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愛鷹連峰全図と越前岳縦走コース
 


 


 

 

 

 標高 1308メートルのピークは、ピークとは思えないほど平坦だ。尾根の幅も広い。アセビの林床に、いちめんの照葉樹の下生え。アセビの実生だろうか。

 

 

 

 

 ピークを過ぎると、しだいに両側から尾根が狭まって来る。路は右に巻いてから痩せ尾根に上がる。

 

 

 

 


 ふりかえると、さっきのピークが霞んでいる↓。ガスってきた。きょうはもう富士山の写真は無理だ。

 

 


 

 ↓シモツケソウ。ここから山頂にかけて多かった。とても小さい花で、離れて見ると、ピンクの綿毛のようだ。

 

 

 


 

 

 ↓白いのはノリウツギ。うしろの樹はサワグルミに似た葉だが…。

 

 


 

 


 ↑路が荒れてきた。あちこち崩れている。それでも、ロープはしっかりしているから、危険はない。

 

 ヤマブキショウマ↓。ショウマの類は、サラシナショウマ、トリアシショウマなど、白い穂状の似た花をつけるが、科はみな違う。親戚関係は無いのだ。生えている場所にも棲み分けがあるようで、見かけるたびに興味を惹かれる。2本だけ生えていた。

 

 土砂崩れなどで生態系が攪乱されると、ニッチができて、よそから飛んできた種でも育つ。このヤマブキショウマも、攪乱のせいで、ここに居ついているのだろう。

 

 科が違うのに似ている……ということは、血のつながりがないのに似た子が生まれるということで、環境のせいでそうなるのかというと、環境でも説明しきれない。自然界の大きな謎の一つだろう。「神様のご意向で」と言えば簡単だが、安っぽい解決にしかならない。ともかく進化論も遺伝学も通用しない領域があるのだ。ほかにも例えば、ノリウツギ、タニウツギ、コゴメウツギなどのウツギ(空木)類がある。みな中空の枝をもつが、科はばらばらだ。

 

 この偶然のような相同を、人は「運命のつながり」だとか「赤い糸」だとか言う。

 

 この謎をぼくに教えてくれたのは、植物専攻の大学生だった。いまどうしているのやら‥。


 

 

 

 

 ↑見上げると、いよいよガスってきたようだ。この山が雲に取り巻かれている。すぐ近くの木しか見えない。足もとは大きな穴ぼこだらけで、廃道寸前。ロープにつかまって這い上がる状態だが、シモツケソウが多いので、ついつい撮影してしまう。上から見ている人がいたら、ずいぶん危険なことをしていると思うだろう。

 

 シモツケソウ……ピンクの綿毛。

 

 

 

 


 シモツケソウといっしょに生えているギザギザの葉の草(↓白い矢印)は、鋭い刃があって、肌がふれると傷ついて痛い。ノコギリのような葉っぱが、行く手をふさいでいたりする。

 

 

 

 

 「勢子辻分岐」――十里木から登ってきた道と合流する。“廃道登り” は、ここまでだ。

 

 

 


 「越前岳」1504m 登頂↓。ガスっていて展望ゼロ。

 

 

 


 古い写真を出しておこう。​​​​2014年6月1日。晴れていれば、こう見える。中央に「大岳」。手前が、たぶん「呼子岳」。その右へ「高場所」の尾根がつづく。下の写真は「アシタカツツジ」。これも越前岳山頂付近。

 

 

 


 

 今回、残念ながら「アシタカツツジ」は季節を過ぎていたが、「シモツケソウ」と「ノリウツギ」は山頂にも咲いていた↓。

 

 

 

 

 

 ガスっているが、稜線にもノリウツギが咲いているのが見える。

 


 

 

 

 

 

 

タイムレコード 20220730 [無印は気圧高度]
 (1)から - 1233「1308メートル・ピーク」[1290m]  - 1320「勢子辻分岐」[1450mGPS]1322 - 1330「越前岳」頂上[1504m 1499mGPS]1339 - 1416「富士見台」[1420m]1430 - (3)につづく。