Michael Aviano : Epifanio
↓こちらにレビューを書いてみました。
ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(5)
ジャン・コクトーの“同性遍歴”――
「H」との幸福な同性愛生活:
しかし、半面でそれはコクトーにとって、
一瞬も気をゆるめることのできない
“拷問”のような日々を意味しました。
「H」には女友達が多すぎました、
そのうち何人かとは、コクトーには秘密で
情交関係をもっていました。
「H」の秘密は、ひとつ、またひとつと
発覚していきます。最初のひとつ――
Ⅴ夫人との関係が発覚した時、
「H」はコクトーに、男同士の愛と
女との愛は「別物なんだから、君は
気にしなくていいんだ。」と軽く受け流し
バイセクシュアルは「結核のせいだから」
などと言い訳します。
コクトーは、「彼女か、ぼくか、どちらかを
選んでくれ!」と迫り、顔を真青にして
涙を流して哀願し、Ⅴ夫人あてに
別れの手紙を書かせ、
ようやく「H」を繋ぎ止めます。
縒りを戻した「幸福」な生活。
コクトーは、教会へ行って
尊敬するⅩ神父に、自分はいま
教会でも世間でも、とうてい許されない
関係によって、これまでになく幸福を感じて
いると告白します。Ⅹ神父は率直に、
自分の教会での立場では
それを正面から認めるわけに行かないのだ
と告げます。コクトーは、帰る道すがら
深い悲しみに沈みました。
「H」との愛から生ずる苦悩については
彼はもう教会に頼ることはできず、
ひとりで解決しなければならない
ことになったのですから。
それというのも、「H」が引き起こす
“拷問”のような猜疑の苦しみは
Ⅴ夫人で終ったわけでは勿論なく、
つぎつぎに発覚して、コクトーを
狂乱のふちにまで追いやるのです。。。