近年、大きな地震での被害や、豪雨による水害など度重なる自然災害で多くの人々が辛い思いをされているかと思います。
全国どこに住んでいても、「安全」は保障されない時代となってしまいました。
災害等については、予見することも難しいケースもありますし、「住まいを変える」なんてことは簡単に出来るものではありません。
そこで今回は、『災害時にご自宅が全壊した場合に、住宅ローンはどうなるのか・・・』という点について、考えていきたいと思います。
もし、地震や津波・河川の氾濫等で自宅が罹災してしまったら・・・と思うと想像もしたくないことですね。
でも、実際に被害に遭った場合には、様々なことで経済的・精神的なダメージを受けることになります。:
例えば、一時避難として賃貸住宅に引っ越しする費用だったり、自宅の建て直し費用なども大きな問題です。
さらに、大きな負担になるのが罹災して全壊した元の自宅の「住宅ローン」です。
基本的に、全壊しても津波や河川の氾濫等で流されても、返済中の住宅ローンはそのまま残ります。
(これは、自動車ローン等も同じことが言えます。)
災害で失ってしまった自宅のために、ローン返済をし続けていくというのは、精神的にも経済的にも大きな負担であり、苦痛。
再建をした場合には、新たな住宅ローンも含めて返済していかなくてはならない二重債務になるリスクもあります。
そこで、新設されたのが、被災者のローン負担を軽減する『自然災害債務整理ガイドライン』です。
これは、借入をしている金融機関との話し合いや簡易裁判所での特定調停を経て、ローン返済額の減額や免除を受けることが出来る制度です。
対象になるのは、2015年9月2日以降に災害救助法が適用された自然災害によって住宅ローン等を返済できない個人または個人事業者となります。
(住宅ローンの他、自動車ローン、事業用ローンも対象になります。)
※災害救助法が適用になった自然災害例(2016年)・・・熊本地震・台風10号・鳥取県中部地震・新潟県糸魚川市大規模火災の4件
具体的な流れとしては、①預貯金などから返済が出来るだけ返済をし、②返済不能の部分については免除や減額の協議をします。
(財産の一部と罹災時の公的給付等支援金は手元に置いておけます。)
実際の協議については、個別事情などを考慮して進めていくことになります。
当然ながら、ローンの免除・減額については、借入先金融機関の同意が必要となりますが、下記のような要件が必要となります。
①世帯年収730万円未満であること
②ローン返済額と新たに借りる家賃などの負担が総額で年収の40%以上になることなど
※実際には、家族構成・世帯主の年齢・ローン残高なども含めて金融機関の判断によります。
※一般的には、破産手続き等をした場合には、その後のローン借り入れが難しいケースや、信用情報登録がなされますが、自然災害を理由とする場合にはそうした弊害は起こらないことになっています。
また、金融機関への申し立てにより、ローン返済を一定期間猶予を受けることも可能性としてはあります。
震災後は何かとお金が必要となりますし、収入が減少することもありますから、なるべく現金を手元に残しておくといったことも重要になります。
震災後に失職をしたり、収入が減少するケースなど様々な要因でローンが返済できない(遅れる)ケースには、金融機関としっかりと協議をしていくことが大切です。
今回は、住宅ローン中心にお話をしましたが、自動車ローンなども大きな負担になります。
東日本大震災の際には、津波で自動車が流されてしまった方も多かったのですが、その多くの方々が失った自動車のローンを返済していました。
解決方法の一つとして、自動車保険の見直しも検討されると良いかも知れません。
通常では、地震を原因とした津波や被害については免責となる自動車保険がほとんどですが、中にはこの地震等被害にも備えることができる自動車保険も存在します。
個別商品のご案内はここでは控えますが、被害のリスクが高い地域にお住いの方には、特にオススメの特約です。
「地震等による車両全損一時金特約」や「車両地震特約」等の名称にて特約を付保することができる保険会社もあります。
詳細お聞きになりたい方は、個別にてご相談下さい。
また、火災保険にも、地震保険は付保しておくと安心です。
特にですが、「家財保険」に地震保険を付保しておくことで、実際の地震被害の際には保険金の支払い等で役立った経験もございます。
併せて、ご興味ある方は個別にてご相談下さい。
以上、長文となりましたが、昨今の災害について何かしらお役に立てることが出来たらと思いまして、レポートさせて頂きました。