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身 延 山
 

 

 

 「大光坊」。標高696メートルの三角点がある。このあたりで登りが一段落。山腹のテラスのような場所。

 

 


 

 

 「大光坊」には、大黒天堂と、仏教系のお堂とモニュメント各1座がある。

 

 ↓「三光堂」。江戸時代初期 1665年の建立で、「日月明星天子を勧請して」いるとのこと。「日天」または「日天子(にってんじ)」、「月天」または「月天子(がってんじ)」、「明星天」または「明星天子(みょうじょうてんじ)」を「三光天子」と呼んで崇拝するのは、日蓮宗独自らしい。これらは、日蓮が重視した下位の神格で、『法華経』にも記されているとの解釈。

 

 「滝口の法難」のさいには、「月天子」と「明星天子」が飛来して、幕府の武士を恐れさせ、日蓮の処刑をやめさせたと云う。

 

 

 

 

 なかでも「日天(スーリヤ)」は、太陽を神格化したバラモン教の神で、『リグ・ヴェーダ』にも謳われている。

 

「Ⅰ,115,1 神々の輝ける座は立ち昇った、ミトラの、ヴァルナの、アグニの眼は。 動かざる・また動くすべての者の魂、太陽(スーリヤ)が、空(くう)と地と天とを満たした。
 Ⅰ,115,2 若者が乙女を追いかける如く、太陽
(スーリヤ)は暁を追う、逃げてゆくその女神を: 吉祥めでたき御前で、敬虔な人びとが彼らの子孫を展げる。
 Ⅰ,115,3 太陽
(スーリヤ)の鹿毛(かげ)の馬どもはめでたし、輝き、色を変え、われらが勝利の叫びと会合する。われらの祈りを受けて、馬どもは天の縁辺を昇った。一瞬のうちに、地と天とをめぐり疾駆する。
      〔‥‥〕
 Ⅰ,115,6 きょうの日こそ、おお神々よ、太陽
(スーリヤ)昇るときなれば、われらを不安と誹謗から救い上げる日ぞ; われらがこの祈り、ヴァルナに、ミトラに、アディティとシンドゥに、地と天とに容れられよ。

『リグ・ヴェーダ』英訳より拙訳。  

 

 

 

スーリヤ (ブッダガヤのレリーフ。前2世紀)

 

 

 ↓「相輪橖(相輪塔)」は、延暦寺にもあったので、もうおなじみ。五重塔の避雷針‥‥いや、屋根の上にある部分で、インドのストゥーパ(仏塔)にあたる。

 

 

 

 

 ところが、身延山の相輪塔は独自のもので、まず「九輪(縦に9個ならんだ輪っか)」が無い。てっぺんに「五輪塔」がついていて、しかも五輪に「妙法蓮華経」の5文字がヒゲ題目の書体で彫ってある。途中の「笠」の裏側(下側)には二十八宿(28個の中国式星座)が刻まれているという。詳しい説明は、↓こちら。

 

 

 


 標高905メートル付近。木の間越しに、毛無山、長者ヶ岳方面と富士山が見える。徒歩で登って来たわずかな参拝者も、「大光坊」で引き返したようだ。下りて来る人には2人ほど会ったが、昇る人は見あたらない。しかし、本格的な登りはここからだ。

 

 



 「法明坊」↓。ここがてっぺんだと思って登って来たら、まだ十数丁あるそうな。頂上は「五十丁」とのこと。ここの説明版を見て判明。‥‥って、標高は? 気圧高度計は 1035m。GPSは 983m。地形図によると 977m標高点の近傍。例によってバラバラで、さっぱりわかりませぬw

 

 


 

 

 この坊の由緒は、↓この井戸。日蓮が身延山に登頂した時に、弟子の日朗が、ここに湧水を見つけて一行の喉を潤したとのこと。

 

 

 


 ↓「東照宮」。「四十一丁」。かわいいですね~w 江戸時代になって、時の権力者に逆らうわけにもいかず、アリバイ作りで建てたお堂なんでわ? どーせ役人がここまで登って来られるわけがない。やっぱり、ロープウェイは無いほうがいいね。

 

 でないとそのうち、安倍晋三聖堂とか建ちますぜ ←

 

 

 

 

 「開基堂」「四十五丁」。「奥の院」領域の入り口。ここまでは、ロープウェイで上がった人も見に来る。

 

 

 

 

 「開基堂」の前から、東側の展望がすばらしい。富士が見える。右手前の峰は、地図には「五宗山」という名前がついている。

 

 

 

 

 もう少し広い範囲で見よう↓。富士の左に見える高い山が「毛無山」。最高点は 1964メートルで、けっこう有名。その左手前で尖がっているのが「大ガレの頭」。白いガレが見える。右奥に2つ並んで顔を出しているのは、「天子ヶ岳」「長者ヶ岳」あたりだろう。

 

 

 

 

 南方。富士川が流れてゆく。谷の右側奥は、たぶん「十枚山」 1726メートル。

 

 

 


 日蓮さんのわきの石段を、さらに昇って行く。

 

 



 

 

 「思親閣」↓。ここが、お寺としては最高点になるが、山の頂上はここではない。

 

 

 


 ↓「北側展望台」というところへ行く。あ、失礼。汗になったので乾かしてます。

 

 ここに「身延山」の山名標が立っているが、ここもじつは山頂ではない。すぐうらの杉林の中に高まりがある。たぶんそこが、三角点のある山頂(寒いので行かなかった←)。


 

 

 

 

 

 

タイムレコード 20220201 [無印は気圧高度]
 (2)から 
- 1144丈六堂1214 [535m]  - - 1240大光坊[GPS268m] - 1320法明坊[GPS983m] - 1348開基堂[GPS1142m]1352 - 1356思親閣[修正1145m] ‐ 1402北側展望台[GPS1144m]1500 - (3)につづく。

 

 

 

   

      Gaetano d'Agata (1883-1949)