少しばかり忙しく、更新が遅れてしまって申しわけない。
油断しているうちに(笑)、もう12月に入ってしまった。
さて、当ブログでも何度か宣伝させてもらったトークイベントの話。
11月27日(日)、午後2時から、大阪ミナミのプロレスリングBar『カウント2、99』で、
同店の旗揚げ(オープン)記念1周年シリーズのゲストに呼ばれ、
『金沢克彦ガチンコトーク120分!』と銘打ったトークショーを行なった。
もともと、仲に入ってくれたのは大谷晋二郎だった。
10月20日前後だったと思うが、大谷から突然電話が入った。
普段はたいていメールのやり取りで済ませているのに、
突然の電話というのは妙に胸騒ぎがするもの。
これが夜中であれば、酔って盛り上がったついでの無意味な電話だろうな(笑)、
と想像がつくのに、夕方だったから「アレ!?」っという感じ。
もちろん、お酒の入っていないときの大谷は、
長い付き合いながらも電話越しには丁重そのもの(笑)。
私にお願いごとがあるという。
「場所は大阪なんですが、トークイベントへの出演は可能でしょうか?」
「先方に連絡先を教えてもかまいませんか?」
今回のオファーの件だった。
私からすれば、予想もしていない話だった。
大谷が続ける。
「ボクも大阪に行ったときはよく行かせていただくんですが、
本当にプロレス愛を感じる、いいお店なんですよ。
マスターも、マスターのお兄さんもとてもいい方ですし、
お客さんもプロレスが大好きな人たちばっかりですから」
まあ、晋ちゃんがそう言うなら間違いないのだろう。
その後、主催側の北山圭一さんから連絡をいただき、
ほぼ即答で出演をOKさせてもらった。
日にちが迫るまでは、気楽に構えていた。
特に自分がやることはないし、当ブログでパブリシティをする程度。
あとは、たまたま2日前のサムライTV『速報!バトル☆メン』に出演した際に、
番組の中で、イベントの紹介をしてもらった。
サムライTVにも感謝!
そこで、当日。
大阪行きの新幹線に乗っていて、少しばかり気になり始めた。
「お客さん、どのぐらい来てくれるのかなあ?」
「今の自分の名前で、どの程度の集客力があるんだろうか?」
「普通なら、最強タッグを観に行くんじゃないのかね?」
当日の午後5時からは、全日本プロレスが大阪府立体育会館第2競技場で、
『世界最強タッグ決定リーグ戦』の大会を行なう。
GAORA中継も入っており、カード編成もいい。
その最強タッグに被らないよう配慮して、
イベントも午後2時~4時という時間帯に設定しているのだ。
現地に着いて、お店の裏にある喫茶店で軽い打ち合わせ。
兄の圭一さんと一緒に、初めてマスターの北山幸治さんとも会った。
店は弟の幸治さんが1人で切り盛りしている。
オープン1年で人を雇うような地力はまだないからだと言う。
中身は事前に聞いていたが、もうそこは成り行きまかせ。
ほぼ、フリートークという感じだ。
私の希望としては、「お客さんから、どんどん聞いてもらってかまいませんから」だけ。
気になる集客に関しては、「イス席がほぼ一杯ですから」とのこと。
これで一安心した。
「ところで、入場テーマ曲はどうしましょうか?」
「何でもあるんですか?」
「ハイ、なんでも用意できますよ」
「こういうとき、黙っていると必ず”パワーホール”がかかるんで…
そうですねえ、永田裕志でいきましょうか!」
とっさに、永田の名前が出てきたのは、前回更新のブログにある通り。
『のぞみ号』で大坂へ向かう途中、巡業中の永田からメールをもらった。
私のブログの内容について、勘違いを指摘してくれたのだ。
デーブ・フィンレ―が最後に新日本マットに上がった年とシリーズ名を
わざわざ教えてくれたから。
定刻の午後2時に、店の入り口ドアの前で待機する。
突然、永田の入場テーマ、しかもビッグマッチ仕様である
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の前奏曲付きバージョンが流れる。
店内から、拍手&歓声&爆笑が響いてくる。
「なんか、スゴイことになっているなあ」
ドアを開けて覗いてみると、ビッシリとお客さんで埋まっていた。
これはちょっと圧倒されるほどの熱気。
何度か書いている通り、私は人前でのトークを大の苦手としている。
過去に、結婚披露宴でのスピーチを頼まれても、ほとんど断ってきたほど。
テレビカメラの前であれば視聴者の顔は見えないわけだから、
