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↓こちらにレビューを書いてみました。


ジャン・コクトー『白書』―――
――――神と愛の狭間で(2)




ジャン・コクトーの“同性遍歴”、その【5】と【6】は

リセ時代の後半(≒男子高校生時代)――

「花の都」パリの底辺をさすらう街娼、男娼、

滞在資格曖昧な外国人、... そういった人びとの

生活にコクトーは惹きつけられ、情交と馬鹿騒ぎ

の渦中に引きこまれます。

 

大人っぽい流行のスタイルを身につけて

街に“女”を求めてゆく同級生たちにならい、

コクトーも異性の対象を求めるのですが、

最初に付き合った女性はレスビアンで、

しかも彼はレスビアン同士の争いに

まきこまれていたことを、2年ほど

付き合ってから知ることになります。

2度目は、広場で美しい女性から声を

かけられて付き合いはじめますが、

けっきょくは、その女性の「ひも」の男

との同性愛に沈没します。

 

コクトーの“破局”はいつも、烈しい愛憎と

性の渦に翻弄され、柄のわるい、共感の

むずかしい人たちとの軋轢で、疲れきって

しまうのです。

 

今回の舞台はパリ、次回は南仏海岸に場所を移して、

同性愛青年の“遍歴”はつづきます。。。