真夏の祭典・新日本プロレス『G1クライマックスⅩⅩⅠ』 までカウントダウン。

いよいよ開幕まで、あと3日と迫ってきました。


 まずは、少しばかり宣伝から。

現在、新日本プロレスHPの『オフィシャル・ウェブサイト』 と携帯サイト『新日本プロレス公式モバイル』において、”最強の予想屋!?”という触れ込みのもと(笑)、わたくし金沢克彦の「G1クライマックス優勝予想&大展望インタビュー」が前編(Aブロック)、 後編(Bブロック) に分けて掲載されています。


 どうぞ、のぞいてみてください。自分のご贔屓の選手の名前が上がっていない場合、ムッとするかも知れませんが、あくまで予想です。これは自分なりに冷静に分析した結果であり、公平な目で見ているつもりなので、ひとつご理解のほどを!


 では、今回のメインテーマ。タイトルを「読者のみなさんへ」としたのには、理由があります。当ブログを開設してから早3週間余。私にとっていちばん予想外だったのは、読者のみなさんから、数多くの書き込み、コメントをいただけたことです。


 基本的に、これまで自分がやってきた仕事は、それが週刊誌であれ、テレビ媒体であれ、ほぼ発信する側の一方通行でした。ところが、ブログというジャンルはすべて自分ひとりに責任が掛かってくるもの。

そこで、読者の方から様々な感想、意見、励ましの言葉をもらえることが、これほど嬉しいものだとは思いませんでした。


 率直にいって、それらのコメントのすべてに目を通すことが、ブログを書くうえで大きなモチベーションになります。自分にとっては斬新なことであり最大の発見です。


 ただし、当ブログでは、コメントを書き込んでくれた人たちそれぞれに返答ができないシステムになっているので、今回は読者のかたの意見を参考にしつつ、その回答のつもりでコラムを書いてみたいと思います。

                 

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 まず、前回(28日)アップのブログ『両国ピーターパン、DDTの勝利!』に関して気になるコメントがあった。ペンネーム=ヘラクレス・ローンホークさんで、タイトルは「僕が古いんでしょうね」とある。 まあ、ペンネームが「ヘラクレス・ローンホーク」となっている時点で、かなりキャリアのあるプロレスマニアの人であることは容易に想像できる。 

  ちなみに、このローンホークという外国人選手は、1983年8月~9月の新日本『ブラディ・ファイトシリーズ』に期待の超大型黒人選手として初来日。ところが、あまりのショッパさに途中帰国というていたらく。新日本来日ガイジン史上最悪のレスラーとして、当時ファンの記憶に刻まれている(笑)。


 それはともかく、こちらのローンホークさんの意見を要約すると、「DDT=エンターテインメントだと思っている。最高のショ―を見せてくれる集団という位置づけならばかまわないが、どうしても自分が昔から見続けている好きなプロレスという概念からはほど遠いのです。それがプロレスとして存在する限り、一般にはなんとなく説明しにくい分野のもの。こんな硬派で頑固なファンがいてもいいと思うのでが、いかがでしょうか?」というもの。


 私はまったくかまわないと思う。

自分の支持する団体も、好きなレスラーも十人十色だし、プロレスという概念はあまりに幅が広すぎる。

格闘技といえば格闘技だし、エンターテインメントといえばエンターテインメント。

 それらすべてを含めてプロレス。


 私自身も『週刊ゴング』の編集長時代から、DDTという団体の位置付け、扱いにはそれなりに頭を悩ませてきた。正直いって、11年前、東京ジオポリスで初めてDDTの大会を取材したときには唖然とした。

 

 まともにプロレスをできる選手、プロレスラーを名乗っても恥ずかしくない選手は、高木三四郎と石井智宏(特別参戦)の2人しか見当たらなかったからだ。


 それを思うと、現在のDDTの躍進ぶりは称賛に値する。

私がいちばん評価しているのは、ファン目線に立った興行の作り方であったり、スキットや映像、斬新な発想の部分。AKB48の大人気を意識して、すぐにDDT総選挙を仕掛けてみたりと、そういった世相にもじつに敏感である。


