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 「千光寺」行場の上部にある「西の覗(のぞ)き」に向かう。↓とつぜん路が切れてガケになっている。ここが「西の覗き」だろうか?

 

 

 

 

 それとも、ちょっと手前の、ここ?↓ こっちのほうが「覗い」てる気がする。

 

 

 

 


 覗いた景色↑。


 さっきの分岐点に戻って、「鳴川峠」へ向かう。

 

 いちめんにヤブツバキの花が散る。なんと贅沢な路なのだろう。

 

 

 

 

 「鳴川峠」↓。生駒縦走路に合流する。

 

 

 

 

 縦走路に沿って植えられているのは、栽培種のツバキ↓。

 

 


 

 

 

 

 

 たまには、こういうのもいいね。ただ、好き嫌いをいえば、私はシンプルなヤブツバキのほうが好き。ウォルト・ディズニーが描いたネズミのミッキーと、今の傲慢そのもののアメリカ人ミッキーマウスの違いだね。

 

 「大原山 522m」に到着。

 

 


 


 ↓山頂にたくさんあった。コブシかタムシバか? タムシバのようですな。

 

 

 

 


 

 山頂から「(くらがり)」まではあっというまだった。↓「暗峠越え」路の石畳。

 

 

 

 


 ↑峠頂に立つ道標石柱。3面の字が、まだよく読める。

 

 「安政六年己未秋建之」

 「大阪 伏見屋[九里?]

 「従是(ここより) 北 鬼取山元薬師 十二丁」

 

 安政6年は 1859年。前年に幕府が米蘭露英仏と締結した「安政条約」をめぐる反対派弾圧で、吉田松陰橋本左内らが刑死している(安政の大獄)。

 

 さて、このへんで、道中の「スプリング・エフェメラル」をまとめておこう。

 

 なぜ撮った場所で出さないのかというと、場所を隠すため。

 

 iPhone だろうと Android だろうと、あなたが撮したすべてのスマホ写真には、自動的に経緯度情報が記録されている。専用のアプリを使えば、誤差 20m以内の精度で、地図上に場所を表示できてしまう! ニックネームで覆面したって、あなたの自宅は世界中の悪漢から丸見えなのだ。自宅の床下に隠した金塊など撮して見せびらかそうものなら、1時間以内に万国の強盗団が襲撃計画を立てるだろう。

 

 しかし、あなたには足があるのだから、強盗が来たら逃げることができる。自転車や自動車で避難することだってできるだろう。ところが、植物は動けないのだ! あなたのスマホ写真は、あなたの個人情報を記録するだけではない。たまたま画面に入った道端の草花の個人情報も記録してしまう。

 

 「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」とは、1年に1回、春先にだけ地上に芽を出して花を咲かせる植物だ。夏までには地上部は枯れてしまい、1年の大部分を地中で過ごしている。動物に食い荒らされないための自己防衛機能なのだ。そうやって開花するまでには数年~十数年の期間を必要とする。

 

 そういう「春の妖精」にとって最大の敵は人間だ。食糧にするつもりもないのに、気まぐれでむしり取ってしまう。地上部がむしられるだけならあまり被害はないのだが、根茎ごとごっそり掘り取ってしまう業者が跡を絶たない。そうして、麓のペンションや、種苗業者に売りつける。泥棒と同じで原価はタダなのだから、こんなに旨い商売はない。

 

 「業者」と言ったが、実体は暴力団だったりもする。山小屋でハイカーを殺傷する事件さえ、稀だが発生している。アルプス方面では、ヤマブドウを捕獲して山梨県のワイン製造業者に、添加材料として売りつける暴力団が横行している。この場合は、近づく者がいないか監視して、ほんとうに暴力をふるうという。加賀白山で会ったタクシーの運転手は、「やつらはハジキを持っている」と言っていた。

 

 もしあなたが、山で草花やヤマブドウの写真を撮して、そのままSNSにアップすると、「業者」はその場所を正確に検索して、「春の妖精」を捕獲しに行く。あなた自身が花を毟らなくとも、「業者」の掘取りを誘導しているのだから同罪だ。(これは誇張ではない。「業者」の存在をうすうすにでも知ってやれば、りっぱな共犯だ。)

 

 だから、春の山や夏の高山の草花の写真は、かならず経緯度情報(GPSデータ)を消去してからアップしてほしい。消去のしかたは、こちら(⇒iPhone ⇒Android)。スマホでもパソコンでも、かんたんにできる。

 

 現在、ヤマ専門のSNSならば、サイト運営者が見回りをして、経緯度情報のついた草花写真は見えないようにしたり警告を出したりしているが、アメーバのようなふつうのサイトでは、そこまでのサービスはしてくれない。風俗規制は煩いほどしても、「春の妖精」の運命に関心をもつ人は少ない。社会は、弱い者には無関心なのだ。

 

 「春の妖精」は襲われても逃げられない。これはもう「自己責任」の問題ではないのだ。どうか、たとえ面倒でも、経緯度情報の消去を励行してほしい。

 

 

 

 

 

 モミジイチゴ↑。ふつうはもっと柄が長くて、花がいくつも下向きにつく。実はなかなかのごちそうなのだが、‥これはまだ伸びはじめなのだろう。たぶん、モミジイチゴ

 

 

 

 

 

 

 春の野山ではおなじみ、タチツボスミレ↑。関東・関西を問わないようだ。

 

 

 

 

 タチツボスミレに似ているが、花は濃紫色、葉の先が丸い↑。ニオイタチツボスミレのようだ。

 

 

 

 

 

 花びらが5枚ではなく4枚↑。これはスミレではない。オオアラセイトウ、別名ハナダイコン。中国原産、江戸時代の帰化植物。アブラナ科。やっぱり十字花族だったな。




 

 

 

タイムレコード 20230331 [無印は気圧高度]
 (1)から - 1037分岐※[383mGPS]1040 - 1052「西の覗き」[372mGPS]1055 - 1105分岐※1122 - 1139「鳴川渓谷ハイキングコース」合流[400mGPS]1146  - 1152鳴川峠[400mGPS]1158 - 1216横峰山[474m] - 1231大原山[521m]1300 - 1306暗峠[457mGPS]1312 - 1335車道交差[579mGPS] - 1343鬼取山[630mGPS]1346 - (3)につづく。