昨日(5日)午後、スカパー!『サムライTV』のスタジオで、

ZERO1の大会、2本分のMA(実況収録)を行なった。


1本は本日(23時~25時)放送の『火祭り2011 総集編』。

もう1本が明日(23時~25時)放送の

『破壊王7回忌追悼大会・第2弾 8・27セラトピア土岐大会』。


『火祭り』のほうは、テレビ放送された開幕戦(7・24六本木ベルサ―ル)と、

関本大介が悲願の初優勝を飾った最終戦(8・7後楽園ホール)の2大会をのぞく

全6大会の公式戦12試合のオイシイところをダイジェスト収録している。


私は地方の試合の取材には出向いていないので、結果しか知らない。

ところが、1カ月以上も前の試合なのに、まったく色あせて感じないのが驚きだった。


12試合のなかでも出色なのは、次の2試合。

Bブロック公式戦の田中将斗vsフジタ”Jr”ハヤト(8・1愛知・Zepp Nagoya)と、

Aブロック公式戦の曙vsゼウス(8・3新潟・万代シティ)。


田中vsハヤト戦は、バチバチの攻防の末、なんとハヤトが田中を破る大金星。

しかも田中がフィニッシュのスライディングDを狙いダッシュしてきたところに、

十八番のKID(※山本”KID”徳郁直伝のフロントネックロック)で絡みつき、

そのまま後方に半回転して3カウントを奪うという離れ業で決めた。


今年の新日本『スーパージュニア』の開幕戦でも尊敬する金本浩二を破ったハヤト。

その瞬間、後楽園ホールには地鳴りのような”ハヤトコール”が沸き起こった。

やはり、ハヤトは何かを持っている男。

”世界の田中”から勝利を奪ったインパクトは絶大だ。


また、インパクトにかけては、ゼウス(大阪プロレス)も負けていない。

敗れはしたものの、曙の210kgの巨体をファイヤーマンキャリーで担ぎあげ、

そのままバックフリップで投げつけた。

おそらく、ここまで完全な形で曙を宙に浮かせた男はゼウスが初めてだろう。


その他、試合以外で心に響いてきたのが、やはり大谷晋二郎の言葉だった。

8・6埼玉イオン北戸田大会でのAブロック公式戦で柿沼謙太を下した大谷。

この時点で、大谷はⅤ宣戦から脱落していたし、

柿沼は最終的に全敗でリーグ戦を終えている。


しかし、ZERO1の闘いには消化試合など存在しない。

ひたすら全力でぶつかり合う師弟の闘いがあった。

試合後に、大谷はこう言った。


「プロレスラーはどれだけ血と汗と涙を流したかが試合に出る。

柿沼は3連敗?

だから結果は出てないと言われるかもしれないけど、

結果は出てるんだよ!」


大谷にしか言えないセリフかもしれない。

負けても負けても這い上がってきた男。

ZERO1旗揚げ10周年の3・6両国大会のメインイベントでも敗れた大谷。


その結果は、大”オータニコール”と大”ゼロワンコール”だった。

それが結果。

審判はファンが下してくれる。


改めて、『火祭り』総集編を解説してみて、気付いたことがある。

新日本の『G1クライマックス』は、生き抜くための闘い。

一方の『火祭り』は生きざまを見せつける闘い。


私の受けた感覚をあえて言葉に代えると、そんな感じになる。

こんな抽象的な表現方法しか使えないのがもどかしいし、

なんとなく選手に申しわけないような気もする。                                                                                                                                    

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さて、掲載した写真はZERO1の大会ではなく、

IGFの7・10『GENOME16』(東京ドームシティホール)で撮影したもの。


藤波辰爾&マスクド・ゲノムvs大谷晋二郎&橋本大地の試合後である。

父・橋本真也と新日本史に残る激闘を展開した藤波のドラゴン・スリーパーに敗れた大地。

試合後のコメントを終えたところで、可愛らしい女の子からサインを求められた。


「えっ、オレですか!?]


