話題が多少、古くなってしまい申しわけない。

2月1日は、バタバタと忙しい1日となった。


まず、午後2時に『スカパー!東京メディアセンター』に向かい、

午後3時よりサムライTV『ニュージャパンライン』の収録。


番組メニューは、来たる新日本のビッグマッチである

2・12大阪府立体育館大会の見どころを徹底解剖するというもの。

MCはお馴染み、清野茂樹アナウンサーで、解説が私。


ゲストには、大阪大会で田中将斗の保持する

IWGPインターコンチネンタル王座に2度目の挑戦をする後藤洋央紀。


後藤といえば、みなさん、どんな印象を持つだろうか?

”荒武者”と称される男っぽい風貌がまずイチバンに来るだろう。

ただし、後藤は口下手だから、コメントに関してはイマイチ。


そこを対戦相手に衝かれて、散々こきおろされたりもしてきた。

最近では抗争を展開している高橋裕二郎に、

「お前は荒武者じゃなくて、馬鹿武者だろ!」と

無礼千万な暴言を浴びせられた。


リングを降りた後藤は、非常に紳士的な男で、
普段も優しく温厚な性格をしている。

ただ、その温厚さ真面目さが、時に人の良さとなって

リングに出てしまうのが欠点といえるのかもしれない。


もし、もっと貪欲で、癖のある嫌な性格の(笑)持ち主だったら、

とっくにIWGPをその腰に巻いていたのかもしれない。

後藤と会話するたびに、そんなことを考えてしまうのだ。


以前、当ブログで柴田勝頼を取材した話を書いたが、

高校レスリング部の同期である柴田もまた後藤の性格のよさを知りぬいている。

だからこそ、「後藤しっかりしろ! 闘いに優しさは無用だぞ」とメッセージをくれたのである。


さて、今回ゲストに迎えた後藤と番組中に、いろいろと話してみて、

私はこれまでと違う印象を受けた。

ある意味、開き直りというか、自分をさらけ出してみせたのだ。

裕二郎の「馬鹿武者」発言には、こう答えた。


「いや、オレは馬鹿ですよ!

だけど馬鹿でもいいじゃない。

口では敵わないけど、リングで答えを出せばいいんだから」


また、1・30千葉大会(8人タッグの前哨戦)の模様がVTRで流されたが、

試合後の後藤のコメントがよかった。


「頑張っている人間に結果がでなければ、それはウソだろ!」


こういう素直な心の内を吐露するのも珍しいのだ。

番組のシメでもカメラに向かって、堂々と宣言した。


「次の大阪から、後藤洋央紀の新章が始まります!」


ある意味、後藤らしくないアピールが頼もしい。

田中vs後藤のシングル対戦成績は、

7戦して3勝3敗1分けと、まったくの五分。


過去、新日本vsZERO1の対抗戦からスタートして、

田中のライバルとしてシノギを削ってきた相手は、

中西学に始まり、金本浩二、永田裕志、真壁刀義といるが、

もっとも噛み合う相手は、間違いなく後藤だろう。

 

田中という最大のライバルを得たことにより、

スライディングDに対抗するスライディング・ラリアットも開発した。

まさに後藤の眠れるポテンシャルをもっとも引き出してくれるのが、

宿敵・田中なのである。


8度目の完全決着戦。

1・4東京ドームで、3連敗を喫していた杉浦貴に1つ借りを返した後藤。

田中を破り、もう一つのIWGPを巻けば、自ずと頂点に近づくことができる。

……というような解説を私がしていたところ、後藤に話を遮られた。


「いや、IWGPヘビーはIWGPヘビーなんですよ。

オレはいま全く輝いていないインターコンチネンタルのベルトを獲って、

それを眩しいぐらいに輝くベルトにしてやりたいと思っていますから」


ス、スゴイ!

後藤が私に反論したぞ(笑)。

もう、それだけでも彼の闘志が伝わってくるというもの。


2・12大阪では、後半3試合がシングルマッチ。

メインはIWGPヘビー級選手権(棚橋弘至vsオカダ・カズチカ)、

セミが中邑真輔vs内藤哲也の因縁カード、

その前の第8試合が田中vs後藤。


この3試合は内容で、間接的な勝負も強いられる。

”鉄板”と称される田中戦において、

後藤は内容、結果の両方で最大のインパクトを残せるだろうか?