それが生放送であろうと、録画収録であろうと、
カメラの向こう側で何万人、何百万人が観ていようと、まったく気にならないのだが…。
グルっと見渡してみると、みんな明るいし目が輝いている。
ひと昔前のプロレスファンというか、
いわゆる紙袋を提げたプオタと言われる人たちとはもう人種が違うようだ。
ノリもよければ、驚くほどに反応も早い。
トークの相手を務めてくれたのはマスターの幸治さん。
幸治さんから一言、テーマを振られると、
私の回答は果てしなく曲がりくねって脱線しまくり、まったく違う話になっている。
「で、なんの話でしたっけ?」
そう確認すること、10回以上はあったと思う。
もうトークの内容は、ハチャメチャである。
正味120分、仮にテレビカメラが入ったなら、
100分はカットで、あとは「ピー!」が入りまくるような内容。
かといって、自分では特別に何かの意図をもって話したわけでもない。
強いて言うなら、レスラー、選手が躊躇うような話を遠慮なく話したという感覚。
プロレスラーという人種は基本的にみんな優しいし、
周囲や仲間に気を使う。
こういうぶっちゃけトークの場であっても、仲間のレスラー同士…
それが先輩であれ後輩であれ、あまり突っ込むと失礼だろうという配慮が働き、
どこかに遠慮が出て一歩引いてしまいがちなのだ。
ただ、その部分に関しては、私に遠慮はない。
多少、ハメを外した話でもここにいる明るいお客さんたちなら、
笑い話として済ませてくれるという空気を感じたから、
ギリギリのラインで話をさせてもらった。
それが当初、自分がテーマにしていた『カウント4、99』の世界でもある。
また、マスターが聞き上手だから、そこに乗せられた部分もあったかもしれない。
予定の120分を若干オーバー。
あっという間に時間が過ぎてしまった感じ。
トーク終了後には、私が前夜、家の中をゴソゴソと探し回り
見つけ出したレアものTシャツ2点をジャンケン大会でプレゼント。
その後、来場者、1人1人と握手、会話、記念撮影をした。
驚いたのは、20人近いファンの方が私の著書を持参してくれたこと。
『元・新日本プロレス』、『子殺し』、『力説』と3種類。
それらすべてに、サインを入れさせてもらった。
私の苦手とする色紙が出てこなくて本当によかった(笑)。
「時間がたつのが早すぎて…また来てくださいね!」
そういう声がいちばん多かった。
「次回はぜひモッキ―かミキティコも連れてきてください!」
そういうムチャな要求も2、3あった(笑)。
お客さんを全員送り出したころには、もう4時半になっていた。
当日、店の開店時間は午後6時から。
その仕込みで忙しいはずなのに、
マスターが府立体育会館まで送ってくれた。
同じ灘波なので、徒歩で15分程度の距離だ。
体育館につくと、多くの関係者、選手たちが不思議そうな目で私を見た。
それはそうだろう(笑)。
祭日だった11・23後楽園ホール大会も寝坊してサボってしまった。
そんな私が府立第2体育館にいるのだ。
マスコミの数も、総勢5名ほど。
GAORAスタッフ、音響スタッフ、そして選手たち。
私が、記者室代わりの音響室(ガラス張りでリング上がよく見える特等席)に入っていくと、
まず、諏訪魔、近藤修司がいた。
2人とも、一瞬”?”マークの表情。
イベントがあったことを話して、ようやく納得した感じ。
その他、カズ・ハヤシ、金本浩二、真田聖也、渕さんと一様に同じ表情をする。
いちばん面白かったのが、やはりKENSOの反応。
聞き覚えのある声を感じたのか振り返って私を確認すると、会釈してからまた視線をリング上へ。
…と思ったら、またすぐに振り返って、「どうしたんですか!?」とビックリ顔。
それでは、私がちゃんと取材してきた証拠として、
ショッパイ写真ながらも(苦笑)、何点か掲載してみたい。
私のイチ押しである真田&KAI組は、カズ&KENSO組との公式戦。
チームワークで上回る真田&KAIが逆転勝利を飾った。
このチームは、機動力抜群だ。
あえてヘビー、ジュニアの枠を超え、
APOLLO55、ゴールデン☆ラヴァ―ズ、モーターシティ・マシンガンズ
あたりとの対戦をぜひ見てみたいと思った。
一方、泥沼の4連敗を喫した『TEAMビチッと!』。
「このままじゃオレの脱退もあり得る」と半ば呆れ気味のカズ。
しかし、我らがKENSOさんにメゲルという三文字は存在しない!