多少の戸惑いを見せ照れながらも、笑顔でサインをした大地。

じつに微笑ましい場面に出くわしたので、思わずシャッターを押した。 

デビューから4カ月、まだまだ少年の面影を残している。


そこで、2本目の収録の話。


8月27日、日本武道館では『ALL TOGETHER』、

両国国技館では『INOKI GENOME』が開催された同日、

ZERO1は、橋本真也さんの生まれ故郷である岐阜県土岐市で

『破壊王7回忌追悼大会・第2弾』セラトピア土岐大会を開催した。


メインイベントは、橋本大地が初めてベルトに挑戦する

NWAインターコンチネンタルタッグ選手権(佐藤耕平&KAMIKAZEvs大谷晋二郎&橋本大地)。

あのOH砲(小川&橋本)も巻いていた由緒あるタッグベルトへの挑戦だった。


3・6デビューから半年弱、50戦以上をこなして未だ自力勝利なし。

それでも大谷は、今回のタイトルマッチを決定した。

現王者の耕平&KAMIKAZEは鉄壁のチームワークを誇る。

耕平の破壊力とKAMIKAZEの職人的上手さが見事に噛み合っており、死角なしという感じ。


それでも大谷は、破壊王子の故郷凱旋に際し、

最高の舞台を用意し、同時に最大の試練を課した格好である。


思い出すのは、『破壊王7回忌追悼大会・第1弾』となった7・3後楽園ホール大会。

この日もメインを務めた大地は、高山善廣に完膚なきまでに潰された。

11分余、帝王のランニング二―を食らって大の字となった。


なにもできなかった。

なにも通用しなかった。

悔し泣きの大地は、声を振り絞ってこう言った。


「父親と一緒に闘うのは今日で終わり。

次からはボクひとりでリングで闘って、父親は上で見てくれていたらいい」


もう父の名前に甘えることは許されない。

大地のなかに芽生えた、心の独り立ち宣言だった。


初のタイトルマッチ。

大地は、父の形見であるガウンに身を包んで入場。

自分自身にプレッシャーを掛けているようにも受け取れる。


一言でいうなら、凄まじい試合だった。

タイトルマッチに相応しい試合だった。

28分2秒の激闘。


耕平&KAMIKAZEの攻撃には、いっさいの容赦もなければ、

大地の技を受けてやろう、などという妥協もまったく見えない。

いつも以上に厳しく、ひたすら大地を潰しにかかる。


耕平のパイルドライバー、ポールスター、ダイナマイト・二―が炸裂し、

KAMIKAZEは得意のムーンサルトだけではなく、

えげつない関節技から裏技まで繰り出した。


それでも大地は立ち上がっていく。

耕平が両腕で十字を切って、爆殺キックへ。

ダウンした大地に「立て!」「立て!」と連呼するさまは、

まるで橋本真也が乗り移ったかのようだった。


耕平は、破壊王の最後の付人を務めた男。

もっとも橋本に期待を掛けられていたのと同時に、

試合となれば、もっとも厳しい攻撃を食らいまくってきた。


今も確実に、破壊王の遺伝子は現ZERO1マットに息づいている。

仁王立ちする耕平をみたときに、ゾクリとした。

その耕平の足にしがみつくようにして立ち上がる大地。


もしかしたら、顔面に二―を食らった時点で記憶が飛んでしまっているのかもしれない。

それでも、絶対に相手から目を離さないし、雄叫びをあげてエルボーを打ちこんでいく。


「目を離すな! しっかり相手を見ろ!」


新日本時代から、コーナーに控える橋本真也の怒鳴り声を何度聞いたか分からない。

その教えを、後輩たちはみんな肝に銘じてきた。

永田裕志も大谷晋二郎も中西学も藤田和之も、あの安田忠夫も…。


もちろん、大地は父の教えを受けたことがない。

しかし、本能がそうさせる。

破壊王の遺伝子がそうさせる。


独り立ちを心に決めた大地は、もしかしたら父と闘っていたのかしれない。

デビューから5カ月半、まぎれもなく橋本大地のベストマッチだった。

折れることのない心と、鋭い眼光。

この闘い、ぜひ皆さんに見ていただきたい。



   【サムライTV 放送日】


●9月6日(火)=ZERO1『火祭り2011 総集編』(23時~25時、他)


●9月7日(水)=ZERO1『破壊王7回忌追悼大会・第2弾』8・27岐阜・セラトピア土岐

           (23時~25時、他)


 

 【放送スタッフ】


 実況=高橋大輔(※新婚) 

 解説=金沢克彦

 ディレクター=柿崎浩二(※イケメン・ディレクター!?)



 【注意事項】                                                  


 絶対に、お見逃しなく!                 

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