私が、今の後藤は一味違うと感じたことが、

証明されれば、言うことなしである。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


というわけで、最後はこのポーズで記念写真。

私が、「メキシコのルードっぽいポーズは?」とリクエストすると、

すかさず、後藤が指導してくれた。


だけど、私と清野アナはまったくル―ドっぽくないぞ(笑)。

さあ、2・12大阪決戦まで、あと5日……

荒武者の新章を見せつけてほしい!


さて、『ニュージャパンライン』の収録が終わると、

水道橋の後楽園ホールへと移動。

午後6時半から、ZERO1のテレビマッチ(サムライTV)の収録。


当日のメインイベント…最後の最後で大どんでん返し、

サプライズが待ち受けていた。


カードは世界ヘビー級選手権。

王者・佐藤耕平に、名タッグパートナーであり盟友のKAMIKAZEが挑戦した。


正直いって、今の耕平は強い。

元日決戦(後楽園ホール)では、最大の難敵である関本大介を

25分弱の大激闘の末、ジャーマン・スープレックスで破りⅤ2を達成している。


今年キャリア20年目を迎えるKAMIKAZEがいくら試合巧者とはいっても、

今の耕平を突き崩すのは至難の業だと思われた。


ハッキリ言って、過去の実績にも大きな差がある。

KAMIKAZEは2度、世界ヘビーのベルトに挑戦した経験を持つが、

時の王者である川田利明、関本大介に完敗している。


また、ZERO1の名物リーグ戦、ZERO1マット№1を決める

『火祭り』リーグ戦に関しても、過去11大会のうち、

エントリーできたのは1度(2008年)だけ。


シングルプレーヤーとしての実績には乏しく、

タッグプレーヤーとして見られがちの選手なのだ。


ところが、本人曰く「最後の挑戦」、「最後の青春」という覚悟、

決意のほどは、半端なものではなかった。


ヘビー級でありながら、見事なムーンサルトを披露したり、

返し技の妙で勝負する試合巧者のKAMIKAZEが、

試合の終盤、一線を超えた。


執念と粘りの、まさにど根性ファイト。

橋本真也ばりの重爆キックを食らおうと、

十八番のジャーマン・スープレックスを食らおうと、

雄叫びをあげて立ち上がり、

最後は脳天から叩き落とす奥の手・KAMIKAZEドライバー。


「死ぬかと思った…」という耕平は、そのまま3カウントを聞いた。


ついに、アニキがやってのけた。

温和で面倒見がよく、酒豪のKAMIKAZE。

ZERO1のメンバーはみんなが彼のことを大好きだし、

プライベートでも、アニキとして慕っている。


言ってみれば、つねに縁の下の力持ち。

そんな男が頂点に立った。


「このベルト(AWA世界)を子供のころからずっとテレビで見続けて、

すげぇーなと思ってました。

レスラーになってからも、ずっとありました。

そんなすげぇベルトがいまオレの腰にあります。

もし、なにかにチャレンジしている人、

なにかデッカイ目標に向かって挑戦し続けている人がいたら、

オレは自信を持って言います。

諦めずに一生懸命がんばったら、

夢は必ずかないます!

オレは何回倒されたって、

目の前でコブシ握って立ち上がってやりますよ!」


                     金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


SPWFからデビューして、それ以降もインディーを渡り歩いた男。

1994年秋、新日本の『スーパージュニア・タッグリーグ戦』に

キャリア2年弱で出場して、石澤常光にボコボコにされたこともある。


旧ZEROーONEマットに辿りついた当初も、

決して優遇されることはなかった。

最初はトライアウトの様相だったし、

様々なキャラに変身を強いられたこともある。


それでも諦めることは一切なかった。

相手が誰であっても、つねに全力ファイト。

新日本との対抗戦で東京ドームに出陣した際には、

「KAMIKAZE選手はいい動きしてるねえ」と

永田裕志に絶賛されたこともある。


少ないチャンスを、諦めない才能で掴んだ男。

汗と泥にまみれた新チャンピオンなのだ。


ハッキリ言って、驚きの結末だったが、

アニキの快挙だからこそ、私も嬉しい。


どうです?

苦労人のアニキにごっついベルトがよく似合うでしょう!?