8月14日、今年の新日本プロレス『G1クライマックスⅩⅩⅠ』が終わった。

夏の終わりを感じる。

それと同時に、私自身まだその余韻が冷めやらない。


本来であれば、もう次なるビッグイベント、

8・27決戦に頭を切り替えなければいけないところ。


メジャー3団体が集結する『AII TOGETHER』(日本武道館)と

IGFの『INOKI GENOME~Super Stars Festival 2011~』(両国国技館)である。


そこで、『G1』の話題は一応これをもって今年は終わりにしよう。

いつまでも余韻に浸っていては、前へ進めない(笑)。


では、今年の『G1』公式戦から、私が選んだ

ごく私的なベストマッチ・トップ10を記してみたい。


ただし、実際に自分の目で、生で観ていない8・6名古屋大会、

8・7大阪大会、そして別格の優勝決定戦は選考から外させてもらう。

そこは、ひとつご了解のほどを。


金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba

 ①永田裕志vs棚橋弘至(8・1福岡国際センター)

  ○永田(18分19秒、バックドロップホールド)棚橋●

 

 ②天山広吉vs小島聡(8・14両国国技館)

  ○天山(14分10秒、片エビ固め)小島●


 ③中邑真輔vs天山広吉(8・5後楽園ホール)

  ○中邑(13分43秒、片エビ固め)天山●


 ④MVPvs中邑真輔(8・1福岡国際センター)

  ○MVP(12分02秒、イリバーシブルクライシス)中邑●


 ⑤後藤洋央紀vs中邑真輔(8・13後楽園ホール)

  ○後藤(13分13秒、片エビ固め)中邑●


 ⑥矢野通vs棚橋弘至(8・13後楽園ホール)

  ○矢野(16分57秒、片エビ固め)棚橋●

 

 ⑦中邑真輔vs鈴木みのる(8・14両国国技館)

  ○中邑(12分13秒、片エビ固め)鈴木


 ⑧鈴木みのるvsカール・アンダーソン(8・5後楽園ホール)

  ○鈴木(10分59秒、体固め)アンダーソン●


 ⑨中邑真輔vsカール・アンダーソン(8・10代々木競技場・第二体育館)

  ○中邑(12分11秒、片エビ固め)アンダーソン


 ⑩ジャイアント・バーナードvsヒデオ・サイト―(8・1福岡国際センター)                      

  ○バーナード(9分47秒、体固め)ヒデオ●

  


 さて、如何でしょう?

試合に順位をつけるのは本当に難しい。


特に、上位のトップ5まではどれが1番であってもおかしくない。

会場の空気の違い、観客の入りと熱気、観戦していた場所と、

そういったシチュエーションも大きく影響する。


極端な話、生で観たときにはそれほどの試合に映らなかったものが、

テレビ観戦して細かい攻防まで見えたときに、素晴らしい闘いと感じることもある。

だから、今回は生観戦に限定してみた。


それほど、プロレスというのは、環境にも左右されるし、思い入れにも左右される。

だから、名勝負、好勝負はこうでなければ、などという定義や枠は存在しない。


ファンであれ、私のような記者であれ、心に残った試合が名勝負。

だから、私が選考したものも、ファンがそれぞれに選んだものも、

その価値は同じだと思う。


ただ、私の場合、一瞬でもいいから見たことのないインパクトを感じたり、

素晴らしい受身の技術を見たり、緻密な攻防を見たりした試合が強く印象に残るタイプ。

その結果が、こうなった。


もちろん、ここに入れたい試合は他にも山ほどある。


後藤vs天山、小島vs中邑、アンダーソンvsソンブラ、後藤vs小島、真壁vs永田、鈴木vs井上、

棚橋vs裕二郎、真壁vsバーナード、永田vs高山、鈴木vsストロングマン、内藤vsバーナード…

考えていたら、もうキリがない(笑)。


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 そんな中で、このランキングに落ち着いたのは、

 やはり初優勝した中邑の試合内容が 

 飛びぬけていたことが大きい。


 もう一つの要因をあげるなら、  

 完走できるかどうかさえ不安視されていた天山が

 死力を振り絞って、猛牛復活を印象付けたことだろう。


 中邑に至っては、10試合のうち5試合に絡んでいる。

 特に、印象深いのは2試合。

 初戦でMVPを覚醒させ、8・5後楽園では猛牛を完全復活                                                            

 へと導いている。


 その天山は、我々の予想と不安を完全に吹き飛ばした。

 ラストの小島戦までたどり着く。

 天山を支えていたのは、その意地だけ。


 それに真正面から応えたのが小島。

 『G1』公式戦でありながら、特別な試合。

 まるで、もうひつの優勝決定戦のように国技館が爆発した。


 結果、命のやりとりのような

 危険な攻防と化してしまった部分もあるが、

 2人の歴史を知る者からすれば、仕方のないことだった。

 

 右眼窩底骨折により、欠場に追い込まれた小島。

 2日前に、彼からこんなメールが届いた。



「もうアドレナリンが出まくって、自分を抑えきれなかった結果なんです」


天山も同じ思いであったろう。


ベストマッチの1位に選出した永田vs棚橋戦と

5位の後藤vs中邑戦は完成度で甲乙つけがたい。

最高のテンションで最高の技術をぶつけ合ったタイトルマッチクラスの闘いだった。


あえて、永田vs棚橋をもってきたのは、IWGP王座を懸けて両者が相まみえた

4・3後楽園ホール大会の同一カードを内容で上回ったと感じたから。

もしかしたら、そこにナガダンス初公開のインパクトもプラスアルファされているかも(笑)。


カール・アンダーソンは、やはり素晴らしい技術を披露した。

最後のガンスタン1発に懸けるための試合の組み立てがいいから、白熱する。

鈴木戦では、ガンスタンvsスリーパーがテーマとなり、

中邑戦ではガンスタンvsボマイェがテーマとなった。


ちなみに、10位のバーナードvsヒデオ戦は決して遊びで入れたわけではない。

ヒデオのカリビアンデスグリップを食って、

バーナードの巨体がマットに沈んでいく光景は、まさに圧巻。

これが一瞬のインパクトである。


 最後になるが、ここに準優勝した内藤哲也の名前が入っていない。

率直にいうなら、内藤は現状レベルで満足していてはいけない選手だということ。

すべての公式戦において、ファイナルの中邑戦でみせたような闘いを求めたい。


 大きな期待感をこめてのランク外である。


 さて、みなさんが五感で感じ、心が震え、感情を揺さぶられたベストマッチは、

どの試合でしょうか?