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↓こちらにレビューを書いてみました。


ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(7)




ジャン・コクトーの“同性遍歴”――

今回が最終回。

 

」との幸福な同性愛生活が

最も悲劇的な結末を迎えたあと、

コクトーは、ボーイッシュな良家の娘と

結婚して、人生を出直そうとします。

ところが、彼女には弟がいました。

そして、お決まりのなりゆき‥‥

弟との密会、情交を重ねながら、その姉との

婚約をつづけようとするコクトー
には当然すぎるほど当然の「罰」が。。。

 

自分は、この世では平穏な生活など送れない

そう悟ったコクトーは、修道院へ向かいますが

そこでも早速現れたのは、美しい声の

若い修道士。深く頭巾をかぶっていても

彼の魅力がコクトーをわななかせる――

“悲劇”が起きることを即座に予感したコクトー

そこを離れるほかありませんでした。

 

いったい何が悪くて、ふつうに生きては

行けないのか? 彼は、妥協を排して

自由への」に生きようとしている

だけなのに?

 

最後に、コクトーが引用する詩人ランボー

詩句をたよりにランボー詩集にさかのぼり、

彼らの求めるの本質をさぐってみます。

すると、本質的な「」の前では、

もはや「性別」などということは

いかに些末なものでしかないか

見えてくるでしょう。と同時に

 

「社会の悪徳が、私が自己を撓(たわ)めぬことを

悪徳とするのだ」というコクトーの搾り出すような

叫びは、ランボーのもたらす福音と

複雑な和声を織りなして響き合うのです。。。