こんにちは。
本日は、表題のテーマについてお話をしたいと思います。
制度としては、2021年4月からスタートをしているものですが、あまり周知されていない事や、制度を活用している企業数もまだまだ少ないとのことですが、奨学金を返済しながら生活をしている若者にとっては、この制度のある企業に就職するメリットも大きいのではないかと思いまして、ご案内をさせて頂きました。
かく言う私も奨学金を借りて大学を卒業致しましたが、就職して数か月後から返済が始まり、長期の返済が課せられました。
借りたものですから、返さなくてはなりませんが、若い年齢で給与も十分に稼げない時期には、大きな負担になっていることは事実です。
表題の『企業の奨学金返還支援(代理返還)制度』とは、企業が社員に対して貸与型奨学金の返還額の一部もしくは全額を支援する取り組みとなります。
これまでは、各企業から社員へ直接支援をする方法(給与の一部等)のみでしたが、上述の通り2021年4月より企業から日本学生支援機構に直接送金することが可能となっています。
これにより、社員(奨学金の返済義務者)が、奨学金を返還する必要がなくなり、給与を生活費やその他費用に活用できるといったメリットも生まれます。
一方、企業側としては、返還分を給与として「損金算入」出来る点や、社会保険料(返還支援金を給与に上乗せしていた場合に比べ)の負担軽減につながります。
その他、離職率の低下や企業活動のPRなどにも活用できる点などがメリットとして挙げられます。
特に、地方出身者のUターン就職等のきっかけになるのではないかと期待されています。
『企業の奨学金返還支援(代理返還)制度について
労働者福祉中央協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、現在の親世代で自身が学生時代に奨学金を利用していたと答えた人は、34.9%。(有利子41.2%・無利子30.1%)
令和2年度学生生活調査結果(JASSO独立行政法人日本学生支援機構)によると、奨学金を受給している大学生の割合は、49.6%、短大生では56.9%となっています。
受給者は年々増加傾向にあるようです。
借入額平均では、約300万円程度となっています。
親世代も15年近くかけて返還をしてきており、高校・大学等の学費の高騰も社会問題となっている現状では、奨学金を借りずに大学進学をすること自体が、大変難しい状況になっているのが良くわかります。
さて、今回のレポートで何をお伝えしたかったかと申しますと、教育費に対する多額の支出とともに、国の宝である若者に対する国や自治体の支援があまりにも少ないように思えてならないと言う事です。
親世代の収入によって、子どもの進学先が左右されてしまうということは、格差社会をさらに助長していってしまい兼ねないと危惧をしています。
企業による奨学金返還支援(代理返還)制度もまた、あくまでも民間企業側に対応を委託しているだけであって、抜本的な解決方法になっているとは言えません。
海外には、教育費が無料(もしくはほぼ無料)の国が存在します。
特にヨーロッパでは、留学生でも学費が無料で学位を取得することが可能な国があります。
↓参考
代表的な国としては、北欧のノルウェーがあります。
国籍や学士・修士などの学位に関わらず、学費が無料となります。(公立大学)
当然ながら、英語等の語学力が必要になるケースではありますが、教育レベルも高く魅力的な国の一つです。
その他、フィンランドやドイツなど多くの国では、学生への支援がしっかりと定着しています。
ところで、日本では、国立大学の場合になりますが、国費留学生の授業料は無料になっているのをご存じでしょうか?
また、私費留学生には、授業料減免制度を設けている大学もあります。
私立大学でも、授業料の免除や減額、補助制度などがあり、その一部を国が援助をしています。
奨学金制度も外国人留学生の方が優遇されています。
国費留学生・・・月額14万円強
学部留学生・・・月額12万円弱
この奨学金が支給されています。
さらに、生活費の支援や留学生会館など無料の居住スペースなども与えられています。
私費留学生にも、返済不要の学習奨励費が支給されるなど、至れり尽くせりの制度になっています。
国内では、奨学金の返還に遅延があれば遅延金が加算されたり、ひどい例では返済不能になり、ブラックリストに入れられた学生もいるようです。
晩婚化が進み、少子化が進む社会問題の根底には、奨学金という名の学生ローンの返済負担なども、原因のひとつなのではないかと思います。
この30年間、先進国では日本だけが賃金は上がらず、国税庁『令和3年分 民間給与実態統計調査結果』によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、「443万円」。
平均給与ですから、若い世代の給与水準は、さらに厳しいものになります。
結婚をし、子どもを育てるということすら、厳しい状況にあるという現実・・・。
さらに、増税と物価高という負担増という状況にあることが、どれほど厳しい状況にあるかということがわかるかと思います。
■主要国「平均年収」ランキング…日本は38ヵ国中21位
OECDによると、2022年、平均年収(名目ベース)が最も高かったのが「スイス」で97,327米ドル。「アイスランド」「ルクセンブルク」「米国」「ノルウェー」と続きます(関連記事: 『世界主要国「平均年収」ランキング…1位~30位』 )。
【主要国「平均年収(名目/為替レート換算)」上位10ヵ国】
1位「スイス」97,327
2位「アイスランド」97,233
3位「ルクセンブルク」79,706
4位「米国」77,463
5位「ノルウェー」67,954
6位「デンマーク」67,036
7位「オーストラリア」64,294
8位「カナダ」60,975
9位「アイルランド」55,781
10位「オランダ」55,050
出所:出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE
※2022年数値、単位は米ドル ※従業員(雇用者)1人当たりの平均年収(年平均賃金)
※数値は国民経済計算(National Accounts)ベースでの雇用者賃金総額を年平均雇用者数で除した値でフルタイム従業員換算ベースに補正
言葉だけではない現実的な「内需主導型経済」へ早期にシフトをしていかないと、本当に取り返しの利かないことになるのではないか・・・とても心配です。
また、若い世代から、可能な限り資産運用の智慧を身に着けることも、益々大切になってくると思います。
コツコツと準備していくことで、「将来を確定する」こと。
ひいては、自分自身と家族を守る術となると思います。
今回は、かな~りFPっぽいレポートにしてみましたが、如何でしたでしょうか?
たまには、こうしたテーマでもお伝えしていきたいと思っております。
引き続き、お付き合いくださいませ。