新日本プロレス『G1クライマックスⅩⅩⅠ』が全国で盛り上がりをみせている最中、
もうひとつの真夏の祭典、ZERO1『火祭り』リーグ戦の最終戦が、8・7後楽園ホールで開催された。
当日はあいにくの雨模様…というよりも豪雨に見舞われた。
私の自宅付近(埼玉県A市)では午後から土砂降りのうえ、ひっきりなしに雷鳴が轟くありさま。
これでは客足に影響するなあ、と不安を抱きつつ会場に到着すると、
この悪天候にも関わらず、ホールは7割がた観客で埋まった。
奇跡といわれた3・6両国大会の大成功以来、確実にZERO1は再生、復活への道を歩んでいる。
Aブロックで生き残ったのは、曙(得点6)と佐藤耕平(得点5)。
曙は引き分け以上、耕平は勝てば決勝進出が決まる。
過去の対戦成績は、2戦2敗と耕平にとっては分の悪い相手。
案の定、曙の肉弾プレスを食らいまくった。
だが、耕平は彼の弱点でもある人の良さをかなぐり捨てた。
師匠・橋本真也譲りの重爆キックを第64代横綱の後頭部へ。
この一撃で、2年ぶりのファイナル進出を決めた。
さて、この先は、大川昇カメラマンが提供してくれたプロの写真とともにリポート。
プロの撮った本物の絵は、文章を超えて迫ってくる。
Bブロックは、田中将斗(得点4)と関本大介(得点5)の公式戦にすべてが委ねられた。
田中は勝利が絶対条件であり、関本は引き分け以上で進出。
これまでも組んでよし、闘ってよしの試合を展開してきた両雄だが、関本が田中に勝ったのは一度だけ。
それが2年前の『火祭り』公式戦だった。
あれから2年、さらに進化を続ける田中と関本。
開始からスパート。
エルボー合戦から関本が大砲のようなドロップキックを放つと、田中は場外まで吹っ飛んだ。
場外戦を契機に優位に立った田中が、テーブルクラッシュを狙ってコーナーへ。
そこでスクっと起き上がった関本は、なんとエプロン上から高角度投げっぱなしパワーボム。
これで机が真っ二つに折れて、田中は大ダメ―ジ。
しかし、カウント14が入ったところで、自ら田中をリングへと投げ入れた関本。
リングアウト勝ちなど望んではいないのだ。
さらに、STFで絞めあげていく……。
田中はスピードで対抗。
関本の喉元へカチあげるようなラリアット。
時間がない。
田中がスライディングDの2連発。
それでも関本はキックアウトしていく。
まさに死闘だった。
30分間、ノンストップで動き回り、勝負を賭けた両雄。
タイムアップのゴングを聞いて大の字。
観客席からの拍手が鳴りやまない。
”延長コール”もいっさい出なかった。
ようやく立ち上がった田中のほうから歩み寄って関本と握手。
このあと2試合を挟んで、いよいよ優勝決定戦へ。
2年ぶりの決勝進出、7年ぶりの優勝を狙う佐藤耕平。
一方、6年連続7度目のエントリーで初めてファイナルに駒を進めた関本大介。
10年前、ZERO1道場の合同トレーニングでともに汗を流した仲間でもあり、ライバルでもある2人。
ゴングと同時にしばしの睨み合いから、全力で突進しリングのど真ん中でロックアップ。
肉体の限界を超えて、2人はぶつかり合った。
耕平の強烈な蹴りをラリアットで迎撃する関本。
周知のとおり、両者とも日本を代表するジャーマン・スープレックスの使い手。
耕平の二段式ジャーマンか?
関本のぶっこ抜きジャーマンか?
勝負を決したのは、両腕のクラッチを離さず決めた関本のジャーマン・スープレックス・ホールド2連発。
試合タイムは、16分9秒。
じつに関本は、46分9秒を闘い抜き、10年間夢に見た”火祭り刀”を手に入れた。
さらに、NWAプレミアムベルトも贈呈。
優勝インタビューを受ける関本。
怪物も人の子だった。
「30分ドローのあと、田中選手からどんな言葉を掛けられたんでしょうか?」
「なにがなんだか、自分はちょっと記憶にございません…」
この返答に会場は和やかな笑いに包まれる。
リング下からその光景を見守っている大谷晋二郎の笑顔がいい!
大川カメラマンはしっかりと、その大谷にピンを合わせている。
「10年前、初めて火祭りに出させてもらったときは20歳の若造でした。
このために一生懸命、毎日トレーニングしてきたんで。
その10年間の成果がやっと報われたような気がします」
セレモニー後の囲み取材でも、あくまで謙虚に朴とつとして語る関本。
今大会、私は後楽園ホール北側のステージ席に設置されたサムライTVの放送席に釘付け状態。
そこで唯一、携帯カメラを操作できたのは、メインイベント終了直後、
高橋大輔アナウンサーが優勝者インタビューのため、リングに上がったとき。
放送席からの撮影という限定された条件のもと、自分の撮った絵がこれ。
みんな、どうだい?
なかなかカメラマン心があると思いませんか(笑)。
『火祭り』優勝決定戦(8・7後楽園ホール)の模様は、
サムライTVにて明日(9日)、23時~25時まで放送。
もうひとつの真夏の祭典、灼熱の闘い絵巻をお見逃しなく!