ミル・マスカラス来日40周年記念試合

『仮面貴族FIESTA2011~僕らの夢のオールスター戦~』

DEPO MART・10周年記念興行


このブログでも何度か紹介してきた10・7後楽園ホール大会は大成功。

予想を遥かに上回る観客数で、後楽園ホールが満員となった。


チラッと客席を見渡してみて、まず気付いたのはやはり年齢層が違うこと。

今のプロレス会場はグッと年齢層が低くなった。


アンケートの結果であるとか、そういう正確な数字を知っているわけではないのだが、

後楽園ホールに限っていうと、観客の平均年齢は20代半ばぐらいではないかと思う。


最近は子どものファンも少し戻ってきた感じがするし、

男女の比率に関しても、もう半々まできているのかもしれない。


それと比較すると、やはり圧倒的に男性ファンが多いし、

平均年齢も30代後半という感じに映る。

どう考えても、ほとんどがマスカラス・ブラザース目当てなのである。


だから、ある意味、IGFっぽい空間ともいえる。

タレント活動もしている佐々木健介のようなメジャーレスラー、

グラン浜田のように息の長いゴールデンタイム世代、

あるいはグラドルレスラーとして名前が売れている愛川ゆず季。


こういった選手のファイトには、敏感に反応するし客席も沸く。

そこで真打ち、マスカラス・ブラザースが揃って入場すると、

もう今までの静けさが嘘のように会場は蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。


オーバーマスクの奪い合いは、まるで古き良き時代の全日本の会場のごとくだった。


という感じで、一応ウンチクを垂れてみたものの、もう理屈はいらないだろう。

試合が進むにつれて、ドキドキワクワクしてくる。

やはり、いつの間にか気分はプロレスファンに戻っている。


こういうときは、おもしろい絵を見つけたらすぐにデジカメで撮る。

とにかく声を掛けて撮る!

まずは、正体不明のテロリスト”F”を撮影。

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「まったく正体が分からないんですが、どなたですか?」

そう問いかけると、”F”がしゃべった。


「アイ・カム・フロム・メキシコかな、ウン!」


その声はF組長にソックリ。

つうか、試合中にマスクを脱いでしまった。

「もう39年近くやっていて、初めてマスク被ったらやりにくくてしょうがねえ」


そういって、F…いや、藤原組長は苦笑い。

さらに、期待通りのダブルゆずポンキックで勝利をあげた愛川&高木三四郎。

バックステージでもハシャぐ大社長は、

「このコンビでどこの団体にでも上がる」と宣言。


だが、その隣でゆずポンは「いえ、それは遠慮します」と完全拒否。

まったく噛み合わないやり取りをしながらも、最後は2人でポーズ。


当初、大社長はいつものポーズを決めていたのだが、どうも物足りない。

そこで私が、「高木社長もアイドルポーズでお願いしまーす!」とリクエスト。

もう、躊躇なく斜め前方45度を見上げる大社長。


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この男に不可能の三文字と拒絶の二文字はない!と見た。

そうこうしているうちに、反対側のコーナーでは

ハヤブサ・プロデュースによる夢トリオが出番待ち状態。


大会主催者の1人でもあるDEPO MARTオーナーの

大川昇カメラマンがシャッターを切っている。

この機会を逃す手はないから、私も便乗する。


「私も撮らせてもらっていいですか?」


「おおっ!」


大ハヤブサの野太い声が響く。

双子の弟といわれるミスター・プロレス同様の渋さだ。


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ダブルメインイベント第1試合が終わって休憩に入った。

いよいよ、ファイナル。

各社のカメラマン、記者、それに誰だかよく分からない人…・

凄まじい人数が狭いホールの通路で待機する。


ともかく、この3人を撮らなければ意味がないからだ。

ところが、大御所マスカラスがなかなか出てこない。

ここで勿体ぶるところが、スーパースターたる所以でもある。


マスカラスがきた途端、もう押し合いへし合い、シャッターの雨あられ。

ようやく撮ったのが、この1枚だ。

               

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この光景を眺めながら呆れていたのが健介。

「なんだよ、みんな普通のファンになってるじゃない!?」

そう言いながらも、オチがつく。


「金沢さん、オレにもその写真あとから携帯に送ってくれる?」
リクエスト通り、健介にはあとからこのショットを送っておいた(笑)。


ファイナルの6人タッグマッチ(マスカラス&ドス・カラス&初代タイガーマスクvsタイガ―マスク&CIMA&ウルティモ・ゲレ―ロ)は、夢のような世界だった。


ハッキリ言って、勝負論であるとか、闘いであるとか、

そういう世界観とは無縁だ。

これは別に悪い意味で言っているわけではない。


実際に観客はそういったものを求めているわけでもない。

マスカラスのフライング・クロスチョップが見たい、

ドス・カラスとの編隊飛行が見たい、

ダイビング・ボディアタックが見たい!


