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↓こちらにレビューを書いてみました。


ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(4)




ジャン・コクトーの“同性遍歴”――

 

パリに戻ったコクトーは、教会にかよって

彼の尊敬する神父や、聡明かつ

教養豊かな信徒たちの感化を受け、

「男色」を断って“正道”に戻ろうと決意します。

 

ところが、自然の中で神に祈る生活にあこがれて

おもむいた閑静な浜辺で、コクトーの前に

現れたのは、同性愛を肯定し全裸で泳いでいる

自由思想家の青年「」でした。

ふたりはたちまち意気投合し、愛し合うように

なります。夏の太陽と潮風のなかで、

ラブラブの裸族生活! まるで

ギリシャ神話の神々のように幸せな!

 

しかし、夏が終り、パリに戻ると、

“ふたりだけの世界”は終焉します。

には女友達がひじょうに多いことが

わかります。それでもコクトーは、女友達が

多いのは女性をよく理解しているためで、

は決して「女たらし」ではないと、恋人の

言を信じるのですが。。。

 

同性愛を悪徳として禁ずるカトリックの信仰と、

同性愛をも、神の創造した世界のすべて

とともに肯定する欲望讃美の理想の

あいだでコクトーは揺れる。

単に揺れるだけではなく、彼の生活と現実と

生きざまのすべてがそこに懸っているのです。。。