 ただ、もちろん私にしても手放しで褒め称えているわけではない。

たとえば、7・24両国大会のメインイベントで組まれたKO-D無差別級選手権(石川修司vsKUDO)に関して。KUDOは高木社長が10年前にスカウトした選手で、現在ユニオン所属の石川も同時期に入門した男。そういう経緯もある両選手が大舞台のメインを締めたことで、高木社長も感極まっていた。


 ただし、試合を冷静に見ていると、私にはやや単調で大味な闘いに映った。一昨年のメイン(HARASHIMAvs飯伏幸太)、昨年のメイン(関本大介vsHARASHIMA)と比較すると、内容的には敵わないというのが正直な感想。無論、両選手の気持ちは存分に伝わってきたのだが……。


 やはり興行を締めるには、メインイベントがどの試合よりもインパクトを残さなければいけない。あえて注文をつけるとすれば、そこが反省材料だと思う。「来年、日本武道館進出!」の発表事がメインではなく、そちらはあくまでサプライズなのである。

   

金沢克彦オフィシャルブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈!?」Powered by Ameba


 じつは、もうひとつ、私の中でどうにも消化できないものが今も心のどこかに引っ掛かっている。

それは1年前の出来事。


 先ほど触れたように、昨年のDDT7・25両国大会のメインを締めたのは、KO-D無差別級王者・関本にHARASHIMAが挑戦した一戦。結果は、激闘の末、24分21秒、スワンダイブ式蒼魔刀で怪物・関本を破ったHARASHIMAが新王者となった。


 これはこれで、メインを飾るに相応しい好勝負だった。ところが、私はその前日に凄いものを見てしまった。ZERO1の7・24後楽園ホール大会である。

 

 当日、『火祭り」開幕戦の公式戦でいきなり組まれたのが、大谷晋二郎vs関本大介。まさに死闘だった。時間を引き延ばす気など毛頭ない両選手は序盤から勝負に出ていた。その挙げ句、30分時間切れのドロー。私が見る限り、昨年のZERO1の全試合の中でも、間違いなくベスト3に入る名勝負だった。


 大谷を相手に、これでもか!の死闘を繰り広げた関本が、翌日、HARASHIMAに敗れるという現実。

それはそれ、これはこれ、でいいのだろうか?

 前日の大谷vs関本を見ていない人間にとってはいいのだろうが、見てしまった人間からすると、なにか割り切れない思いが残る。


 だから私の中では、1年たっても、あの2日間が忘れられない。

消化できないままのテーマとしてまだ残っているのだ。


 特に、ここ数年、団体交流が頻繁に行なわれるようになってきた中で、逆にファンがこだわりを捨ててしまったような気もしている。これはこれ、あれはあれ……。


 自分のご贔屓の団体のリング以外で起こったことは見て見ぬふり。そんな空気も感じてしまう。

日本のプロレス団体のリングで行なわれているものがすべてプロレスであるならば、見て見ぬふりは団体交流が招いた弊害といえなくもない。


 団体の看板を背負ってやるからには、飯伏vsデヴィットのようであってほしい。両団体を股にかけ6戦して3勝3敗の五分。そう胸を張っていえる勝負であってほしいものだ。


 いつの間にか、また原稿が長くなってしまった(笑)。

もうひとつ、同じヘラクレス・ローンホークさんが以前、書き込みをしてくれたコメントで気になるものがあった。

 

 20日に更新した『棚橋弘至と四天王プロレス』に関するコメント。このコラムでは、7・18札幌大会のIWGP選手権(棚橋vsジャイアント・バーナード)を取材した総評として、「私はここ数年の棚橋の試合から、彼が拒絶す世界観である闘魂を逆に感じてしまう。さらに、身を削った闘いに全盛期の全日四天王プロレスがだぶってくる」と記した。


