書きたいこと、書かなきゃいけないことが山ほど溜まってしまった。

新日本の11・6後楽園ホール大会のこと、

ZERO1の11・9後楽園ホール、澤宗紀の引退試合のこと、

また、マット界の将来を嘱望されていた柿沼謙太(ZERO1)が、

突然の引退発表を行なってしまったこと……。


サボっていたわけではないのだが、取材と調べものに時間を取られ、

結局、なにも書けていない。

昨日、後楽園ホールの大会終了後、小島聡にも指摘を受けた。


「もう、ブログちゃんと書いてくださいよ!

3日に一回じゃダメじゃないですか~」


コジゴンのジョークにも返す言葉がない、ダメな自分(苦笑)。

それなら、睡眠時間を削っても更新しようじゃないか!

それに、順序は入れ替わってしまうけれど、

気持ちが熱いうちに、興奮が冷めぬうちに書いておきたいと思った。


天龍源一郎である。

11・10後楽園ホール大会。

天龍源一郎プロレス35周年記念興行

『Revolution~ WE ALL WANT TO CHANG THE WORLD~』


すべては、メインイベントの6人タッグマッチにあった。

歴代三冠ヘビー級王者を集結させた『三冠王者プレミアムマッチ』

天龍源一郎&鈴木みのる&諏訪魔vs佐々木健介&小島聡&太陽ケア。


もう、カードを聞いただけで、メンツを観ただけで満腹の様相。

壮観としか、言いようがない。


ただ一点、不安なのが主役たる天龍のコンディションだった。
果たして、膝が壊れた今の状態で、試合についていけるのか?

他の5選手は、天龍に対してどんな思いを抱き、

自分のモチベーションをぶつけてみせるのか?


しかし、答えは明確に出た。

これはお祭りなんかではなく、闘いだった。



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トリで入場してきたのは、もちろん天龍。

天龍がエプロンに上がろうとしたところで、鈴木がサッと動いた。

ロープを開けて、諏訪魔にも目で合図を送る。

諏訪魔も察して、2人で天龍を招き入れた。


もちろん、鈴木みのるによる気遣い、敬意はここまで。

いや、「戦場へようこそ!」という意味なのかもしれない。

予想通り、試合中に鈴木はダウンした天龍めがけ

「しっかりしろ!」とストンピングを浴びせていった。


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写真の通り、2人のパートナーを制し先発を買って出たのは天龍。

もちろん、視線は健介へと釘付け。

この両者は、10・7後楽園ホール大会(仮面貴族FIESTA)の

6人タッグで対戦し、火がついた。


健介が、バチバチに逆水平チョップを打ちこんで、

天龍(大ハヤブサだが…)を弾き飛ばしのだ。


それにしても、健介は鬼のように強かった。

手加減どころか妥協のだの字もない。

まさに、KYそのもの。

だが、この際立つ”KYさ”こそが、

プレミアムマッチを何倍もの闘いにしてみせたのだ。


いったい何十発のチョップを天龍の胸板へ浴びせたことか?

開始から数分で、天龍の胸板は真っ赤に染まった。

ミミズ腫れを通り越して、もう内出血と表現したほうがいいだろう。



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足を止めて打ち合う両雄。

無論、膝の負傷もあって、全盛期の天龍チョップの破壊力は望めない。

だが、打たれれば打たれるほど、天龍のチョップに腰が入ってくる。


他の4選手による攻防も、さすがだった。

憎悪剥き出しで小島に迫る諏訪魔。


かつて世界タッグのパートナー同士であった鈴木とケアの攻防は、

さすがに洗練されていた。


また、同じコーナーに立ちながら常にいがみ合っていた鈴木と諏訪魔であるが、

素晴らしいタイミングで小島にダブル・ドロップキックを決めている。

やはりプロフェショナル!としか言いようがない。


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いかに凄まじい試合であったかは、ぐだぐだと書き連ねるより、

この写真一枚で分かってもらえるだろう。


最後は、やはり天龍vs健介のチョップ合戦へ。

フラフラになりながら意地でも倒れない天龍を、

健介が強引にブレーンバスターで投げ捨てフォールした。


実に、29分42秒の闘い。

マイクを持った健介が大の字に伸びた天龍に声を掛ける。


「おい、化け物! 今日は思いっきり熱いチョップありがとうございました。

天龍さん、寝転がってる場合じゃない、立ってくれ!」


もちろん、マスコミを観客も心の中で、みんな健介にツッコミを入れていたはずだ。


「化け物はアンタだよー!!」


45歳にして、ますます強くなっているかのような健介。

この素晴らしきKYぶりに拍手を送りたい!


天龍がマイクを持って感謝の言葉。

私が、天龍らしいなあと思った一言がある。


「最近はマットの掃除ばかりしているような天龍ですけど、

それでも皆さん一生懸命声を枯らして応援してくださいまして、

本当に心に決めてがんばります」


マットの掃除ばかりしている……これもまた新たな天龍語録。

思うに任せないコンディションに一番歯痒い思いをしているのは、

他ならぬ天龍本人なのだ


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試合後の共同インタビュー。


「健介って不器用だからね。

あれが健介のオレに対する最大限のお祝いだと思うんだよ。

ここんとこ体調不良でしぼんでいたオレに火を点けてくれた。

最初の頃の(ジャパンプロレスの新弟子として)誰もいないところで(雑用で)走り回っていた

佐々木健介を思い出しましたよ。

あれが彼の生きざまだから」


天龍は満足そうだった。

今年も生き抜いた。

その表情を見れば、伝わってくる。



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「今日、久しぶりにプロレスを堪能しました。

もう、腹一杯ですよ!

実りの秋だけど…鈴木みのるじゃないよ(苦笑)、

プロレスでお腹いっぱいになりましたよ。

これで、しばらくは冬眠できると思います」


そう、我々も、腹一杯にプロレスを満喫させてもらった。

天龍源一郎の何たるかを、改めて教えてもらった。


遡ること、24年前…

1987年12月の半ばのこと。

天龍同盟をスタートさせた天龍革命(レボリューション)元年の年末である。


当時、六本木にあった旧・全日本プロレスの事務所で

私は天龍と向かい合っていた。

当時の私は『週刊ファイト』の新米記者。


天龍革命によって、時代のど真ん中に躍り出た天龍。

そんな天龍が、私のインタビューに答えて、こう言った。


「天龍源一郎は、天龍源一郎しかいない!

そう思えるのは、ほんの一瞬のことなんだよ。

少しでも慢心したら天龍のスペアはいくらでもいる。

だから、来年も心してかかれってことだろうね」


このセリフは私の胸にずっと焼き付いていた。

だが、あれから24年が過ぎて、今ハッキリと答えが出た。


天龍源一郎は、天龍源一郎しかいない!

            

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