2025年12月30日 13:50-14:29 の軌跡 .
「寿福寺」墓地の背後の崖に築造された「やぐら群」。ここは、ほかの見学者も多く、独占して好きなように撮影できる環境ではないので、他の「やぐら群」のような網羅的な観察は断念した。それでも、「やぐら」の保存が良いので撮影も容易で、重要な特徴は把えることができた。
そこで、以下では「寿福寺やぐら群」のなかから特徴ある「やぐら」をかいつまんで紹介することとしよう。A,B,‥‥は、便宜上付した記号。
やぐらA,B↑。いずれも両袖がある。開口部は、かまぼこ形と方形。やぐらA↓は、かまぼこ形で、奥に2段の壇がある。
やぐらBは、近代歌人高浜虚子の墓所として使われている:
やぐらCは、かまぼこ形で両袖がある。袖部分(羨道)がやや長い。内部には、左に壇があり、左と奥に壁龕がある。
やぐらDの開口部は、かまぼこ形、やぐらEは不定形。いずれも両袖があり、内部には壇がある↓。
やぐらDの内部は、床も2段で、壁龕は、かまぼこ形。
やぐらF,G,H↓。やぐらFは「北条政子の墓」とされているもの。開口部が「入れ子式」になっているが、内部側も窪んでいるので「袖」はある。やぐらGは、小さいやぐらで、袖が無い。床面からの「入れ子」がある。
やぐらⅠ,J↓。これらのように、小さな浅い「やぐら」もある。これらはみな方形。やぐらⅠには袖が無いが、やぐらJにはあるようだ。
やぐらK↓。開口部が方形で、袖が無い。このような形態は、この「やぐら群」ではたいへんに稀れ。
やぐらLは、たいへんに大きいやぐらで、内部に入れ子式に複数のやぐらが掘られている。外枠の「やぐら」は両袖を具えている。
向かって左側の「内部やぐら」は、「ひさし」付き、袖は無い。
右側の「内部やぐら」2穴は、袖が無く、かまぼこ形。3つの「内部やぐら」はいずれも、床面中央より一段高い。
以上をまとめると、「寿福寺やぐら群」は、入口に袖(羨道)のあるものが多く、 「鎌倉時代様式」の示準とされることはうなづける。天井の段差は、入口の袖部分,および “入れ子式やぐら” であるLを除いては、見られない。しかし、内部のレリーフや石像の彫り出しを持つ「やぐら」は無く、“円柱” や「ひさし」もほとんど見られない。全体に、整った印象だが、山中の「やぐら群」に見られるような荒々しい壮麗さに欠けている。それが、もともとの特徴なのか、後世の改修・整備によるものなのかは不明だ。
「報国寺」は、寺伝では 1334年の創建と伝える。1333年の鎌倉幕府倒壊・北条氏滅亡の翌年で、開基とされる足利家時〔尊氏の祖父〕の生没年と合わない。が、もし寺伝の通り鎌倉時代終末以後の寺だとすれば、そこにある「やぐら」は「鎌倉時代様式」ではありえないことになる。
もちろん、創建以前からそこに存在した「やぐら」を寺域に取り入れたことはありうるし、時代様式というのは、それほど厳密なものではないだろう。それでも、鎌倉時代にはまだ無かった寺の「やぐら」は、見ておく価値があると言える。昨年末に「報国寺」を訪ねた時には閉まっていたので、今回はリベンジになる。
2026年2月2日の軌跡 .
この日は、「やぐら」の寺として「報国寺」と「瑞泉寺」を訪ねたほか、昨年行きそこなっていた時宗「光触寺」と「明王院」に立ち寄り、「天園ハイキングコース」沿いの「やぐら群」数か所も探索した。
シルエットは行程の標高(左の目盛り)。折れ線は歩行ペース(右の目盛り)。標準の速さを 100% として、区間平均速度で表している。横軸は、歩行距離。
午前 9時過ぎに山門前に着くと、幸いに開門していた。拝観料は、奥の「竹庭」に入るところで徴収する。その手前の本堂などは無料拝観が可能だ。本堂↓。
この建物↑は、「迦葉堂」という額がかかっている。「迦葉 かしょう 仏」は「過去七仏」の一人で、この世に出現した7人の仏のうち、シャカ以前の最後の仏。「竹庭」↓。
「報国寺」は、このモウソウチクの竹藪が「売り」らしい。外国人観光客のガイドブックに出ていて評判らしく、この日もまだ開門直後だというのに続々と詰めかけていた。寺のほうも清掃と整備に念を入れていて、落ちた枯れ枝まで、きれいに梳いて敷いてあった。なにか、作り物のかんじがして馴染めないが、オリエンタリズムに取り憑かれた外国人には、それが大いに受けるのだろう。
「休耕庵」という茶店。拝観料を 1000円払うと、ここで抹茶を出してくれる。中は、欧米系の拝観者が寿司詰めになっていた。
竹藪の下には、↓こんな景物もある。古い五輪塔も集められているが、現代風創作の石仏は、みな判で押したようにガンダーラ風だ。外国人の受けを狙っているのだろうが、日本の文化を誤解して帰っていかないか心配になる。
さて、目当ての「やぐら群」は、「竹庭」の背後の崖に穿たれている。説明はまったく無いから、参拝者はみな目を白黒させて「何だあれは?」と口々に言うだけだ。それだけの迫力はある。ただ、困ったことに拝観路からの距離があって、モウソウチクや枯れ木が邪魔するし、監視が行き届いていて、近づくことができない。。。。
タイムレコード 20260202 [無印は気圧高度]
908「浄明寺」バス停※[18mGPS] - 912「報国寺」山門★[20mGPS] - 952「報国寺」内「休耕庵」[35mGPS]955 - 1003「報国寺」山門★ - (2) へつづく。



