 それに対して、ローンホークさんから「絶対に棚橋からは闘魂のたたずまいは感じられない。その対岸にいる人でしょう」とのコメントがあった。


 ここで、私が言いたい闘魂とは、その”たたずまい”ではなく、”覚悟”を指している。

私が最初にそれを感じたのが、じつは3年前の4月、全日本プロレスの『チャンピオン・カーニバル』に棚橋が初出場したときだった。


 当時の棚橋はいわゆるチャライといわれるキャラを完成しつつあった。全日本のリングでも、これ見よがしのパフォーマンスを展開し、全日ファンから気持のいいブーイングを浴びていた。まさに、飛べるリック・フレアーの様相である。


 公式戦4試合のうちの3試合目。棚橋は川田利明と30分時間切れドローの熱戦を展開した。あの川田を相手に一歩も引かなかったが、その代償が大き過ぎた。


 ご存知のとおり、全日本のリングではコーナーマット(ターンバックル)が3点仕様となっているから、トップロープ上で足もとが安定する。当然、ジャンプ力も増す。


 棚橋からすれば、十八番のハイフライフローもさらに威力を増すわけだ。ところが、川田戦でハイフライフローを自爆。これで棚橋の左膝が完全に壊れた。

 
 のちの診断結果で、「左膝前十字靱帯断裂及び外側半月板断裂」の重傷だと判明した。

そんな状態で迎えた後楽園ホール5連戦の最終日。

試合前、ホールの非常階段の踊り場で手すりに摑まりながら、ゆっくりと歩く棚橋を見てしまった。


 私の横でその様子を見ていたカズ・ハヤシは「これは無理ですよ、見ていられない」と表情を曇らせた。だが、棚橋はそこから2連戦に挑んだ。痛み止めの注射を6本も打って、リングへと向かった。


 リーグ戦の最終戦、小島聡を電光石火(走り込んでのスモールパッケージ)で仕留めた。18分10秒の激闘。これで決勝進出を決め、いよいよ諏訪魔との優勝決定戦へ。


 これも凄まじい試合となった。棚橋の状態を知っているだけに、見ているほうが辛くなる。しかし、そんな私の甘ちょろい気持ちなど、どこかへ吹き飛ばすかのように両者は闘い続けた。棚橋vs諏訪魔はもう充分だろうという”限界”のさらに先にある山を二つも三つも越えてみせたのだ。


 じつに29分49秒、諏訪魔がラストライドで棚橋をねじ伏せて初優勝。

大会終了後、痛む膝をアイシングしている棚橋に話し掛けてみた。


「オレ、今日はタナにね、闘魂を見てしまったよ!」


「そうですか…。もっともボクに似つかわしくないものを見せてしまいましたか」


 そう言って、棚橋は笑った。

プロレスはナマモノであり、逃げ道のない過酷な商売である。

だからこそプロレスラーは、ときに限界を越えた超人たりえる。

 

 3年前の、あの日、あの瞬間、私は棚橋弘至に闘魂という名の覚悟を見た。

それ以来、試合へと望む棚橋の覚悟が、彼の表情を見ただけで伝わってくるようになった。


 今回、ヘラクレス・ローンホークさんのコメントに感じるものがあったので、こういったコラムを書かせてもらった。やはり、一方通行ではつまらない。

 

 せっかく、みなさんが自由にコメントを書きこめる欄があるのだから、私に対する反論があってもいいし、ファン同士による意見交換の場となってもいい。


 かといって、一応、私が主役なので、おいてきぼりにはしないでほしい(笑)。

今後も、みなさんから忌憚のない意見を寄せてもらいたい。


 ただし、エスカレートしすぎて、某2ちゃんねるのようにはならないようお願いしますね!