「全国のビチッと!ピープルズの声援がオレには聞こえる。
まったくもって問題ない!」
問題だらけのようだが、ノ―プロブレムだという。
ここはKENSOさんの情熱を買ってもう少しだけ我慢…いや期待をつないでおこう。
メインイベントでは今大会屈指の好カードが実現。
GET WILD(大森&征矢)vs大日本最強コンビ(関本&岡林)が真っ向勝負を展開した。
まさしくド迫力の白熱戦。
GET WILDのアックスボンバー&ワイルドボンバーのサンドイッチ弾。
関本の豪快無比の眉山も大爆発。
会場はもちろん、ドカ~ンと大爆発した。
最後は、関本がぶっこ抜きジャーマンで征矢を沈めている。
完全燃焼で勝負を決めた関本の握手に、躊躇いながらも大森は応える。
しかし、宿敵に対し、征矢は握手を拒否。
今もっとも乗っている両チームの激突にファンは大満足の様子だった。
テレビ収録のビッグマッチで出張に出る場合を除いて、
地方マッチの会場をこういう形で訪れるのは、おそらく6~7年ぶりになるだろうか。
地方でも全力投球のレスラーたち。
その姿を見られただけでも満足だった。
実はこの後、もう一つ、私にとっては貴重な体験が待っていた。
ホテルにチェックインしてから、1人のお客として『カウント2、99』に顔を出してみたのだ。
私の場合、プロレス関係者がやっているお店やファンが集う場所に行くのも大の苦手。
まず、ファンに話し掛けられたり、質問攻めに遭うのが苦痛なのだ。
それに、ファンの前で偉そうに講釈をたれるのも好きではない。
だから、自然とそういう場所は避けてしまいがちになる。
ただ、この日はイベントでお世話になったし、大谷が言うところの
「プロレス愛に溢れた、いい雰囲気のお店ですよ」というのを確かめてみたくて、
店に入ってみた。
先ほどのトークイベントに参加してくれたファンの方、
さらに、イベント→全日本の大阪大会→カウント2、99と、
私と同じコースで1日を過ごしたファンの方も目に付いた。
カウンターとテーブル席で、それぞれファン、お店の常連客の人たちと
一緒に飲んで、食べて会話をした。
大谷の言う通りで、いい空気だった。
みんながファミリーという感じ。
そんな中で、忙しく1人で店を切り盛りしている幸治マスター。
「プロレスが大好きだからプロレスBarを始めたら、
今度は自分が夜のビッグマッチとかを観にいけなくなってしまいました(笑)。
もっぱら、ビッグマッチはテレビ観戦ですよ」
そういえば、私を体育館まで送ってくれる途中、
そういってマスターは温厚な笑顔を覗かせていた。
「だけど、本当にいいお客さんたちに囲まれて、
自分は幸せ者だと思っています」
そうも言っていた。
確かに、トークイベントのときと同じで、みんな明るく楽しそうでリラックスしている。
私自身も、ファンの人たちと話すことが、こんなに楽しいものなのかと初めて知った。
反対に、今度はプライベートだからこそ、彼らとプロレスの楽しさを共有しようと努めた。
「金沢さんは25年もプロレスの仕事に携わってきて、
プロレスがイヤになったことなんかはないんでしょうか?」
熱心なファンにそう聞かれた。
「プロレスがイヤになったことなんか一度もないよ!
自分がいた会社がイヤになったことはあるけどね(笑)」
何事も正直に答える。
「さっきイベントに一緒にいたのは同僚なんですけど、
あいつ永田さんの大ファンで、金沢さんのブログを呼んで
仕事中なのにトイレで泣いているんですよ(笑)。
新日本の暗黒期を支えたのは永田裕志だというところで感極まったみたいで」
こうやって、私が書いているブログにも一喜一憂してくるファンがいる。
ありがたい話だし、いい加減なことなんかとても書けないではないか?
何人かのファンには、同じことを言われた。
「金沢さんって怖い人なのかなっていうイメージがあって…
でも、こんな気さくで面白い人だとは思いませんでした!」
そう、私のテンションはいつもほとんど変わらない。
酒が入っても入らなくて、基本的には同じ。
たいてい、ふざけている(苦笑)。
マジメになる瞬間というのは、こういうものを書いているときと、
テレビで試合の解説をしているときぐらい。
夜中の12時半を回って、1周年シリーズも閉幕(閉店)となった。
マスターにお礼を言ってから外に出ると、
ファンの方が2人、わざわざ私をホテルまで送ってくれた。
楽しい1日だった。
プロレスファンの元気と温かさに触れた1日。
そして、『カウント2.99』のマスター幸治さん、
兄で取締役の圭一さんの情熱に心打たれた1日でもあった。
なんというか、プロレスリングBar『カウント2.99』は、
プロレスファンにとって、大阪の”聖地”という感じがした。
場所は、大阪ミナミのど真ん中、
大阪プロレス・ム―ブオンアリーナ真向かいのビル3階。
機会があれば、ぜひ皆さん、寄ってみてください。
きっと楽しい時間を過ごせること、請け合いですよ!
◎プロレスリングBar『カウント2、99』
大阪市中央区千日前1-7-7 サンプラザビル3階
(大阪プロレス:ム―ブオンアリーナ目の前のビルです)
TEL:06-6213-2998