「臼杵山」には2つのピークがある。標高はほとんど同じだが、南側のピークに三角点と山名標がある。祠 ほこら は北側のピークにある。
現在は、木製の祠と石の祠が並んでいて、動物像も2対置かれている。内側の動物像(白丸↓)が、古くからある「オオカミ型」狛犬で、外側のは最近建てられたキツネ像だ。
もともと‥‥ 50年ほど前には、石祠と「オオカミ」像だけだった。その後、私の記憶では、木の祠とキツネ像が、はじめは南峰に設けられた(写真が残っていないので、記憶が正確かどうか自信がないが)。その後、両者がいっしょになって北峰に置かれた。つまり、現在の姿は、新旧の2社が合体していることになる。
石祠の近写。
右側の「狛オオカミ」↓。「あ形」で、口をあけている。牙や犬歯ではない人間のような歯並びが彫られている。
左の「狛オオカミ」↓。「うん形」だが、ばらばらに壊れてしまったのを組み直している。よく見ると、こちらの口もとにも、歯並びが線刻で彫られている。もとは、右側と同じように頭が地面から浮いていたのだろうが、首が切れてしまったので、下から石をあてがって顎を支えている。
なお、左右ともに、尻に「犬形」の尾をつけている。
右のキツネ↓。珠 たま を咥えている。
左のキツネ。経巻を咥えている。
足もと↑に、
『平成16年5月 吉日奉納 柏木野自治会』
という銘がある。「柏木野」は、「市道山」への登り口がある西麓の集落。「木の祠」とキツネは、元郷など北麓ではなく、西麓の人びとが設けた社 やしろ なのかもしれない。
社前には、石灯籠?も1対ある↓。
右の「石灯籠」↓。胴に「臼杵宮」と彫られている。「臼杵宮」が、――「石祠」と「狛オオカミ」の――社の正式名称らしい。
このような現在の社の姿に至った経過を見ておきたい。古い写真から見ていこう。2014年10月↓。すでに2社合体したあとの北峰の祠だ。記憶を援用すれば、2014年以前に南峰に設けられた〈木の祠とキツネ〉が、北峰に移されて、「臼杵宮」に合体した。
「臼杵神社」という赤と白の幟が立てられている。それが、南峰にあった社――おそらく稲荷社――の名称だろう。
この 2014年10月の「狛オオカミ」の状態:
左のオオカミは、顎の下の石が大きすぎて、「お手」のような姿勢になっている。
2017年10月の状態↓。
左の「オオカミ」はバラバラに崩れてしまっている。この状態から、破片を組み直したのが現在の左「狛オオカミ」だ。それにしても、よく破片が全部残っていたものだ。
以上から、あくまでも憶測だが、こう考えることができるだろう。もともとは、北峰の「臼杵宮」があり「オオカミ神社」だった。当時は、「元郷」からの登山道は無かったから、祭っていたのは、東尾根の麓の「盆堀」か「荷田子」の住民だったろう。平成16年〔2004年〕に「市道山」の麓の「柏木野」の住民が、南峰に、稲荷社「臼杵神社」を設けた。桧原村の集合テレビ・アンテナ建設事業で北峰に「元郷」からの登山道が開かれると、ハイキング・コースが整備され、三角点のある南峰が正式の「臼杵山頂」として整備されて、「臼杵神社」は北峰に移され「臼杵宮」と合体した。こんな経過ではなかったろうか?
ともかく、崩壊と修復を重ねてきた左の「狛オオカミ」は、破片すべてが元のまま残されていることが判った。顎が地面に落ちていたために、歯並びがよく見えず、長年にわたって「猫」と見まちがえられていたが、修復された姿をよく見れば「オオカミ」像の一種だと納得できる顔立ちなのだ。
「臼杵山」には2つの峰がある。遠くから見ると、それがよくわかる。「御前山」中腹の「湯久保」から見ると〔2020年10月撮影〕:
「刈寄山」と「トッキリ場」のあいだの「入山峠」から〔2013年10月撮影〕:
「大岳山」「馬頭刈尾根」の「鶴脚山」から〔2020年10月撮影〕:
ちなみに、「湯久保」と「大岳山」には、それぞれ「オオカミ神社」があり、「臼杵宮」とよく似た「狛オオカミ」像が鎮座している。また、「大岳山」も前方後円墳形〔片方が高い2ピークの山体〕で、「臼杵山」の形と似ていなくもない。偶然だろうか? そこに何か、むかしの人の信仰を読み取りたくなってしまう。
「南峰」に到着↓。三角点標石もある。ところで、この「臼杵山」標柱の上のほうには、「Mt.Usugi」と書かれている。「うすき山」ではなく「うすぎ山」が正式名称らしい。この稜線部分の樹種はスギ,ヒノキが大部分で、ミズナラ,リョウブ,アカシデ,アセビなどの自然林がモザイク状にまじる。
YAMAP の口コミで、「市道山」方面に少し下ったところに富士山の見えるポイントがあるというので、行ってみる:
あんのじょう、木の間越しに、うっすらと見えるだけだ。春の空だからしかたがない。もうすこし近くの山も見えるようだ。「大岳山」↓。
やや遠くのこれは、「三頭山 みとうざん 」ではないか?
それにしても、樹木が成長して見通しが悪くなった。以前は、東のほうも見晴らせた。2017年10月撮影:
これから下りていく東尾根と、その向こうの平野部が見える↑。現在の眺望は:
次も 2017年10月の撮影、もう少し「市道山」方向に下った鞍部から「臼杵山」を振り返る:
「臼杵山」頂に戻って、東尾根の下山にかかる。山頂付近のアカシデの若葉↓。嫩葉がアントシアンで赤みを帯びる個体は、ブナ,ミズナラなどにも多い。
タイムレコード 20260502 [無印は気圧高度]
(1) から - 1152「臼杵宮」[834mGPS]1210 - 1215「臼杵山」※[838mGPS] - 1230「富士山」撮影スポット[802mGPS]1248 - 1215「臼杵山」※1305 - 1310「臼杵宮」分岐[822m] - (3) へつづく。





































