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↓こちらにレビューを書いてみました。


ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(3)




ジャン・コクトーの“同性遍歴”、【7】と【8】は

地中海岸の港町トゥーロンが舞台です。――

パリの「男色」が、路上の男娼と場末の安ホテル

を舞台に秘密裡に営まれていたとすれば、

... トゥーロンではもっと大っぴらに、

海軍の水兵と、フランス全土から「男」を

求めて集まる男たちによって

展開されていました。

 

コクトーは、トゥーロンの・とある“発展カフェ”で、

あの悲惨な「初恋」の相手ダルジュロス

瓜二つの水兵を見いだします。しかし、

彼との“行きずりの一夜”が惨めな結果に

終ったのは、コクトーのほうが、パリでの

アルフレッドとの破局のトラウマから

脱け出ていなかったためでしょうか。

 

こうして“男との恋愛”に嫌気がさしたコクトーは、

以後はもっぱら、大衆スパに併設された「売り専」に

通うようになります。しかし、そこは肉体本位に

男が男に“からだを売る”場所で、

コクトーのように愛情を求めて来る客は

煙たがられます。最後にコクトーが見出した

パラダイスは、内密で浴室にしかけられた

マジック・ミラーでした。このしくみによって彼は、

全裸で鏡を相手に求愛するナルシストの男と、

しきりの両側で極度に密着した

時間を楽しむのでした。。。