昨日(22日)、後楽園ホールで、12チームがエントリーする
新日本プロレスの『G1 TAG LEAGUE 2011』が開幕。
会場は、9割方埋まってほぼ満員の盛況だった。
まず、公式リーグ戦(Bブロック)の1発目に登場したのが、
石井智宏&ドン・フジイの異色コンビ。
もちろん、フジイはドラゴンゲート所属で、
CIMA、SUWA(引退)とともに闘龍門の一期生である。
そのフジイと石井による突然のコンビ結成には、
本人たちが試合後に力説していたように理由がある。
遡ること15年前、2人は天龍源一郎率いるWARに所属していた。
そうは言っても、石井は入門してから、体が小さいという理由で一旦リストラされ、
その後、再度入門を許された練習生。
ちょうど、そのころフジイは力士を廃業し、WARで営業部員として働いていた。
いわば、WARで苦楽をともにした同窓生コンビなのだ。
当時のことを考えると、私まで感無量になる。
いまや石井は、新日本マットになくてはならないヒールの仕事人となったし、
フジイはドラゴンゲートの重鎮である。
「オレたちはタッグを組むまで15年かかったんだ!」
確かに即席コンビでありながら、このタッグ結成は彼らにとって青春の証でもある。
ヘビー級としては小柄な体を目いっぱい躍動させて、
飯塚高史&ヒデオ・サイトーから反則勝ちながら白星奪取。
元WARコンビは幸先のいいスタートを切った。
個人的に、次なる注目カードは鈴木軍(鈴木みのる&ランス・アーチャ―)
vsバッド・インテンションズ(ジャイアント・バーナード&カール・アンダーソン)。
先のG1クライマックスで、鈴木vsアンダーソン、
ランスvsバーナードのシングル戦は実現しているが、
鈴木vsバーナードは正真正銘の初対決となるからだ。
ただし、試合が始まると互いに意識し合うのは、大型同士と技巧派同士。
注目の鈴木vsバーナードはほんの数回の接触に終わった。
写真は、バーナードライバーでランスを沈めたバーナードが
マイクを手に恒例の雄叫びをあげたところ。
「シンニホンプロレスリング、イチバ~ン!」
その瞬間、エプロンに駆けあがった鈴木は、
バーナードに向かってペットボトルの水を浴びせ掛けた。
鈴木みのるvsジャイアント・バーナード…いつかシングル対決を見てみたい!
セミファイナルでは、テンコジ対決(天山広吉&井上亘vs真壁刀義&小島聡)が実現。
いきなり先発でぶつかり合うテンコジ。
誤爆はあったものの、意外なほど小島、真壁はチームとして機能している。
天山&井上の攻撃は、どうしても遮断されてしまう。
小島のコンディションは相変わらず充実しているが、
真壁の動きもいい。
見た目にも、以前より絞られている感じがした。
そこで天山の闘志がカラ回りするのをあざ笑うかのように、
小島がカウンターのラリアット1発で井上を仕留めている。
テンコジは、8月、10月に続いて、11・12大阪で3度目のシングル戦へ。
勝利チーム(真壁、小島)のコメントを取って会場へ戻ろうとしたところ、
今まさにメインの入場を控えた棚橋弘至と後藤洋央紀が待機していた。
その背中から、ピーンと張り詰めた緊張感が伝わってくる。
周囲は暗いので、デジカメではなく、あえて携帯カメラでパシャり。
このブレ具合がいい。
デジカメで撮ると、自動フラッシュの光が強すぎて、こうはいかない。
最近の携帯カメラは画素数が高いので、いい絵が撮れるのだ。
少しばかり自画自賛(笑)。
メインカードは開幕戦にして、Ⅴ候補同士の激突。
本隊最強コンビ(棚橋&後藤)vsCHAOS最強コンビ(中邑真輔&矢野通)の公式戦。
併せて、11・12大阪、IWGPヘビー級選手権(棚橋vs矢野)の前哨戦でもある。
先発で出てきた棚橋vs矢野がガッチリとロックアップ。
新日本マットの最高峰を争う人間同士による新日本らしいスタート。
ただし、チームとして分析するなら、やはり中邑&矢野の巧さが一枚上手か?
いつものようにコーナーマットを外し、金具むき出しのコーナーを巧妙に使う矢野。
後藤を中邑に任せて、急所パンチから丸めこんでの3カウント。
その後、矢野が強奪したIWGPベルトを保管している(?)
アタッシュケースを取り戻した棚橋。
だが、その中から出てきたのは、
U-30無差別級王者のベルトというオチがついてしまった。
失意の棚橋を尻目に,IWGPヘビーのベルトを掲げ、
「してやったり!」の表情で凱旋する矢野。
ホール男の矢野には大歓声が送られる。
考えてみると、大阪の本番まであと3週間しかないのだ。
ところで、この日の興行から一番伝わってきたものは、
チームワークだった。
それは、どこどこ、だれだれのチームワークがいいという次元の話ではない。
興行全体を見て、それぞれの試合が噛み合っているということ。
たとえば、田中将斗と組むことによって、
高橋裕二郎のパワー、ポテンシャルが存分に引き出されていた。
内藤哲也vsタマ・トンガのスピ―ディな絡みは、
ジュニアの攻防にも引けをとらないし、お互いにそれを楽しんでいる。
少し前までは筋肉デクの坊だった(ゴメンね!)ストロングマンも成長した。
G1クライマックス公式戦でのラスト2試合(鈴木戦、後藤戦)での勝利が
彼にとっては大きな自信になったのかもしれない。
タマ・トンガとの凸凹コンビが、実に魅力的に見えた。
それに、不安だらけの飯塚&ヒデオのチームが、
ラストシーンを除けば、まともに試合をしていたのも驚きだった。
無論、試合に慣れ合いなどないし、みんな闘っている。
それなのに、不思議とチームワークを感じる。
興行としてのチームワークを感じるのだ。。
それが自然と生まれているものだとしたら、
新日本のリングが、そういう空気に満ちているということだろう。
つまり、向上心のない者、競争心に欠ける者は脱落していくということ。
ファンの温かい声援に包まれながらも、
リング上ではシビアなサバイバルレースが展開されている。