それだけなのだ。

その気持ちにマスカラスが応えた。

昔では考えられないほどの大盤振る舞い。


いったい何発クロスチョップが放たれたか、

そして兄弟の編隊飛行が披露されたか…

数えきれないほど。


ラストはしっかりとダイビング・ボディアタック。

その間、ドスはカンパーナ(吊り鐘固め)で弟子のCIMAを固めていた。

細かいことなんて、どうだっていい!


その瞬間、取材していた我々だって拍手喝采を送った。

ただし、個人的に、マニアックに言うなら、

ドス・カラスとCIMAの師弟対決に一番注目していた。


「コラ、先生!」、「この師匠!」と叫びながらドスに攻撃を仕掛けるCIMA。

CIMAは高校2年の夏休み、単身メキシコに渡って、

ドス・カラスに弟子入りしたことがある。


16歳の少年がレスラーになることを夢見て、約1カ月余り、

憧れのドスのもとで修行した。

もう押し掛け入門である。

しかし、それがCIMAにとっては夢のスタート地点となった。


そういう目で試合を見ていると、

やはりCIMAが一番イキイキ躍動しているように映った。


そして、最後にサプライズ…

もうひとつのメインイベントが待っていた。

つまり、今大会はトリプルメインイベントで構成されていたのだ。


試合終了と同時に、若手選手がロープを結ぶパイプを緩め始めた。

参加全選手がリングへ。

さらに、藤原組長が「もう1人、ハヤブサ上がってこい!」とマイクで呼びかけた。


サムライTVの解説についていたハヤブサが車椅子でリングサイドへ。

健介、人生らが手を貸してハヤブサをリングに招き入れた。

リング上に車椅子が運びこまれたが、ハヤブサはそれを制した。


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しっかりと2本の足でリングを踏みしめる。

試合終了と同時に引き揚げてしまったマスカラスも戻ってきた。

マスカラス兄弟がハヤブサを挟んで記念撮影。

場内のハヤブサコールは延々と止まらない。


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あれから、10年である。

2001年10月22日、ハヤブサはこの後楽園ホールのリングで重傷を負った。

命に関わる緊急事態だったにも関わらず、

横たわったままで、マイクを要求したハヤブサ。


そして、不完全燃焼に終わった試合のことをファンに詫びた。

意識を失っていてもおかしくはないのに、しっかりとマイクで話した。


「ああ、やっぱりこういうことだったんだなあ」


そのとき、すべてを理解した。

大会前日にアップした、このブログでハヤブサについて触れた。


これは、大川カメラマンから、

「ほんの数行でもいいからハヤブサについて触れてもらえませんか?」

という内容のメールをもらっていたからだ。


そこには、「彼もあれから10年なんですよ」という付け足しがあった。

そうか、ハヤブサがリングで大怪我をしてから、もう10年なんだ。

そういう思いで、私なりにハヤブサという類稀なレスラーについて書いてみた。


10年という節目。

決してリングから目を背けることなく生きてきた男。

復帰を誓って、前向きに生きてきた男。


彼には、リングに上がる資格がある。

リングに上がる権利がある。

リングに上がる義務と責任もある。


盟友の新崎人生がマイクを差し出した。

戸惑いながらも、マスカラスへのお祝いと感謝の気持ちを口にしたハヤブサ。

ここまでくれば、みんなが待っている。

あの言葉を待っている空気がビンビンと伝わってくる。


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「とりあえずボクが言えることはあと一言だけなんで、

それだけ言わせてください。

お楽しみはこれからだー!!」


ハヤブサが見事に”僕らの夢のオールスター戦”を締めてくれた。

観客はもとより、選手も関係者もマスコミも、みんなが笑顔。

こんな興行があってもいいと思う。



※追伸


ダブルメインイベント第1試合(大ハヤブサ&新崎人生&G・サスケvs佐々木健介&プリンス・デヴィット&エル・サムライ)で、約17年ぶりに天龍と……いや、大ハヤブサと対戦したエル・サムライ。

当時、天龍チョップでコテンパンにやられ、胸を真っ赤にして悶絶していたが、

今回は17年の思いを込めて大ハヤブサにチョップを連打。


だが、返り討ちにあってしまった。

しかし、サムライは大活躍。

久々のトぺ・スイシ―ダも見事に決めた。


本人はそれだけで、至って満足だった様子。

試合後も、延々とその話ばかりしている。


「ああ、足引っ掛からなくてよかった!

ちゃんと飛べてよかった!

怖かったけど、ちゃんと飛べた!」


そればかりを繰り返す。

もちろん、くわえタバコのまま。


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その様子がおもしろかったので、私がカメラを向けると、

さすがにマスクマン。

危険を察知して顔を隠した。


とにかく、この後楽園ホールで唯一の喫煙場所には、

つねにエル・サムライの姿があったことを報告しておこう!