1984年1月1日、後楽園ホール)


・維新”師弟”コンビのツープラトンが炸裂!!

アントニオ猪木&藤波辰巳vs長州力&谷津嘉章

(1984年5月24日、大阪府立体育会館)


・闘魂超えが見えた!離脱前のラストマッチ

アントニオ猪木vs長州力

(1984年8月2日、蔵前国技館)


                    金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


長州vs前田は、初の一騎打ちにして、これが最後の一騎打ちとなった。

当日の目玉は、新日本正規軍vs維新軍による4対4の綱引きマッチ。

リングを挟んだ8選手が絡み合いシートで隠された太いロープを引っ張り合い、

対戦相手を決める形式。


その結果、前田vs長州、坂口vs浜口、藤波vsカーン、猪木vs谷津

というカードが決定した。


まさに運命の糸ならぬ運命のロープで手繰り寄せられた両雄。

これが最初で最後のシングルマッチになるとは、

本人たちも、周囲の人間も誰も予想しえなかったことだろう。


「長州さんは道場でもウォームアップなしで、ベンチプレスでも

140kgとか150kgを簡単に挙げてしまうんだよね。

全力じゃなく、120kgでも180kgでも同じ顔で余裕たっぷりに。

力が強くて、あれは底なしじゃないかな。

あの試合でも、腰が重くて、ガチっと組まれたら何もできなかったよ」


これが後に振りかえったときの前田による長州評。

その言葉通り、キャリアでも4年上回る長州は、

どっしりと構え、余裕のサバキを見せる。


バックドロップ1発で流れを変えると、サソリ固めへ。

前田が意地でもタップしないとみるや、

自らサソリを解き、ロープに飛ばすと凄まじいリキ・ラリアット。


この一撃で前田の体が宙に浮き、痛めている首から落下。

そこで再びサソリ固めへ。

前田はギブアップしようとしないが、

先頭不能と判断したレフェリーがストップをかけた。


12分57秒、長州の圧勝。

前田による”長州顔面蹴撃事件”が起こったのは、

それから4年後のこと。


もう一度、両雄の一騎打ちが見たかった。

いや、一度だけだからこそ価値ある映像なのかもしれない。


国際はぐれ軍団のときは、大ブーイングに晒されてきた浜口が、

長州と合体した途端、観客の大声援を浴びるようになる。

それが如実に現れたのが、この坂口戦。


あまりに体格が違いすぎるし、通常の感覚でいけば浜口に勝ち目は薄い。

それでも、196㎝の巨体に真っ向勝負を挑む浜口。

いつの間にか館内に”浜口コール”が沸き起こった。


「今日はずいぶん盛り上がっているし、

オレにも声援が来るなあと思っていたら、

サカグチじゃなくて、ハマグチだったんだよ」


試合後、坂口が苦笑するほどの大声援。

結果は場外フェンスアウトの反則勝ちながら、

浜口が予想を覆す金星を奪取している。


新日本を離脱した前田が、4月に旧UWFの旗揚げに参加したことを考えると、

実に感慨深く、奇跡的な顔合わせのタッグマッチかもしれない。

維新軍の合体プレーは、長州&マサ斎藤、長州&浜口が生み出したものだが、

それを受け継いだのが谷津嘉章。


維新軍入りで、谷津の素質が開花したと言っていいだろう。

とにかくハイスパートで動きまわり、抜群のタッチワークと

合体攻撃、連携攻撃を駆使する維新コンビ。


一方、オーソドックスにテクニックで対抗する藤波&前田。

ハイジャック・パイルドライバー、ハイジャック・バックドロップ…

以心伝心の維新プレーが見どころだろう!


『84IWGP』のシリーズ中に組まれた

正規軍師弟コンビvs維新師弟コンビのタッグ対決。

長州にとって、リング上の盟友が浜口なら、

人生観が変わるほど影響を受けた師匠がマサ斎藤。


「よく働き、よく遊べ!」


その生き方を実践している斎藤から学んだものは、

良くも悪くも多大なものがある。

とにかく総帥とのタッグに張り切る長州が大暴れ。

最後はレフェリーにまでリキ・ラリアットを叩きこんで反則負け。


大の字の猪木&藤波に対し、勝ち誇る維新軍。

その3週間後、蔵前のIWGP決勝戦(猪木vsホーガン)に

長州が乱入し、猪木がリングアウト勝ち。

この不可解な行動、結末は暴動にまで発展している。


84年に入って、猪木に二度シングルマッチを挑んで2連敗。

三度目の正直を賭け、長州はある決意を胸に猪木戦に臨んだ。

猪木は猪木で、前田、藤原、高田、ザ・タイガー(佐山聡)と

陣容が揃ってきたUWFを強烈に意識していた感がある。


「最近、若い連中がストロングスタイルを盛んに口にしているけど、

本当のストロングスタイルがどういうものか、分かっていないようだ。

真のストロングスタイルというものを今日、見せてやりたい」


そんなセリフが戦前に飛び出した。

前半をそれを意識したようなグラウンド・レスリングの攻防。


中盤から長州がリキ・ラリアットからサソリ固めと怒濤の攻勢へ。

それに耐え抜いた猪木は、日本プロレス時代の得意技である

アントニオ・ドライバー(フロントネックチャンスリー・ドロップ)、

久々のジャーマン・スープレックスまで繰り出す。


試合は長期戦となり、最後はリキ・ラリアットを交わした猪木が、

グランド・コブラに長州を捉え、フォ―ル勝ち(29分39秒)。


それから1カ月半後の9月21日、

長州は維新軍のメンバーとともに新日本を離脱。

ジャパンプロレスへ電撃移籍して、

11月1日、全日本プロレスの後楽園ホール大会に姿を現した。


いま思えば、長州力、第一次維新革命の

最終章に位置付けされる猪木との激闘だった。


野望に満ち溢れた、若き日の長州力を目に焼き付けてほしい!


燃えろ!新日本プロレスvol.13

『長州力まかり通る!維新軍の夜明け』

3月29日(木)、本日発売

発行元=集英社

価格=1680円(税込)


★詳細は『燃えろ!新日本プロレス』特設サイトまで(パソコンのみ)

  http://weekly.shueisha.co.jp/moero/


※追伸:1983年の11・3蔵前国技館大会を生観戦していた。

     当時は、大学4年生。

     就職先も決まらないままで…

     これは就職よりプロレスのほうが大事だったということか!?

     

     いや、そうでもない!

     なんせ、4年にして取得単位数を36単位も残していたのだから(苦笑)。

     全申請単位から2科目落とせば、そこでアウト。

     留年の危機に瀕していたわけだ。

    

     ということは、やっぱりプロレスのほうが大切だったのかなあ?

     いかんいかん、これじゃ堂々巡りではないか。

     つまり、本能が私を蔵前国技館へと導いたに違いない(笑)。

     結局なんとか4年間で卒業もできたことだし……

     これでいいのだ!